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恋愛開始

アドバイスは過激

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 律也の力説に涙が止まり、尚且つ青ざめつつある紗耶香。

「ほら、律也さんが卑猥な事言うから!」
「ご、ごめん!紗耶香さん……」
「い………いえ……」

 律也はビールを一口飲み、また続ける。

「分かる、て言ったのには訳がある……好きな女なら、感じている顔が見たいからね……過去の女に無口であれば、感情が無いんだよ、好きな女でも嫌いな女でもない……風俗嬢を相手するのと一緒。まぁ、風俗嬢は顔だけじゃなくて、テクも期待出来るから、通う男も居るが、裕司君はそんな事をしなくても、女が寄ってくるから、言い換えればセックスしたい女からすれば、都合のいい男なんだ」
「…………そういう言い方にしちゃうと裕司さん可哀想な気がしちゃう……」
「それが麻痺してしまうと、恋愛で頭を使うのが馬鹿らしくなったりするんだ」
「…………律也さん、なんか経験してたみたいな言い方………」

 羽美が、冷ややかな目線を送ってしまっていた。

「ん?俺、名古屋に居た時、同じ経験したから」
「…………以前、疲弊してたから、前の彼女と付き合ってた、て言ったのは………」
「うん、それ………彼女を作ってしまえば寄る女は多少排除出来たりするしね……好きな女も居ないのに、性欲はある……風俗やAVだけじゃ、処理出来ない奴も居るんだよ」
「裕司も律也さんみたいだった、と………?」
「紗耶香さんの話だけじゃ確信出来ないけどね………話聞くとそうじゃないかな、と………それを裕司君に聞く聞かないかは、紗耶香さん次第だが、大事にされてるし本気で好きで居てくれてると思うよ」
「で、でも………また同じになったら……」
「それはなぁ………」

 律也も解決策は思い当たらない様子だ。考え込んでしまった。

「正直に言うとか?」
「正直は………つまらなくないか?」
「律也さん、紗耶香さんは本気で悩んでるのに………」
「紗耶香さん、その時は自分ペースじゃないんだろ?」
「自分ペース?」
「裕司君任せ、て言えば分かる?」
「…………裕司任せ………です……わ、私……経験無い……から………」
「あぁ………そうなんだ……なら……」

 律也がリビングから出て行ってしまう。

「まさか……」
「羽美さん?」

 羽美は察知した様子。
 そして、律也が箱を持って来た。

「未使用だし、これならお互いに使いやすいんじゃない?」
「律也さん!………私が察するに、裕司さんはどちらかといえばSですよ!」
「うん、だから?そんな事、羽美に言われなくても分かるよ」
「だったら……」
「ただ『緊張するから、自分でさせて』て言って、手を拘束するだけ………出来るなら背の方かな……紗耶香さんが愛撫すればいい」
「…………」
「生殺しには裕司君なるだろうけど、失敗しても触れ合いたい、て思ってもらうのが大切じゃないかな」

 手錠を律也は持って来たのだ。
 紗耶香からすれば、手錠1つでも難易度が高いだろう。

「使ってみます……正直に話して……」
「2人の事だし、後悔しないようにね」

       ☆☆☆☆☆

 その一方、裕司はというとクラブに顔を出していた。

 ―――電話にも出ねぇから、クラブに来てると思ったが……

 騒がしいクラブなら、電話に気が付かない事が多い為、紗耶香を探しに来ていた。
 会社から白河の運転手や護衛を使わず、タクシーを使ったと聞き、違うと思っていたが、VIPルームにも居ないのだ。

「裕司~!久々ね」
「おぉ……久しぶり」
「ね、今夜どう?」
「あ?………やらね……またがあるか分からんがな」
「女でも出来たの?」
「…………さぁね」

 顔見知りの女が居ようとも、見向きもせずクラブを出て来る裕司。

 ゚.*・。゚♬*゜

「!」

 外に出ると裕司のスマートフォンが鳴った。

『電話した?裕司………急用でも出来たかな?』
「行き先告げずに、帰りもせずふらついてんじゃねぇ!紗耶香!」

 裕司のホッとする声が電話越しで聞こえる。怒りに任せて怒っているが、溜息が漏れていたのだ。

『羽美さんと会ってて……』
「は?羽美?………お前の行き先に追加してなかった……もう出たのか?」
『………うん、今裕司のマンションに向かってる』
「…………俺のマンション?帰らないのか?」
『…………今夜は帰らない、て家には連絡した』
「…………お、おい……暫くは触らねぇて……言ったろ……」

 紗耶香の衝撃発言に、裕司は昂る。期待してしまう。この日、出来るかもと。

「お前、マンションの鍵持ってねぇだろ!」
『部屋の前で待ってるから』
「部屋の前で、て……」

 あと何分で着くとか言わずに紗耶香は通話を切ってしまった。

 ―――早く帰らなきゃ!

 クラブから裕司のマンションへは、車でも30分は掛かってしまう。紗耶香が何処に居るかも分からないので、急ぎ帰路につく裕司だった。
 やはり、約30分掛けてタクシーを拾って帰ると、紗耶香は裕司の部屋の前のドアに背を凭れて立って待っていた。

「はぁ…はぁ……紗耶香……」
「…………裕司、心配掛けちゃってごめん」
「…………家に送ってく」
「帰らない」
「紗耶香!」
「謝りたいし、昨日の事で弁解させて!じゃなきゃ前に進めない!」
「…………はぁ……分かった……だが、だけだ」
「…………うん……」

 裕司は気が付かなかった。
 裕司が玄関のドアを開ける時、紗耶香はバックの中に手を忍ばせていた事を。
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