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気恥ずかしい桜
しおりを挟む翌朝、桜也の部下達がマンションにやって来る。
「うわっ!濡れてる!床!」
「キッチンにグラス割れてるから気を付けろよ!」
「昨日の警護誰だよ!」
「てめぇら、うるせぇぞ!!頭がまだ寝てたら如何する!」
その声で、桜也も目が覚める。軽装で寝室を出ると、部下達を睨み付けた。
「聞いてねぇのか?昨日夜の奴等には、警護はマンション周辺だけでいい、と」
「頭!おはようさんです!」
「き、聞きましたが、本部から連絡入りまして知らせに来たんですよ、頭のスマホ電源切れてたみたいで……家電は今コード繋げてねぇし」
「…………あぁ、充電すんの忘れた…悪い……で?何だって、親父」
リビングのソファに座り、煙草を着けた桜也。
「昨日の獅子王組の襲撃について集会をする、と」
「…………集会したら、また龍虎会に襲撃あるぞ?俺だけ行きゃいいだろ」
「幹部達は昨夜から本部に待機してますよ」
「……………て、事は俺待ちか……」
「親父は、頭を朝迄呼び出すな、て言いましてね………どうせお嬢とヤってんだろ、と言うんで…………まぁ、想像通りで」
「………坂本……お前が親父にチクッたんだろうが」
「写真渡した時点で、親父はそうじゃねぇか、て言ってましたしね………親父にも頭言われたじゃないっすか、獅子王との関係は断ち切らせろ、て」
部下達がまたも昨夜の残骸を処理をしている。
「一昨日はな」
「じゃあ、昨夜は?」
「……………あ、そうだ……アフターピル確保しといてくれ」
「昨夜は?」
「うるせぇ!!………まだお嬢は寝てんだよ、起きちまう………腹減ったな………で?何時に来い、て?」
「起きたら来い、と」
「…………準備する……待ってろ」
ソファから立ち、再び寝室に戻り掛かる桜也。しかし、坂本から言われた言葉に足を止めた。
「お嬢も一緒に、と」
「……………何だと?」
「親父が言ったんじゃないですよ、幹部達です」
桜也は、溜息しか出なかった。
「…………お嬢を起こしてくる……シャワー浴びさせるから、バスルーム入るなよ」
「了解です」
寝室に入っていく桜也を見守る部下達。ニタニタと顔が綻んでいたのを、桜也は気が付かなかった。
「お嬢…………お嬢……起きて下さい」
「…………眠い……」
「…………朝から突っ込んでいいか?櫻」
「!!」
「おはようございます、お嬢………申し訳ありませんが、出掛けますのでご準備を………シャワー浴びて下さい」
「…………口調が違いますが……」
昨夜の命令口調の桜也ではなく、他人行儀な口調は何故か寂しい。
「部下達が居ますので」
「……………分かりました………あ!!スェットと下着!!」
「…………あぁ………片付けてましたね……」
「嫌ぁ!!見られましたよね!!」
「まぁ、バレてますから、今更お気になさらずに………抱いてバスルームに連れて行きますから、着る下着と別のスェットを後でお持ちします」
「……………」
泣きそうな顔の櫻子。部下達にナニしていたか知られるぐらいなんて如何でもいい。下着を見られたくないのだ。抱き上げようとした桜也を櫻子は拒否する。
「自分で歩きますから!下着もスェットも自分で持って行きます!」
「………いいですが……溢れ落ちますよ……注がれた白濁」
「!!」
真面目な顔した後に、クスッと笑う桜也。
「如何しても部下の出入りはありますから………慣れて欲しいとは言わないですが………慣れて下さい」
「言ってますけど!!」
結局、素っ裸でシーツに包まれ、抱き上げられた櫻子。手には下着を隠す様にスェットで隠す。結局下着はご丁寧に洗濯ネットに入れられ、洗濯篭にスェットと一緒に置いてあり、既にバスルームも掃除されていて、恥ずかし過ぎて死ねると思った櫻子だった。
「え?桜也………さんも入るんですか?」
「えぇ、いけませんか?」
「…………あ、あの……部下の人達が居ます……よ………ね?」
「シャワーを浴びるだけです…………少々急ぎますので、期待には添えませんが………」
あっという間に全裸になり、シャワーを浴びる桜也。
「ほら、洗われたいですか?私に………昨夜の様に………」
「…………自分で洗います」
何とか、桜也からの視線を浴びながら、シャワーを浴び、スェットを着る。
「今日、何かあるんですか?」
「えぇ、本部にお嬢を連れて来い、と親父が」
「本部?」
「龍崎家ですよ」
一瞬何処か分からなかった。自分が龍崎だという事が。僅か2週間前に会った人が祖父だと認識したのら1週間程前だ。
「……………行く……だけですか?」
「………お嬢は、何も気にしなくていいですから」
「…………はい……」
寝室に戻り、失礼の無いような服を着る櫻子。隣では、スーツ姿の桜也が髪をセットしていた。
「ん?………如何しました?」
「…………い、いえ……」
敬語の時の桜也と乱暴な時の桜也。何方が素なのか分からないまま、何も言えず車に乗り込んだ櫻子と桜也。スマホの充電が切れていたというので、充電コードを刺したスマホを何台も見比べていた。一体何台あるんだ、と思うぐらいタブレット端末やPC迄見ている。忙しそうで話掛けるのも躊躇っている内に、龍崎家に着いた車。日本家屋の佇まい
。イメージ通りの極道らしい屋敷だった。
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