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NYの広い空の下
しおりを挟む翌朝、まだ時差ボケのある身体ではあるが、ホテル近くにあるセントラルパークにジョギングに来た瑠璃。ホテルの警備は裕の部下が守っている。瑠璃は護身用の銃とスマホ2台だけ持ち走っていた。
゚.*・。゚♬*゜
「!!」
拓夢との連絡用スマホが鳴る。
『何故来た?』
「拓夢!?」
瑠璃がNYに来た事をやっぱり知っている。瑠璃は立ち止まり、狙撃に備え木の陰に隠れる。
『NYで急に仕事が入って』
『厳つい男達と一緒に?瑠璃の会社は商社だろ?あれはヤクザだ』
「!!」
知られたくない。瑠璃は拓夢には知られたくない素性。『素性が知られたら殺せ』と教わっている瑠璃。だが、瑠璃には拓夢を殺したくなかった。返答に悩んでスマホを見つめると、サクサクと芝生を掻き分ける足音が聞こえる。
「!!……………ひ……拓夢」
「瑠璃………何で来た……咲田と……」
「…………な、何で……咲田を知って…………まさか………」
「察し通りだよ、瑠璃」
「…………ど、如何して……」
「如何して?………瑠璃が、咲田に引き取られたから………」
「…………だから………って……拓夢迄……」
「アパートメント借りてる………少し話せるか?」
「…………た、多分……」
拓夢もジョギングしている様な格好だ。その後ろ姿の後を追う瑠璃。しかし、ジョギングしている体だからか、拓夢は走り出す。瑠璃も走る事にした。すると、張り込んでいた咲田の部下の姿が見える。
「30分だな」
「…………ごめん……」
「…………いや……」
拓夢と瑠璃は部下を蒔き、拓夢の借りているアパートメントに来た瑠璃。
「入って」
「………うん」
安いアパートメントの様で、壁もボロボロで床がキシキシと鳴る。
「瑠璃………お前の後を追うように、俺も咲田の対抗組織に俺を売り込んだ………日本の組織じゃない……動向を見ながらずっと瑠璃を見てたよ」
「拓夢………」
「助けたかった………だから、全部知ってる………」
「…………ゔっ………拓夢………」
瑠璃は拓夢に抱き着き、今迄の思いが蘇り拓夢の胸の中で号泣する。
「何とかしよう、2人で」
「…………出来るかな……」
「するんだよ!」
数日会ってなかっただけの恋人が瑠璃の素性を知っていて黙っていたのは、きっと訳があるんだろう。それでも拓夢が瑠璃を選んでくれた事にこれ以上に無い幸せを感じた。
「拓夢………お願い……欲しいの……」
「瑠璃?」
「抱いて?」
「時間………無いぞ?」
「いい!少しでも拓夢を感じたい!!」
「っ!」
拓夢の理性は崩れる。瑠璃の顎を上に上げ、キスを落とすと止られる筈もなく、瑠璃のシャツを捲り上げ、ブラのホックを外すと、胸を揉み扱き、スウェットも下着毎下げた。
「んふっ…………はぁっ……拓………」
「瑠璃………もう濡れ………」
「い、言わない………で………」
「咲田と一緒の部屋か………」
「っ………」
「くそっ!!」
「!!」
拓夢の杭はもう固く、自分のズボンを下ろすと、瑠璃を持ち上げ、場所が分かるからか手探り等せず、瑠璃を突き刺す。
「んんんんっ!深っ……………いっ」
「絶対に許さねぇ!咲田!」
「拓夢っ…………好き……好きなの………んあっ!」
「愛してる、瑠璃!」
ベッドはシングルのパイプベッド。2人乗る程頑丈では無い為、瑠璃を床にも下ろせないし、壁に凭れさせて抱く事も出来なかった拓夢は、瑠璃の尻を持ち上げ落とさない様に律動を続ける。
拓夢が着けたキスマークの場所は覚えているが、更に増えているキスマークに嫉妬する。自由が効かない瑠璃の胸に、幾度もキスマークを着けまくる拓夢。
「バ、バレちゃ………」
「…………瑠璃は俺の女だろ!………大丈夫だ、着けてる痕の上書きだから……」
それでも、裕に知られない様にしてくれるキスマークは誰よりも優しい。貪られるキスをお互いにして、拓夢の熱で瑠璃は幸せを噛み締める。
「はぁ………はぁ……」
「…………そろそろ行かなきゃ……」
溢れる白濁を拭き取り、服を着直す。
「スマホの存在気を付けろよ」
「うん………」
「予定と計画をメール入れておくから」
「…………分かった」
しかし、ホテルに戻ると咲田に追及された瑠璃は、咲田から外出禁止にさせられる。
「ジョギングしてただけじゃない!」
「部下の見張り振り切ってか?」
「…………信用してないからでしょ……私はいつでも貴方の指示通りでやってるのに、駒を少しは信用しなさいよ!いつでも監視しようとするから、私は咲田の家を出たんじゃない!」
「駒は駒らしくすりゃいいんだよ!!」
それから数日間、服を取り上げられ、裕はホテル内で部下達へ指示を出しながら、瑠璃を監視下に置いた。スマホを見ようにも見られず、ただ裕が望む時足を開き受け入れているしか、瑠璃の存在意味は無かった。
一方の拓夢は、裕の対抗組織から連絡が入り、指示が入る。
『咲田の連れて来ている女を先に殺せ。咲田の隙が狙える筈だからそれから咲田だ』
「…………な………る、瑠璃………俺も………地獄に堕ちるよ……」
裕を殺せば、瑠璃を開放出来ると思っていたが、裕からの瑠璃の存在価値を知られてしまった様だった。頭を抱え、あれ以来瑠璃と会えない寂しさが募っていった拓夢だった。
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