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体力回復
しおりを挟む意識が無いシヴァを城内に運んだジュリアナ。
病院に、とも思ったが、ジュリアナが
付き添うのを憚って、アーヴァインが城内に運んだのだ。
「何?シヴァが倒れた?」
アーヴァインが報告と、城内に入れる許可を貰いに近衛兵の詰所に居るアレクセイに会いに来て、許可が出た為だった。
詰所も考えたが、行き来が目立たない方がいい、とアーヴァインも思ったからである。
「意識はありません。ただ、眠ってるだけに思います。医師を呼び診てもらってはいますが。」
「余程体力消費したんだな。私も行こう。」
「会えないんじゃ?」
「…………眠ってるだけなら、能力の影響は受けないから大丈夫だ。ジュリアナにも話を聞きたいし。」
城内に入り、シヴァが眠る部屋にアレクセイが行く。
コンコン。
「ジュリアナ。お前は大丈夫だったか?」
シヴァの傍らに座って見守るジュリアナ。
そして、ソロも付添っている。
「お兄様………私は大丈夫でしたけど……。」
「アレクセイ様……後程、お話したい事がございます。」
「………何となく分かるが………今聞こう。」
「私居ない方が良いですか?」
神妙な面持ちだった為、ジュリアナは部屋を出ようとしたが、
「ジュリアナも聞いてていいよ。恐らく関係してるから。」
アレクセイは留まるよう言った。
「孤児院に蔓延っていた魔は、シヴァ様が浄化仕切ったとは思います。しかし、元凶の魔が、ラムザ様を知っていまして……。」
「……………あの人に入っていた、と言ったんだろ?」
アレクセイは複雑な表情をしていた。
「ご存知だったんですか?アレクセイ様。」
「…………気配を覚えていたからね……。益々手強くなっていったので、長い間負を取り込んで強くなっていったんだろう、とは思っていた。定期的に様子は見に行けたが、体力が持たなくてね………私はシヴァ程、浄化の能力がある訳では無いから、指輪に先見の眼の能力を託して、ジュリアナに渡したんだ。シヴァに渡せるように………。」
「………お兄様、そこ迄分かっていらっしゃったのなら、教えてくれても………。」
「………シヴァは単純で馬鹿だからね、予め教えておくより、直前で教えて動く方が、動きが良いんだよ。」
「……………お、お兄様………何気にディスってますね……。」
「ジュリアナ様………アレクセイ様は子供の頃から、こんな風にシヴァ様を扱っておられましたよ………。」
「…………そうだ、指輪は返してもらうよ…………こっちだな。」
アレクセイはシヴァの手を握り、指輪を外す。
どちらが自分のなのか分かっているようだ。
「一緒に見えるのに……。」
「…………コレはね、父ラムザが作った物さ、気配で分かる。まだ良心が残っていた時、私とシヴァのお守りで、と渡されたんだよ。優しかった時の記憶も残っている……。結果的に最悪な事をしたから、許してる訳でもないけど、浄化の能力を使う時には便利でね、ただ持っていただけだ。シヴァも身に着けている、て事は私と同じかもしれないね。」
そう言って、アレクセイは自分の指に指輪を嵌めた。
「お兄様の能力、計り知れないです。先見の眼も浄化の能力も持っていて……。」
「浄化の能力は微々たる物だよ?あの広い孤児院を浄化する能力は私には無理だ……ただの馬鹿力のシヴァの性格が合っている。私は緻密にしか能力は出せない。」
「………ア、アレクセイ様………確かにシヴァ様は的を得た能力は苦手ですが………。」
「………お兄様、ホントいい性格してらっしゃいますね……。」
「そうかい?ありがとう。」
アレクセイは嬉しそうに微笑む。
「シヴァが起きる前に退散しなければ………シンクロして、能力が暴走してはいけないからね。………間近で大人になったシヴァの顔が見れて良かった。」
そうして、アレクセイが部屋を出て行き、暫くすると、シヴァの目が覚めた。
アレクセイは、常に先見の眼を使っているのでは、とジュリアナは思えてならない。
要領の良い動きに脱帽する。
ジュリアナは今日程それを思わずにはいられなかった。
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