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結婚式迄あと6日
しおりを挟む「ロレイラはそんな女じゃない!」
タイタスの部屋にトーマスが居る。
「では、お前はロレイラを如何するつもりだ?」
「そ、それは……その内、妃にと………。」
「タイタス………とりあえずはしっかり避妊はしろよ……王族で居たいならな。」
「…………な、何だよそれ!!」
トーマスは眼鏡を上げる。
「ロレイラは王族に入れられない、そう言えば分かるか?」
「分かんねぇよ!」
「兄上とナターシャの結婚式は6日後だ、無事に結婚式の成功を俺は願ってる。ナターシャはナターシャ………代わりは要らん。俺は、俺だけを愛してくれて、王族になっても品位を大事にしてくれる女がいいがな。」
「兄上だって、ナターシャがまだ好きじゃないか!」
「…………仕方ない、兄上にはナターシャが必要なんだから………この国の皇帝になるのは兄上。その兄上を支えるのはナターシャしか居ないんだ。」
悔しそうにトーマスはタイタスに伝え、部屋を出て行った。
「ロレイラは………俺の心を埋めてくれたんだ………。」
タイタスは床に座り込み頭を抱えた。
✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧
コンコン。
「はい。」
「トーマス……ちょっといいか?」
「兄上。」
トーマスの執務室にリュカが来る。
「如何しました?」
「昨日、ラメイラの事を聞いたんだ。」
「リュカ殿下、俺は聞かない方が良さそうなので出てますね。」
「いや、カイルも聞いといてくれ。これはちょっと問題が発生するかもしれない。」
「…………分かりました。同席が許されたので、意見を述べる事お許し下さい。」
「勿論だ。許可する。」
リュカはトーマスの執務室のソファに座ると、トーマスに言った。
「昨日、ロレイラがタイタスに接近していた事を聞いた。」
「!!ナターシャからですか!」
「あぁ……。」
あれ程念を押したのに、とトーマスから言葉が漏れる。
「トーマス、気を使わなくてもういい、あんな女が今更来た所で俺の心は揺さぶられない。」
「兄上がそれでいいなら。」
「ロレイラ、て殿下の許婚だった……。」
「カイルも知っているなら話は早いな。だが、タイタスはロレイラと俺の事は知らないんじゃないか?トーマスは知っているだろ?」
「………えぇ、タイタスは兄上とロレイラの間に合った事はしりませんよ。だから、タイタスがロレイラにのめり込む前に阻止しようと思ってます。」
「策は?」
「宰相に密偵を頼んでます。タイタスの警護とロレイラと一緒に居たという、レーチェという子爵令嬢の監視を。」
「結婚式が無事に終わる迄で構わない。結婚式後にロレイラが動くならまた考えようと思ってる。」
「え!!」
リュカの言葉に、驚くトーマスとカイル。
「な、何故です!兄上はロレイラに何をされたかお忘れですか!」
「…………忘れてないさ……だがトーマス……俺がナターシャと婚約して、何人の令嬢がナターシャに嫉妬して詰め寄って、ナターシャの心に傷を付け、その内の何人が罰せられ、平民に落とされたと思う?」
「そんなに居ると言うのですか?」
「俺が、結婚したら諦める令嬢も居ると思うが、俺に固執してなければ良縁に恵まれた筈なんだ。救済するつもりは無いが、セシルやカイルの様に未婚の将来性のある貴族令息も大勢居るんだ、彼らの為にも終わりにしたい。」
「分かりました。兄上がそう仰っるなら、兄上の指示に従い、結婚式迄監視しましょう。但し、タイタスの事に関しては話は別です。ロレイラがまだタイタスに擦り寄るなら……。」
「あぁ、それはお前に任せる。」
「ありがとうございます、兄上。」
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