魔法陣の中の皇女【完結】

おまけ①

　初夜を迎えた朝の事。
　アンジェリークが疲れきって夜が開けてもまだベッドで寝ていた。

「おはよう御座います、アンジェリーク様。」
「……………ん？…………ん。」
「お疲れかと思いますが、お湯殿を準備致しましたので、疲れたお身体を温めて下さいませ。」
「…………キルスト様は？」

　ベッドで抱き合いながら眠っていたキルストが居ない。
　横は冷たくなっていて、起きてから大分経つのだろう。

「キルスト様は明け方起きられ、王宮に公爵様に同行されましたわ。」
「起こしてほしかったですわ………お見送りしたかったのに。」
「キルスト様は、昨夜で疲れているだろうから、寝させてあげてくれ、とおっしゃいましたので。」

　裸だったアンジェリークは、自分に掛かっていた毛布を包み、ベッドから降りようとしたのだが、足に力が入らずベッドの脇に座り込む。

「あらまぁ、大丈夫ですか？」
「………は、はい。」
「ご結婚初日ですもの、可愛がって頂いたんですねぇ。」

　アンジェリークがベッドから降りたので、ついでにシーツを変えようとしたのだろう、侍女がシーツをはぎ取ろうとする。
　そのシーツには昨夜の痕もしっかり付いている。

「………や、やだ。恥ずかしいですから。」
「人妻ですもの、当然ですよ？」
「さぁさ、お湯殿へ。」
「あ、はい。」

　手を添えられ立ち上がるのを手伝ってもらい立つと……。

「！！」
「如何されました？」
「………い、いえ、何でもないですわ。」

　アンジェリークの太腿に伝う、昨夜の蜜。
　湯殿に来れば来たで、身体中に無数のキスマーク。
　毛布を渡して分かる数々の爪痕が、侍女達も苦笑い。

「まぁ、白い肌に花びらが着いたようで、ホント可愛いらしい。」
「…………お、お手伝いは要りませんから、1人にして下さい！」

　恥ずかしいあまり、湯殿に入るアンジェリーク。
　湯殿から追い出された侍女達は、大はしゃぎ。

「見た見た～？アンジェリーク様のキスマーク！！」
「見た見た～！！すっごい独占欲ね、キルスト様！！」
「私、今朝お褒めのお言葉貰ったわよ～！あの夜着用意してくれてありがとう、ですって！！」
「アンジェリーク様にまた今夜、着飾って貰わなきゃ！！」

　腐女子の集まりの侍女達だった。