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陽太郎の巣作り
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「さ、とりあえず、今はまず足を見せて」
「……痛くないからいい」
「よくありません。傷が悪化したらどうするんですか。ほら、出してください!」
斗貴哉が床に膝をついて、わざとらしく怒ったような顔で俺を見上げる。
仕方なくブランケットを被ったまま、俺はソファの上に座り直して、ブランケットの隙間から足を出した。
こうしてみると素足にソックスガーターって、自分の足ながらちょっとエロいよな。
斗貴哉は俺の右足を手で持つと、ガーターを緩めた。そして靴下をスルスルと脱がせると、踵を確認する。
「んー、やっぱりちょっと抉れたようになっていますね。痛くないように絆創膏を貼ってもいいですが、まず洗いましょうか。ああ、小指に水膨れもできていますね」
斗貴哉が俺の足を見ている間、俺はヒカルのことを考えていた。
ヒカルがずっと俺たちにニコニコしていた理由。
俺からしてみれば、よわっちいヒカルが、ただ媚びへつらうために笑っているんだと思っていた。でも今日宮前と対峙して、オメガにとってアルファがいかに怖いものであるか思い知った。
そしてオメガがいかに弱い存在であるかも。
ヒカルはああやって、ずっと自分の身を守ってたんだなって。
宮前に意見できるようになったってことは、きっと宮前とはいい関係を築けているんだろう。
でも宮前ってちょっとオメガに過剰に反応しすぎ。いちいち匂いで好きになってちゃ、そのうち他のオメガと浮気でもするんじゃねえかって心配になるけど。
「——大丈夫です? 陽太郎さん。私が触ったところが痛かったですか」
斗貴哉が心配そうに、俺の目の端を指で撫でた。
自分で気づかないうちに、涙でも出てたのか。
「んん。だいじょぶ。ちょっとホッとして」
「ああ、そうですよね。——ごめんなさい。あんなに私が守るって豪語したのに、こんな目にあわせてしまって」
初夜の日に、オメガになることを嫌がった俺に、斗貴哉が立てた誓い。
まあでも、今日のあれは不意打ちをくらったようなもんだしな。斗貴哉が来てくれたから、あれで済んだ訳だし。
「斗貴哉が来てくれたから助かった」
ボソッと呟いた俺の言葉に、「そういって頂けると私も救われます」と俺の頬を撫でた。
「斗貴哉、俺、もうヒートがくんのかな?」
「そうですね。もう始まっていると思います。本当はもっと先だったのかもしれませんけど、征佑さんからの強烈なアルファからのアプローチを受けたせいで、ヒートが誘発された可能性はありますね。まったくあの人は……」
「でも、ヒカルの時は一気にきたけど……」
「あれは運命の番を見つけた反動もあるでしょう。普通は予兆みたいなものがあって、それからくるみたいです。陽太郎さん、この巣作りもその予兆の1つですよ」
「ヒート……ちょっとこえーなって」
「大丈夫です。私がいますよ」
そう言って斗貴哉がふふっと笑って、俺に覆いかぶさるようにしてキスをした。
最初は何度か啄んで、それから舌が俺の口の中に差し込まれる。その舌からは斗貴哉の熱が伝わってきて、俺もそっとつつくように舌を絡めた。
「……痛くないからいい」
「よくありません。傷が悪化したらどうするんですか。ほら、出してください!」
斗貴哉が床に膝をついて、わざとらしく怒ったような顔で俺を見上げる。
仕方なくブランケットを被ったまま、俺はソファの上に座り直して、ブランケットの隙間から足を出した。
こうしてみると素足にソックスガーターって、自分の足ながらちょっとエロいよな。
斗貴哉は俺の右足を手で持つと、ガーターを緩めた。そして靴下をスルスルと脱がせると、踵を確認する。
「んー、やっぱりちょっと抉れたようになっていますね。痛くないように絆創膏を貼ってもいいですが、まず洗いましょうか。ああ、小指に水膨れもできていますね」
斗貴哉が俺の足を見ている間、俺はヒカルのことを考えていた。
ヒカルがずっと俺たちにニコニコしていた理由。
俺からしてみれば、よわっちいヒカルが、ただ媚びへつらうために笑っているんだと思っていた。でも今日宮前と対峙して、オメガにとってアルファがいかに怖いものであるか思い知った。
そしてオメガがいかに弱い存在であるかも。
ヒカルはああやって、ずっと自分の身を守ってたんだなって。
宮前に意見できるようになったってことは、きっと宮前とはいい関係を築けているんだろう。
でも宮前ってちょっとオメガに過剰に反応しすぎ。いちいち匂いで好きになってちゃ、そのうち他のオメガと浮気でもするんじゃねえかって心配になるけど。
「——大丈夫です? 陽太郎さん。私が触ったところが痛かったですか」
斗貴哉が心配そうに、俺の目の端を指で撫でた。
自分で気づかないうちに、涙でも出てたのか。
「んん。だいじょぶ。ちょっとホッとして」
「ああ、そうですよね。——ごめんなさい。あんなに私が守るって豪語したのに、こんな目にあわせてしまって」
初夜の日に、オメガになることを嫌がった俺に、斗貴哉が立てた誓い。
まあでも、今日のあれは不意打ちをくらったようなもんだしな。斗貴哉が来てくれたから、あれで済んだ訳だし。
「斗貴哉が来てくれたから助かった」
ボソッと呟いた俺の言葉に、「そういって頂けると私も救われます」と俺の頬を撫でた。
「斗貴哉、俺、もうヒートがくんのかな?」
「そうですね。もう始まっていると思います。本当はもっと先だったのかもしれませんけど、征佑さんからの強烈なアルファからのアプローチを受けたせいで、ヒートが誘発された可能性はありますね。まったくあの人は……」
「でも、ヒカルの時は一気にきたけど……」
「あれは運命の番を見つけた反動もあるでしょう。普通は予兆みたいなものがあって、それからくるみたいです。陽太郎さん、この巣作りもその予兆の1つですよ」
「ヒート……ちょっとこえーなって」
「大丈夫です。私がいますよ」
そう言って斗貴哉がふふっと笑って、俺に覆いかぶさるようにしてキスをした。
最初は何度か啄んで、それから舌が俺の口の中に差し込まれる。その舌からは斗貴哉の熱が伝わってきて、俺もそっとつつくように舌を絡めた。
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