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ざまぁみやがれ!

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 沈黙がルカスとデイルの間に流れる。

「助かるさ…………此処から抜け出してな…ジェルバ国を完全に捨てた訳ではないからな………クククッ……」
「…………じゃぁ、話しは終わりだ……次は…………」

 ポケットから封筒を取り出したルカス。その封筒はデイルがマシュリーに送った手紙だ。

「…………何何?………『マシュリー……君はなんという美しい存在なんだろう……俺の人生の中で、君程の美しい存在等ありはしない………』うわぁ………歯に浮くなぁ……」
「!!な、何でお前が持ってる!!」
「ルカス様っ!!」
「『君の前では、薔薇やダイヤモンドもくすむだろう。そんな君を俺が手に入れられると思うと、俺だけの箱に閉じ込めて愛でていたい。いや、愛でる!素肌のまま、君を1日中愛でていたい、舐め………』だぁ!!何を、俺の願望迄書いてやがる!!俺だってな!全裸のマシュリーを1日中愛でていたい!!」
「……………ルカス様………」
「想像するな!お前!!」

 ルカスが読み進める内に、ワナワナと身体を震わせ、手紙をビリビリに破り捨て、発狂を始めた。マシュリーは呆れてしまう。それをデイルは、想像されたルカスにキレた。

「あぁん?………想像……?阿呆か……俺はマシュリーと結婚するのが決まってんだよ……マシュリーのふわふわな胸に顔を埋め、腰の括れを掴み、最奥にを何発も、何十発も注いでいいのは俺だ!!お前こそ、マシュリーの全裸想像するんじゃねぇ!!昨日も何発注いだか聞くか?え?」
「!!ルカス様っ!!」
「……………何だとぉ…………」
「ふふふ………因みにマシュリーの初めても戴いたがな」
「ルカス様!!」

 何故ここ迄張り合う必要があるのか、マシュリーは真っ赤になり、警備兵達もアガルタの兵達もマシュリーに釘付けで想像してしまっている。もう恥ずかしくて恥ずかしくて、ルカスの背に顔を埋め、強く抓ったマシュリー。

「痛っ!!」
「ルカス様!!いい加減にして下さいませ!!」
「……………あ、思わず……」
「……………わたくし………部屋に戻りますわ」
「あ、ちょっと待て、マシュリー」
「何ですか?まだありますの?」
「警備兵!!拘束したままで、コイツを東門迄連れて来い」
「…………ルカス様?」
「マシュリーもおいで」
「……………な、何する気……ですか?」

         ♡♤♡♤♡

 東門に集められた手紙の山と、人だかりにマシュリーはルカスと来ると、ルカスはマークに指示を出していたのか、東門の外の平原に大量の水桶や兵達を配備して、手紙の山を囲っていた。遅れて、拘束され連行されたデイル。このデイルの姿は、残っていたジェルバ国民も見知っていて、無事だったのを知って喜びも束の間、拘束されている事に驚きを隠せない。

「デイル様………だよな?」
「な、何故デイル様が………」

 ざわつく国境の平原。

「これより、見せしめに焚き火をする!焼きたい物があれば持ってきていい!火種はここにある、デイル・ツェル・ジェルバが、長年ジェルバ国王女マシュリーに送りつけた手紙の数々だ!」
「「「「え!!」」」」

 何通あるんだ、と驚く程の量に驚きを隠せない民。木箱が50個程積み上げられて、中に全て手紙というならば、木箱1つに何百、何千との手紙がある筈だ、と計算さえする始末だ。民達は、思わずデイルを見てしまう。

「この手紙は、マシュリー王女に、返事のない手紙を待ち続け、更に送り続けた結果だ!マシュリー王女に手紙だけではなく、沢山の宝飾品を贈り、恐らく自分の宝石を、【輸出】に回さず民の責務を無視し続け、アガルタへ亡命した上に、希少価値をジェルバ国民に付けた、男の息子だと判明した!」
「な、な!何だって!!」
「デイル様…………い、いや……デイル!!お前達一家のせいなのか!!」
「許さん!!どれだけマシュリー様や陛下が心を痛めたか分かるか!!」

 心配する態度から、一気に集中豪語がディルドに浴びせられるが、デイルはルカスを睨むだけで、反省等はしている様子はない。

「静かに!!」
「「「「「!!」」」」」
「今からこの手紙に火を着ける!デイル本人にマシュリー王女への執着心を灰にする!」
「構いません!やっちゃえ!!」
「序でにデイルも火の中に!!」

 流石に火炙りにするつもりはルカスは無く、苦笑いしていた。

「火炙り等はしない!デイルはアガルタへ返す!付きでな!」
「マシュリー…………何故俺の気持ちが分からないんだぁ!!」

 ルカスを睨むだけ睨み付け、隣に立つマシュリーに訴えるデイル。しかし、マシュリーははっきり言葉を返す。

「ディル兄様…………本当に……嫌いなんです!!」
「「「「「……………」」」」」
「俺は好きなんだぁ!!」
「嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い!!大ッキライ!!」
「………デイル………諦めろ」
「マシュリー様があそこ迄言うなんて、相当嫌われてるな……」

 民からも同情された悲しき想いに、ルカスもだけスッキリした顔を見せた。

「ざまぁみろ………クククッ………」
「「心狭い………ルカス様……」」

 マシュリーとマークは呟くしか出来ず溜息が漏れた。

「さぁ、見てるがいい!デイル!お前の想いは灰になって消えろ!!」
「や、止めろ~~~っ!それはマシュリーの物だ!!」
「マシュリー、火を着けていいか?」
「はい!着けて下さい!!」
「……………マシュリー………」

 煙と灰になって天に昇る手紙達を見て、デイルは項垂れていく。

「プッ………爽快爽快!!」
「ルカス様………本当に鬼畜過ぎますって……」
「いいじゃないか……処分出来て、あいつもショック受けて一石二鳥」

 マークは今回ばかりは、今迄見た以上の鬼畜振りに、呆れる以上に青褪めていたのだった。
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