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事後処理

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 アードラに宰相と外務大臣、第一側妃の突如の投獄に、王宮の中は騒然となった。
 危篤状態だったアドラード王も王座に戻ったのにも驚かれたが、その騒動さえもアドラードは見事に落ち着かせた手腕に、トーマスやカイルは驚く。

「ありゃ、嫉妬するよな。」
「父上がアマレスが宰相になったら困る、と言った言葉はコレだったか…………カイル。」
「ん?」
「国交再締結、気を引き締めろよ。」
「大丈夫だろ、プランはリュカ殿下が、着色はお前がやったんだ。付け込まれる隙はないと思うぜ。」

 玉座の陰で、トーマスとカイルはアドラードを見守っている。
 先ずは国内の混乱を落ち着かせなければならず、トーマスとカイルは宰相と外務大臣の穴が抜けた後の補佐を頼まれた。
 アードラにも適任は居るのだろうが、おそらくアマレスとナバーロの悪事処理が先となる為、次期宰相となる者の手伝いをする事になっている。
 なるべく早く落ち着かせたいアドラードの心理を汲んでの事だった。

「トーマス殿下、カイル殿、迷惑を掛けるがお願い申し上げる。」
「構いませんよ、我々も皇太子リュカリオンが見直しの必要性を国交で見たものですから、お互いの利益になるようご協力します。」
「契約書を見させて頂いたが、アードラにとっても利益になる事ばかり、だがレングストンにとっても得する内容で驚かされた。それに、侵略してしまった近隣諸国への停戦の架け橋にまでなってくれるとは………。」
「アードラはレングストンにとっても大事な友好国ですからね。」

 アードラとレングストンの名産品の輸出入の単価はそれぞれが違う。
 その輸出入額を両国一定にし、それぞれの品の金額を個数で調整した上で、更なる事を要求する分だけ利益を得るという事にした。
 お互いの国は毎年その一定額は購入しなければならないが、その分安定した量だけ手に入り、民衆も手に入りやすくする、というものの。
 産出量が悪かった分は外貨で賄うか、他の名産品の量で調整をする事になるようにするという事に決めたリュカリオン。
 以前は、欲しい分だけ個数に関税を掛けてはいたが、レングストンの名産品は質の良い薬草や、芳醇な香り高い葡萄から作られるワインの為、レングストン国内でも単価が高く扱われる代物に対し、アードラの名産品は紅茶や銅や亜鉛等の鉱物だった。
 銅や亜鉛等の鉱物の加工技術は産出量と生産設備が伴っておらず、現物を輸出するしかなかったアードラ。
 そのアードラ国内で生産加工設備を作り、その質で名産品を作っては、という提案書もアドラードに提出していたのだ。
 アードラの財源で可能な額で設備を少しずつ増やして行けば生産性も上がるのだ。
 国民の働き口も増え、収入も増えればまた豊かな国となるアードラに、レングストンは期待しているのだ。
 そうすれば、レングストンからの輸入品を買い取る量も増やせ、高品質の薬も買う事が出来、医療の分野にも助けになるのだ。

「本当に文句の付けようの無い提案書で腹立たしいな。」
「お褒めの言葉として受け取りますよ、アドラード王。兄がロバートに感謝してました。救済の糸口が見えたので。」
「ロバートもなかなかやりおる。他の大臣達と議論の上、今日中に返事をしよう。」
「良き返事をお待ちしてますよ。」

 反対意見が出たら、トーマスの出番。
 しかし、その提案書に既に着色していたトーマスの出番は無かった。
 アドラード王含め、宰相と外務大臣が抜けた他の大臣達の反対も無かったのだった。

「近隣諸国の案については、吸収合併か自治区としての扱いかを選ぶ選択肢は、問題点はあるかと思うが、アードラの犯罪者がやった事を誠心誠意伝えるつもりだ。トーマス殿下、カイル殿仲介役頼みます。」
「努力しますよ。」
「部下に侵略してきた国の事を調べさせてます。お互いの利害一致出来るよう提案しますよ。」

 トーマスとカイルはまだ帰れない。
 
 
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