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逃走

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 デニス達がノエルの姿が確認出来なくなって直ぐ、ノエルから緊急発進を受け取る。

『不味い、バレてるのか!』
『ノエルなら捕まっても逃げれると思いますが、今回は人質が!』
『各自持ち場待機を!チャンスを見逃すな!』

(あそこから、庭に出れそうだな。庭に出たらアウトだが、仕方ないもしもの時は木に……。)

 隙を見つけて木に登るノエル。

(ここで、暫く体力回復するか。)
『おい、紅龍!お前も手伝え!』
『何で俺が?逃したの蒼龍だろ?』

 先程、ノエルを逃した蒼龍は必死になり探していた。

『………お前の研究材料になる奴なんだ。あいつは能力者だ!壁をすり抜けた!』
『…………へぇ……解剖して楽しめるじゃないか。』
『あいつは、初夜の時に必要だ。研究材料には直ぐにはならんが、解剖したければ手伝え!』
『仕方ない、やるか。』
『そういえば黄龍の姿が見ないな。お前は見たか?』
『……………あんなつまらん男には興味ない。』
『チっ!!またあの女ん所か!!』
『………さぁな。』

 2人はバラけて、ノエル探しを再会させた。

(黄龍?…………まさか、そいつが協力してくれるのか?会うのが先だな。)

『捕虜が逃げ出した?』

 黄龍は自室に居た。
 部下に悟られないよう、部屋の中を隠すように扉から、中に入れない黄龍。

『蒼龍様が逃したようで、何でも壁をすり抜ける能力があるとか。』
『……………へぇ、面白い奴だな。分かった俺も行こう。』

 ドアを締め、隠したかった物を片付ける。
 沢山の鉱物とジュエリー。
 そう、黄龍が琥珀の息子だという証明。
 翡翠だけでなく黄龍も能力者。
 それを紫は、龍昇に悟られないよう、23年黄龍を育ててきたのだ。

(…………姉さんを助けに来たか。これで俺も動ける。壁をすり抜けたのなら、壁づたいに出る事も可能。地下牢から真っ直ぐ進むなら北西の庭辺り。間に合うか?闇雲に動けるとは思えない。こっちから行った方がいいな。)

 黄龍は、銃を持ち北西に向かう。

(銃は放てない。あいつらが来るからな。だがどうやって俺が弟だと伝わる?)

 部屋の曲がり角に差し掛かった時、黄龍は紫と会う。

『何、騒がしいのだけど……。』
『………捕虜が逃げ出した、てさ。壁をすり抜けて。』
『!!!……………う、嘘!』
『ホントらしいよ、蒼龍が取り逃がしたぐらいだし。』
『…………そうじゃないのよ。そうじゃ……。』
(まさか、神谷さんが居るの?)

 紫は高揚感を漂わせる。

『母さん?』
『………その捕虜、日本人?それともイギリス人に見える?』
『知らないよ、見てないし。…………あ、イギリス人は空港で見たな。』
『…………!!!まさか!!!』
(ノエル君?あの子が居る?)
『母さん?』
『黄、蒼龍と紅龍より早く見つけるの!あの子の力があいつらに奪われないようにしなきゃ!』
『…………分かった任せて。』

 黄龍が走り去った姿を見届けると、紫は壁にもたれる。

(ノエル君も来た?貴女達、出会ったのね……。)

 北西の庭周辺に来た黄龍。

『居るんだろ?まだ壁に居るのか?』
(………さっきの奴らと似てるが……。)
『………………返事無いなら花嫁貰うぞ?』

 ガサッ

『翡翠は誰にもやらない。俺の女だ。』

 これはノエルの感、彼は違う、と。

『……俺は黄。………俺の目的は李家の壊滅。協力してくれる?』
『翡翠を助け出せるなら協力する。』
『自信あるんだなぁ、それは壁をすり抜けた力があるから?』
『そんなので自信なんか持つか。俺は俺のやるべき事をやるのみ。』
『…………じゃあ一網打尽に出来る方法を考えたんだが、やる?やらない?』
『どんなのだ?』
『もう一回捕まってもらえるかな?その代わり、怪我させちゃうけどね。』
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