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謝罪

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 コーラルが一頻り、シヴァを詰った後、ジュディスの部屋に行くが居なかった。
 見張りに聞きに行くコーラルだが、外出してない、と言われ、もしかして婆様の部屋に行っているかもと向かうがジュディスは屋上に居る。

(謝らなきゃ……。流石に心配されて言ってくれたと思うから……。)

 ジュディスは頭に手を起き、髪を引っ張る。
 すると、プラチナブロンドの長い髪が靡く。
 王女と分かる訳にはいかない為、鬘を被り、目にはコンタクトをして、誤魔化していたのだ。

「…………あぁ、気持ちいい風。」

 カチャッ。

「!!!」
(誰か来た!鬘着けなきなきゃ!!)

 その時、強風に煽られ、鬘が飛ばされ、屋上に来た人物の方に飛ばされる。

(きゃーーー!!)

 そして、足元へ。

「ん?何だコレ…………鬘?………この髪色……。」

 鬘が飛んで来た先を見ると、ジュディス。

「………………返して……。お願いします。」

 頭を極力隠し手を伸ばすジュディス。
 月の光に輝くプラチナブロンドが風で靡く。

「……………。」

 アーヴァインやコーラルならいい、だがそれ以外に見られたくない。
 その人物に腕を取られたジュディス。

「きゃ!」
「ジュディス?」
「……………。」

 美しいプラチナブロンドには似つかわしくない、服装の王女がそこに居る。
 鬘であれば違和感ないのに……。

「…………どっちの名前を言えばいいの?………ソロ?…………それともシヴァ王子様?」
「……………鬘だったのか………。」
「…………地毛だと目立つもの……。この服装だと似合わないし。」
「…………綺麗だな、そのプラチナブロンド。」
「…………あ、ありがとう。」

 シヴァは拾った鬘をジュディスに返す。
 ジュディスは直ぐにかぶろうとしたが、

「待って、そのままで!」
「…………ごめんなさい、着けさせて。この髪知ってるの、アーヴァインとコーラルとお婆だけだから。」
「…………ごめん、昼間は君に酷い事を言った。」

 髪色を変えたジュディスの側で謝ったシヴァ。

「………私、言われても仕方ない事してる、て思ってた。王女の義務を放棄してるのはわかったし、遊びだって思われても反論なんて出来ない………。謝らなきゃいけないのは私のほうです。貴方との結婚が嫌で逃げたのは間違えてないんですから………。申し訳ありません。」

 深々と頭を下げたジュディス。

「君の事情は、コーラルからさっき聞いた。それを知ってたら、あんな風に言わなかったと思う。それでも俺も悪いよ。」
「…………結婚から逃げた事、お怒りでは?」
「それは、それで無くなれば俺もラッキー、て思ってたから、別に怒ってはいない。」
「………カムラ国が望む結婚では無かったんですか?」

 ジュディスは首を傾げる。

「………あぁ、確かに俺の母から話を持ち出した、とか言っていたな。」
「私は、お婆から私の為だ、と言われたけど……。」
「ちょっと待った。君とあの婆様とどういう関係なんだ?」
「……お婆?…………お祖母様です。前々代王妃の。」
「…………前々代……王妃……。」

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