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(うっそ、マジかよ)
俺の上に、微笑む斗貴哉様の艷やかな髪が、一房サラリと滑り落ちてくる。
「と、斗貴哉様……?」
なんだか、少し怖い。
「陽太郎さん、どうかしました?」
言葉では言い表せないくらい、美しい微笑み。
「——もしかして、初夜を迎えるのが怖くなっちゃいました?」
「ち、違う!」
言葉とは裏腹に、俺の頭の中では危険を知らせるアラートが鳴っていた。
アルファの本能が、斗貴哉様は危険だと告げている。
「本当に? でも怯えた目をしてる」
クスリと笑ったその顔はあまりにも妖しく、俺はまるで蛇に睨まれた蛙の如く、体が硬直して動くことができない。
「陽太郎さん、可愛い。ふふ、そうですね、結婚式も終わったし、そろそろ打ち明けてもいい頃かな」
「——え、な、なに?」
「本当に可愛いな、陽太郎さんは。声が震えてる。アルファなのに、こんなに可愛くていいのかな」
顔が引きつり震えてうわずった声が出た俺に、斗貴哉様は嬉しそうに口づけた。
しっとりとした唇が俺に触れて、舌が俺の歯をなぞると、チュッと小さく音を立てて離れた。
「——陽太郎さんは、まだ私がオメガだって信じてる?」
「え?」
「ふふ、実は私がアルファだって言ったら驚きますか?」
——斗貴哉様がアルファ?
そんなわけない。
いや、でも確かにこの威圧感はオメガにしてはおかしい。
どういうことだ? 理解ができない。
斗貴哉様は、俺よりも優位に立ちたくて、俺をからかっているのか?
ああ、もうなんか、心臓がバクバクする。胸が痛い。
動悸が早くて息苦しい。
なんだか急に体が熱くなってきたし、体が少し変だ。
「陽太郎さんは、発情ももしかして初めて?」
「え? え?」
「発情の兆候が出てきてますよ」
頭がパニックになっていて、斗貴哉様の言っている意味が理解できない。
発情? 俺が? 今? こんな状況で?
「ほら、勃ってきた。本当に可愛いな。陽太郎さん、ここ気持ちいいかな」
「え? 嘘、あ、斗貴哉様っ、そこはちょっと、まだ……あっ」
「ふふ、ラットが初めてなら、亀頭球が膨らむのも初めてかな」
はだけたガウンの隙間から手を入れた斗貴哉様に直接ペニスを握られて、そこで初めて自分が勃起していることに気がついた。
あの細く長い指が優しく竿を撫で上げて、亀頭にできたぷっくりと膨らんだ箇所を強く擦ると、俺の脳天に電気がかけぬけた。
「ひっ……!」
なんで俺はもう勃起してんだ?
しかも亀頭球が出たことも初めてだ。
もう頭の中には「なんで?」しかない。
「陽太郎さん、花咲家っていうのはね、ちょっと特殊な能力を持つ家でね」
「え? ……な、あ……やだっ、そこ擦んなっ……あぁっ」
「元々アルファが生まれやすい家なんですけど、何人かに1人にオメガに擬態する能力のある者が生まれるんです」
「あ、も、そこやだって……、あ、ちょっ、……ひぁ」
「まるで擬態して捕食する虫のように、オメガを模して、その姿でアルファを誘惑することができるんです。アルファがアルファを誘惑なんておかしいでしょう? 普通ならありえないですよね。じゃあなんでそんなことをやるかって……陽太郎さん、聞いてます?」
クスクスという笑い声が俺の耳元で響く。でも俺は、これまでにないくらいに猛り立ったペニスを斗貴哉様に扱かれ、抗うすべもなく、ただひたすら喘いでいた。
——本当にどうしてこうなった?
「もうイキそう? まだダメですよ」
斗貴哉様がいきなり扱いていた手を止め、指を玉の下に滑らせたと思ったら、いきなり後ろの穴に指を差し込んだ。 尻の穴にいやな感触。
「あっ! やだっ、今やめるなって……ひ……あ、違う! やだ、そこは本当に嫌だ! やだって!」
俺は驚いて、なんとかその指から逃れようと、俺は腰を捻り身をよじる。
「だめですよ、力を抜いて。んー、やっぱり濡らさないとだめかな」
指が抜かれるのを感じ、ほっと体から力が抜けた。
斗貴哉様が何かを取ろうと、俺から体を離しベッドサイドに手を伸ばすのが見えた。
(逃げるなら今しかない)
俺は必死の思いで、咄嗟に斗貴哉様の下から這い出ようとした。
だがすぐに気付かれ、あっけなく腰を捕らえられ、引き戻されてしまった。
「逃げたらだめですよ、陽太郎さん」
斗貴哉様は手早く何かを手に垂らす。
ぬめった指が穴の周囲をぬるぬると撫で回す感触に、俺の口からは小さな悲鳴が出た。だが斗貴哉様はそんな俺の声など聞こえなかったかのように、そのままの勢いで指をぬるりと後ろの穴に差し挿れた。
俺の上に、微笑む斗貴哉様の艷やかな髪が、一房サラリと滑り落ちてくる。
「と、斗貴哉様……?」
なんだか、少し怖い。
「陽太郎さん、どうかしました?」
言葉では言い表せないくらい、美しい微笑み。
「——もしかして、初夜を迎えるのが怖くなっちゃいました?」
「ち、違う!」
言葉とは裏腹に、俺の頭の中では危険を知らせるアラートが鳴っていた。
アルファの本能が、斗貴哉様は危険だと告げている。
「本当に? でも怯えた目をしてる」
クスリと笑ったその顔はあまりにも妖しく、俺はまるで蛇に睨まれた蛙の如く、体が硬直して動くことができない。
「陽太郎さん、可愛い。ふふ、そうですね、結婚式も終わったし、そろそろ打ち明けてもいい頃かな」
「——え、な、なに?」
「本当に可愛いな、陽太郎さんは。声が震えてる。アルファなのに、こんなに可愛くていいのかな」
顔が引きつり震えてうわずった声が出た俺に、斗貴哉様は嬉しそうに口づけた。
しっとりとした唇が俺に触れて、舌が俺の歯をなぞると、チュッと小さく音を立てて離れた。
「——陽太郎さんは、まだ私がオメガだって信じてる?」
「え?」
「ふふ、実は私がアルファだって言ったら驚きますか?」
——斗貴哉様がアルファ?
そんなわけない。
いや、でも確かにこの威圧感はオメガにしてはおかしい。
どういうことだ? 理解ができない。
斗貴哉様は、俺よりも優位に立ちたくて、俺をからかっているのか?
ああ、もうなんか、心臓がバクバクする。胸が痛い。
動悸が早くて息苦しい。
なんだか急に体が熱くなってきたし、体が少し変だ。
「陽太郎さんは、発情ももしかして初めて?」
「え? え?」
「発情の兆候が出てきてますよ」
頭がパニックになっていて、斗貴哉様の言っている意味が理解できない。
発情? 俺が? 今? こんな状況で?
「ほら、勃ってきた。本当に可愛いな。陽太郎さん、ここ気持ちいいかな」
「え? 嘘、あ、斗貴哉様っ、そこはちょっと、まだ……あっ」
「ふふ、ラットが初めてなら、亀頭球が膨らむのも初めてかな」
はだけたガウンの隙間から手を入れた斗貴哉様に直接ペニスを握られて、そこで初めて自分が勃起していることに気がついた。
あの細く長い指が優しく竿を撫で上げて、亀頭にできたぷっくりと膨らんだ箇所を強く擦ると、俺の脳天に電気がかけぬけた。
「ひっ……!」
なんで俺はもう勃起してんだ?
しかも亀頭球が出たことも初めてだ。
もう頭の中には「なんで?」しかない。
「陽太郎さん、花咲家っていうのはね、ちょっと特殊な能力を持つ家でね」
「え? ……な、あ……やだっ、そこ擦んなっ……あぁっ」
「元々アルファが生まれやすい家なんですけど、何人かに1人にオメガに擬態する能力のある者が生まれるんです」
「あ、も、そこやだって……、あ、ちょっ、……ひぁ」
「まるで擬態して捕食する虫のように、オメガを模して、その姿でアルファを誘惑することができるんです。アルファがアルファを誘惑なんておかしいでしょう? 普通ならありえないですよね。じゃあなんでそんなことをやるかって……陽太郎さん、聞いてます?」
クスクスという笑い声が俺の耳元で響く。でも俺は、これまでにないくらいに猛り立ったペニスを斗貴哉様に扱かれ、抗うすべもなく、ただひたすら喘いでいた。
——本当にどうしてこうなった?
「もうイキそう? まだダメですよ」
斗貴哉様がいきなり扱いていた手を止め、指を玉の下に滑らせたと思ったら、いきなり後ろの穴に指を差し込んだ。 尻の穴にいやな感触。
「あっ! やだっ、今やめるなって……ひ……あ、違う! やだ、そこは本当に嫌だ! やだって!」
俺は驚いて、なんとかその指から逃れようと、俺は腰を捻り身をよじる。
「だめですよ、力を抜いて。んー、やっぱり濡らさないとだめかな」
指が抜かれるのを感じ、ほっと体から力が抜けた。
斗貴哉様が何かを取ろうと、俺から体を離しベッドサイドに手を伸ばすのが見えた。
(逃げるなら今しかない)
俺は必死の思いで、咄嗟に斗貴哉様の下から這い出ようとした。
だがすぐに気付かれ、あっけなく腰を捕らえられ、引き戻されてしまった。
「逃げたらだめですよ、陽太郎さん」
斗貴哉様は手早く何かを手に垂らす。
ぬめった指が穴の周囲をぬるぬると撫で回す感触に、俺の口からは小さな悲鳴が出た。だが斗貴哉様はそんな俺の声など聞こえなかったかのように、そのままの勢いで指をぬるりと後ろの穴に差し挿れた。
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