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ルカスの性欲事情

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「ふぁぁぁぁぁ………」
「でかい欠伸ですね、ルカス様………母から聞きましたよ?遂にマシュリー様を頂いたとか…………我慢出来る訳は無かったですねぇ、やっぱり………婚約迄は我慢出来たのが奇跡!」

 朝から欠伸が連発で、眠くて眠くて堪らないルカスに、嫌味を言うレナード。

「でも、一発だけでまだまだ抱き足らん!」
「おや、珍しい………最低でも休憩無しで3発はするルカス様が………」
「……………ん?何故知ってる?」

 人の性事情等、いくら男同士だろうと、言った覚えがないルカス。

「令嬢達の間では有名ですから」

 なるほど、と納得した自分が情けないと思いつつ、これ以上邪魔されたくはない。

「…………なら、カレンに邪魔させるな、て言っておけ!」
「無理ですね、母はマシュリー様に対して、絶対の敬意を表してますから………あんなに可愛らしく純真な方に仕えさせてもらえて、侍女頭としては自慢だ、と豪語してますし………………マシュリー様が嫌だと言う事は、ルカス様に反する事でも味方しそうですね」
「カレンは俺の乳母だったのに………」
「信用ないですからね、事ルカス様のの鬼畜さは」
「何で俺の周りの奴はマシュリーの肩を持つんだ!」
「あ、それ言います?筆頭の

 確かに、マシュリーからのお願いは何でも聞いてあげたくなってしまう婚約者としての性かもしれない。何とか、その日の仕事を終わらせ、ルカスは百合の間の扉をノックする。

 カチャ。

「ルカス様……如何されました?」
「マシュリーは?………夕食がまだなら一緒にどうか、と」
「これからですよ」

 アナが、ルカスに対応し、部屋に通してくれたので、入室するルカス。皇太子居住階のダイニングへ行く予定だったらしく、勉強をしていたのであろう、机の上を片付けていた。カレンはこの部屋に居らず、アナとエリス、他の侍女が1人。

「アナ、エリス何方かに………ちょっと……話があるんだが」
「?何でしょう」

 アナが首を傾げ、内緒話だと勘ぐって小声で聞き直す。

「………マシュリーが、血でも宝石になる、と話していたのを覚えているか?」
「はい」
「昨夜もそうだったんだが…………その房事の後の、ベッド周りの片付けをアナとエリスにだけ頼みたい………あまり他の侍女やカレンに見せたくない」
「…………まさか……あ、あの……閨での行為に出る………」
「そのまさかだ………恥ずかしがるし、流石に宝石になると……な……」
「分かりました…………ですが、ご結婚前の行為は駄目ですからね!」
「!!お前もソレ言うか!!」

 アナにも釘を刺される。

「カレン様に、注意されましたし……マシュリー様も」
「…………そうか………」
「ルカス様?……その様な入口で何を?」

 片付けを終え、ルカスに気が付くマシュリー。

「夕食を一緒にどうか、と思ってね」
「…………はい!ご一緒したいですわ」
「じゃ、行こうか」

 腕に手を回して欲しくて、マシュリーにアピールするルカス。恥ずかしがってして来ないと思っていたが、抵抗もなく手を腕に掛けたマシュリー。

「いいね、こういうのも」
「…………な、慣れないと、と……思いまして………」

 日々距離が縮まる関係も悪くない。だが、その歩く距離は短かった。

「まぁ、ルカス様もご一緒でしたか」
「なかなか一緒に食事が出来ないから、出来る時は一緒に食べたくてな」
「では、直ぐにご用意いたしますね」

 カレンが指示を出し、ルカス用の食事を用意させると、マシュリーはこの用意された物をルカスに、と言った。

「ルカス様、こちらを先にお召し上がり下さい………まだ少し時間掛かりますし」
「…………そう言って、マシュリー……俺に嫌いな野菜を知られたくないんだな?今ここに入ってる?」
「…………な、何の事やら……」
「どれ?」
「………………今日は入ってないですねぇ……そもそも、原型を留めていなければ食べれるので」
「本当に?」
「な、何とか………」
「………可愛いなぁ……マシュリーにも苦手な物があるのって」
「…………か、可愛い………なんて………」

 マシュリーのルカスへの対応が可愛いくて、ルカスもマシュリーへの甘い雰囲気を醸し出している。それはいつも侍女達も知っているが、マシュリーの態度が前日より柔らかかった。
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