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夕飯は5人で②
しおりを挟むこの日の夕飯はトーマスが、ナターシャを迎えに来て食堂迄エスコートし、昨日リュカが座っていた場所にトーマスが座り、ナターシャを横に座らせた。
(…………勉強のお相手の方が、その日のエスコート?)
ナターシャもそういう決まり事をしているのだ、と分かるようになった。
「トーマス殿下、ありがとうございます。」
「どういたしまして。」
「やぁ、ナターシャ。今日も可愛いね。」
リュカが声を掛けた。
「そんな、可愛いだなんて………。」
ナターシャは頬を赤らめて、手で覆う。
「今日は特に可愛かったよ、ナターシャ。詩集を読む声は小鳥の囀りのように、強弱のある話し方はピアノを弾くようなメロディを聞いているかのようだった。それに………。あぁ、コレは俺の心の中に留めておこう……。」
ムカッ………。
陶酔しているような、一人で空想の世界に入るトーマスにリュカとタイタスは苛つく。
「それに………何だ?」
「兄上、何?」
チラッ。
トーマスは、横に座るナターシャを見て、
「ナターシャ、言っていいかい?」
「な、何を?」
「水………ごちそうさま。」
「!!トーマス殿下!」
「ナターシャに水を飲ませてあげたのさ、ずっと詩集を読ませていたからね、俺の手で飲ました水を、ナターシャは口から溢してね、その度に拭ってあげたのさ。」
真っ赤な顔をし、俯いたナターシャを見るとこのされた事をどう思ったのか……。
意味は分かるだろうが、どうしたらいいのか戸惑いを隠せないのだろう。
「で?どうだった?トーマス。」
「どう、とは?」
「感触だよ、感触。」
リュカだけではない、タイタスもコリンも身を乗り出す。
「内緒だな。触れたければ頑張ってくれたまえ。」
「トーマス殿下、わたくしもうソレはしませんから。」
「分かったよ、ナターシャ。他の手を考えよう。嫌がる事はしたくないからね。」
ナターシャは恥ずかしくて恥ずかしくて、トーマスの顔を見れなかった。
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