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13 その夜の出来事
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レイズンはまるで夢の中にいるようだった。
本当にもうだめかと思っていたのだ。ハクラシスは依存だの勘違いだのと恋心を否定する言葉を並べ、明らかにレイズンを諦めさせようとしていた。
だから『考えさせてくれ』と言われた時には、これはもう断る口実を探しているなと絶望していた。
だが今レイズンはハクラシスの手に導かれ、彼にしがみついている。
彼の髭が頬に当たり、吐息が耳元にある。首に鼻を埋めると、ろうたけた男の匂いと彼の使う整髪料の香りで、頭がクラクラした。
「レイズン、……本当に俺でいいんだな」
優しく頭を撫でながらハクラシスが確認する。
レイズンはギュッとしがみつきながら、「あなたがいい」と囁いた。
そしてへへへと幸せそうに笑った。
「……俺、キスしたいです」
そうレイズンがねだり、ハクラシスの髭に埋もれた頬に唇を寄せると、ハクラシスも顔をずらし唇を重ねる。
最初は優しく、2度3度啄むように口づけると、最後レイズンの下唇を噛むように吸い上げて離れた。
「……髭が当たるな。嫌じゃなかったか」
その問いには答えず、レイズンがへへへと恥ずかしそうに笑うと、ハクラシスは「そうか」と頭を撫でた。
レイズンは幸せの真っ只中だった。
まさか自分の告白を受け入れてくれるとは。レイズンは嬉しくて仕方がなかった。嬉しくて嬉しくて、外に飛び出て雪の中を転げ回りたい気分だった。
その日一日レイズンはハクラシスにベッタリとくっつき、うっとりと彼を眺めていた。
そしてその夜——
外の雪は吹雪に変わり、ビョウビョウという風の音が聞こえる。戸板のお陰で窓のガタツキは抑えられ、ただ風の音だけが鳴っていた。
「眠れない」
一人自室で寝ていたレイズンは、渋い顔で小さく唸った。
外がうるさいのだ。うるさくて眠れない。
——いや、それはレイズンの八つ当たりであり、眠れない本当の理由は音のせいなどではない。一人で寝ているこの状況のせいだ。
ハクラシスに告白を奇跡的に受け入れて貰い、一日幸せな気分で過ごしたレイズンだったが、残念なことに甘いムードは最初だけで、その後は期待したようなものは何もなかった。
キスも最初にねだったきりの軽いものだけ。部屋でくつろぐハクラシスにまとわりついてはみたが、「よしよし」と頭を撫でられるだけであとは軽く受け流された。
それでも今日は絶対に一緒に寝るんだ! というレイズンのワクワクドキドキ夜のお楽しみは、「おやすみ」という言葉によってあっさりと切り捨てられたのだった。
「小隊長殿~」
レイズンは眠れず頭をゴリゴリと枕に押し当てた。
今夜くらいは一緒に眠りたかった。いや、今夜からずっと、が正解だ。
「なんだよ、恋人になったら一緒に寝るもんだろ~」
何が「もう遅いから早く寝なさい」だ。これじゃいつもと変わらないじゃないか。
レイズンは悪態つきながら寝返りをうち、仰向けになると、大の字になって天井を見上げた。
(そういや、俺、小隊長殿の部屋に入ったことないな)
これまでハクラシスがレイズンの部屋に来ることはあっても、レイズンがハクラシスの部屋に行くことはなかった。まあ行く理由もなく、呼ばれることもなかったのだから仕方がない。
ドアが開いたときにちらっと室内が見えることはあるが、わざわさ覗き見たことはない。
(……部屋にいってみようかな)
ハクラシスの部屋がどんな感じなのか、急に気になってきた。
恋人なんだから部屋くらい見せてくれるだろう。これを口実に部屋を訪ねればいい。
「よし行こう」
レイズンは意を決してベッドから立ち上がった。
「小隊長殿、起きてますか」
ハクラシスの部屋のドアを軽くトントンと叩くと、「ああ起きている」という声が聞こえ、すぐにドアが開いた。隙間からフワッとハクラシスの匂いが漂う。
「どうした」
寝衣にと分厚い獣毛素材の肌着を身に着けたハクラシスが、中から顔を覗かせた。大きな体が邪魔をして、隙間からは室内の様子を覗き見ることはできない。
「眠れないのか」
「いや、小隊長殿の部屋ってどんな感じなのか急に気になって……」
部屋から漂うハクラシスの匂いにドギマギしながらそう言うと、ハクラシスは片眉を上げた。
「一緒に寝たいのならそう言え」
「……はい」
態度があからさまだったのか、レイズンの思惑などあっさりと見透かされ、気恥ずかしさをお得意のへへへ笑いで誤魔化した。
はじめから素直にそう言えば良かったのだ。
「入れ」という言葉に、レイズンは初めてハクラシスの部屋に招き入れられた。
(あれ、増築したばっかりのときと同じだ。というより、まったく変わってない……)
ハクラシスの部屋は、驚くほど何もなかった。
増築したときに買い揃えたベッドと机、そして古い衣装ケースが無造作に置いてあるくらい。
このベッドと机はレイズンと揃いで買ったものだが、レイズンは机に本やらお菓子の入った瓶やら、好きなものを無造作に並べて置いている。
しかし、ハクラシスは買ったそのままの状態で飾り気なし。
衣服もケースにきちんと入り、散らかるでもない。何か足りない、そんな違和感すらある。唯一飾りになるものといえば、机上のインク壺とペンくらいか。
「何だ、珍しいものでもあったか」
ドアの前に突っ立って物珍しそうにキョロキョロするレイズンに、ベッドの端に座ったハクラシスが声をかける。
「いや、何もないなって……」
本当に何もない。必要最適のものしかないのだろう。
この人の趣味って一体なんだろう。趣味とかあるんだろうか。趣味云々以前に、本当にここに定住している人なのかと疑いたくなる。
(まるでいつでもここを出て行けるようにしているみたいだ)
——いつかハクラシスがふいに自分の前から一切合切何も残さず消えてしまうのではないか。そんな不安にかられた。
「寝ないのか? 俺はもう寝るぞ」
ぼけっと突っ立ったままのレイズンにしびれを切らし、ハクラシスはベッドに横になった。そして「来ないのか?」と布団の端を持ち上げた。
「寝ます!」
レイズンは飛び上がるようにして、持ち上げられた布団の隙間に滑り込んだ。一人用にしては広めのベッドも、男二人寝ると流石に窮屈ではある。
「へへ」
「もう遅い。早く寝ろ」
ハクラシスがベッドサイドのランプを消した。
布団からは、さらに濃いハクラシスの匂いが漂う。レイズンはその匂いに痺れ、後ろから聞こえるハクラシスの吐息に、密かに体を震わせた。
落ち着かず体をモゾモゾと動かせていると、「どうした」とハクラシスが声をかけた。
あまりの落ち着きのなさに、ハクラシスもこれでは眠れないと、レイズンを押さえ込むようにして背後から手を回して抱きしめた。
「……あ」
(まずい、もう勃っちゃったよ)
レイズンは硬くなった前を隠すために少し体を丸めると、今度は「なんだ寒いのか」と勘違いしたハクラシスがさらに体を密着させてくる。
(ふ、ぁ、首に息がかかる)
ふーっと呼吸が首筋にかかるたび、レイズンの体はゾクゾクと震え、耐えきれず股間に手が伸びる。
しかしこの様子だと今日は何もするつもりはないのだろう。ハクラシスに昂ぶった様子はみじんもない。
(イチャイチャする雰囲気すらないもんなあ)
本当にレイズンに手を出すつもりなどないから、夜も部屋を別々にしたんだろうと思うと、ちょっと切ない。
これじゃ本当にいつもの親子ごっこと変わりないじゃないか。初日だからとはいえ、コレはない。もうちょっといいムードというか、イチャイチャが始まってもいいんじゃないか。
まさか本当は、全然好きでもなんでもなくて、面倒ごとを避けるために告白を受けたのだとしたら……?
「しょ、小隊長殿……」
レイズンは精一杯切ない声で彼を呼んだ。身をよじり振り向けば、すぐそこにはハクラシスの顔がある。
最初は寝るために目を閉じていたハクラシスも、レイズンの物欲しげな声に目を開けた。
「……小隊長殿」
「……なんだ、甘えん坊だな」
目の前に迫るレイズンの唇の意味をすぐに理解し、少し身を起こし上から覆いかぶさるようにして自身の唇を重ねた。
ややゴワついた髭が、キスのたびに頬や顎に当たり少しくすぐったい。レイズンは夢中で落ちてくるハクラシスの唇を吸った。
だがちゅっちゅっと軽く啄むだけのハクラシスに、だんだんとじれったくなったレイズンは、体を彼のほうに向けて自ら舌を差し出した。
そして首に腕を回し体を密着させ、硬くなった股間を押し付けることで、どれだけ自分がハクラシスに欲情しているかを訴えた。自分は本気なのだと。
——ハクラシスはレイズンに甘い。
今も乗り気ではないのに、こうやって甘えるレイズンに合わせてくれている。
ハクラシスが勃たないのは、たぶん相手が男の自分だから。そう、仕方がないのだ。
いつかそのうち自分を求めてくれる日がくるだろうと、自分で自分を無理矢理納得させる。
そうだ、キスをしてくれるだけでも十分嬉しい。
「……レイズン、なんだ勃起したのか」
「ん……へへ」
腹に当たる硬いモノが何かをすぐに察し、ハクラシスは差し出されたレイズンの舌を甘噛みしつつ、呆れた声を出した。
「若いヤツは元気だな」
なんだかこのままではうまくはぐらかされてしまいそうな雰囲気に、レイズンは勇気を出した。
「……しょ、小隊長殿、今夜、その……俺と、だめですか」
だが何度腰を擦り付けてもハクラシスの股間からは、勃起の兆しは感じない。ペニスらしき柔らかいものを感じる程度だ。
(やっぱり女性じゃないとダメなのかな。俺じゃ勃たないか……)
分かってはいるが、なんとなく悲しくなってレイズンが俯くと、ハクラシスは状況を察して少し腰を引くとレイズンの頬に口づけた。
「すまない、以前からちょっと勃ちが悪いんだ。……俺も歳だな。うまい餌が目の前にあるのに勃たないとは。役立たずですまない」
珍しく茶化すような言い方だった。
レイズンは驚いて顔を上げた。そして目を丸くし、ハクラシスを凝視した。
「……なんだレイズン、その顔は」
(え、本当に? 勃たないのは歳のせい? マジで?)
勃起しないのは歳のせい。
騎士団をとっくに退役した身にもかかわらず、年齢を感じさせないほどに筋骨隆々なあのハクラシスが、まさかの勃起不全。
思わずレイズンはぶふっと吹き出した。
「くくっはははは」
笑ったのは勃起不全をバカにしたわけじゃない。勃たない理由が思わぬところにあったからだ。それじゃあその気にだってならないだろう。
(良かった~俺のせいじゃなくて)
レイズンはハクラシスの下で笑い転げていた。
「おい、レイズン笑いすぎだ」
「すみません、ツボに入ってしまって」
それでもクククと笑うレイズンに、呆れたように「もういい、黙れ」と唇で唇を塞いだ。
「……んっ」
舌をねっとりと絡め、息を吸う隙さえ与えないほど激しいキスに、レイズンの笑いは吸い取られて消えた。
代わりに聞こえるのは、吐息とともに漏れる水音だけ。
「あ……はぁ、……ん、…………んん……」
ハクラシスがキスをしながらレイズンの股間に手を伸ばした。そしてズボンに浮き出た硬く長い膨らみに沿って、その細長い手を上下に動かす。
「あ、くっ……気持ちい…………小隊長殿…………ん…………は……ぁ……」
手の動きに合わせてレイズンの腰もわずかに揺れ動き、ベッドがキシキシと音をたてる。布越して刺激は物足りないが、それでも擦っているのがハクラシスだと思うと、腹の奥がジンと痺れた。
「あっ……もっと、……あっ小隊長ど、のっ」
「……なんだ直に触ってほしいか」
そう耳元で囁かれ、ぞくぞくと首筋に震えが走り、先走りに自分の下着が湿っていくのを感じる。
「どうした? このまま服の上からでいいのか?」
「ひあ……っ」
股間を擦られ、耳たぶを舐られ、思わず悲鳴のような声が出た。
こんなエロい状況になるのはいつぶりか。
すっかりご無沙汰だったせいか、それともハクラシスの責めるような声色のせいか、レイズンの体は敏感になっていた。こんな些細なことで、体が悦びに震える。
(はぁ……ヤバい、小隊長殿の手、すごい気持ちいい)
直に触られたらもっと気持ちいいんだろうな。
レイズンは自分からズボンを下げて、ハクラシスの手に雫を垂らす自身のペニスを押し当てた。早く扱いて欲しいと目で訴えると、
「なんだ、言葉にしないとわからないぞ」
ハクラシスはそう言いながら、濡れてペトペトになった先端を意地悪そうに指先でヌルッと撫であげ、鈴口を割った。
その瞬間「あっ」という声とともにレイズンの腰がのけ反り、浮き上がった。
「は、……あ、もっと……」
「はっきり言いなさい」
「あ……小隊長殿の手で扱いてほしい、です……」
「よしいい子だ」
褒美だとばかりにキスを与えると、ハクラシスはレイズンのペニスに指を這わせた。鈴口から滲み出る先走りを塗り広げ、それを潤滑剤にしてシュッシュと滑らかに上下へと動かす。待ちに待ったその手の感触に、レイズンは恍惚とした表情を浮かべた。
「あっあっあっやっ、はぁ……気持ちいい……んっああっいいっ」
「よしよし、気持ちいいならいい」
「あっ、お、俺、本当に小隊長殿のことが好きで……ほんとに……んん……ああっ」
レイズンはうわ言のように、「気持ちいい」と「好き」を繰り返す。ハクラシスは「分かった分かった」と宥めるように相槌し、首筋に唇を這わせ、さらに扱く手を早めた。
「……そろそろイケそうか」
「ん……あっ、で、出そう…………くぅ」
レイズンが体をぐんっと突っ張らせて白濁を迸らせると、ハクラシスはその大きな手で器用に受け止めた。
ーーーー
翌朝レイズンは、冷えた空気を肌に感じ、目が覚めた。室内なのに顔は冷たく、吐く息が白い。
眠る前までストーブを焚いて温めていた室内も、朝にはすっかり冷えてしまったようだ。そして室内はまだ暗い。
「はふーさむっ」
レイズンは布団を被り、冷たくなってしまった顔を温めた。被った布団からはハクラシスの匂いがする。
(あー、昨日はそのまま一緒に寝たんだ)
へへへと自然と顔がニヤける。変な笑い声を上げながら顔を布団に擦り付けた。だがそういえば肝心のハクラシスが隣にいない。
(あれ、そういえば小隊長殿は……)
とっくに起きたのだろう、レイズンの隣はもぬけの殻で、シーツはすっかり冷たくなっている。
「うえっ、今何時だ」
レイズンは飛び起きた。
あまりに暗いのでまだ夜明け前かと思っていた。どうやら違うらしい。雪の時期は昼と夜が曖昧になるとハクラシスが言っていたのを思い出した。
「まずい寝坊だ」
寝衣の乱れも直さず、慌てて部屋を飛び出た。
ハクラシスはすでに朝食を作るためキッチンに立っていて、部屋はいつからストーブを焚いていたのかもうほんのり暖かく、飛び込んできたレイズンの冷えた体を心地よく包み込んだ。
「起きたのか」
「お、おはようございます! 暗いからまだ早いと勘違いしちゃって……朝ごはん作れなくてすみません」
「今日はいい。だが明日からはちゃんと起きなさい。時間の感覚が麻痺すると、体調を崩しやすくなからな」
「はい!」
「分かったらとっとと着替えてきなさい」
「はい!」
ピュッという音が聞こえてきそうなくらいの早足で、レイズンは自室に駆け込んだ。
一晩無人だった部屋はひどく寒く、まるで雪の中にいるかのようだ。凍えた空気が肌に触れ、レイズンは思わず「さっむ」と声が出た。
「ひゃーさむさむさむさむさむ……」
呪文のように寒い寒いを繰り返しながら、あたふたと冷えた衣装ケースから衣服を取り出した。鳥肌を立てながら着替えつつ、レイズンは(あれ?)と首を傾げた。
(俺、小隊長殿と恋人同士になったんだよな??)
おかしい。昨日恋人同士になったのに、いつもの朝と変わらない。これでは悪夢を見て添い寝してくれた日のハクラシスのほうが優しくて甘かった。
(なんだか、こう、ほら、朝イチャイチャしながら起きたりとか……)
イチャイチャどころか起こしても貰えなかったし。せめておはようのキスくらいは、あってもいいんじゃないのか。
(俺が期待しすぎなのかな~)
あまり思い出したくない記憶だが、恋人だったラックとの生活はとても甘いものだった。同室だったこともあり、二人は朝から晩までイチャイチャし通しで、朝はおはようのキスから始まり、暇さえあればエッチなことをして、夜ともなればいつも二人は裸で同じベッドの上にいた。
たまには一人になりたかったが、それでも彼から求められることは、レイズンにとって悦びであり支えだった。
——あんなことが起こるまでは
(克服したと思ったが、ラックとのことはやっぱり思い出すもんじゃないな)
二人で過ごした記憶を思い出せば、必ずあの記憶まで引っ張られるように蘇り、幸せだった頃の記憶は、男たちの下卑た笑い声で塗り替えられる。
レイズンは身震いした。
ササッと服を着替え終わると、部屋を飛び出した。
「小隊長殿」
パンを切るハクラシスの元へ駆け寄ると、縋るように背後から抱きしめ、甘えた声を出した。
「……どうした? 刃物を使っているんだ。危ないだろう」
「へへ、ちょっと寂しくなって」
「起こさなかったのが悪かったのか? 昨日は少し疲れただろうと気遣ってやったんだが……仕方のない奴だな」
ハクラシスは呆れたような物言いで、振り返りざまレイズンにキスをすると、また何事もなかったようにパンを切る作業に戻った。
「へへ」
「ほら、手伝うんだ」
「はーい」
口元に当たった髭の感触をなぞるように手で触りながら、レイズンは皿を取りに向かった。
ハクラシスとの生活はレイズンが期待するような淫らで爛れたものではなかったが、こんな何気ない触れ合いが、レイズンの心を平穏で満たしていった。
本当にもうだめかと思っていたのだ。ハクラシスは依存だの勘違いだのと恋心を否定する言葉を並べ、明らかにレイズンを諦めさせようとしていた。
だから『考えさせてくれ』と言われた時には、これはもう断る口実を探しているなと絶望していた。
だが今レイズンはハクラシスの手に導かれ、彼にしがみついている。
彼の髭が頬に当たり、吐息が耳元にある。首に鼻を埋めると、ろうたけた男の匂いと彼の使う整髪料の香りで、頭がクラクラした。
「レイズン、……本当に俺でいいんだな」
優しく頭を撫でながらハクラシスが確認する。
レイズンはギュッとしがみつきながら、「あなたがいい」と囁いた。
そしてへへへと幸せそうに笑った。
「……俺、キスしたいです」
そうレイズンがねだり、ハクラシスの髭に埋もれた頬に唇を寄せると、ハクラシスも顔をずらし唇を重ねる。
最初は優しく、2度3度啄むように口づけると、最後レイズンの下唇を噛むように吸い上げて離れた。
「……髭が当たるな。嫌じゃなかったか」
その問いには答えず、レイズンがへへへと恥ずかしそうに笑うと、ハクラシスは「そうか」と頭を撫でた。
レイズンは幸せの真っ只中だった。
まさか自分の告白を受け入れてくれるとは。レイズンは嬉しくて仕方がなかった。嬉しくて嬉しくて、外に飛び出て雪の中を転げ回りたい気分だった。
その日一日レイズンはハクラシスにベッタリとくっつき、うっとりと彼を眺めていた。
そしてその夜——
外の雪は吹雪に変わり、ビョウビョウという風の音が聞こえる。戸板のお陰で窓のガタツキは抑えられ、ただ風の音だけが鳴っていた。
「眠れない」
一人自室で寝ていたレイズンは、渋い顔で小さく唸った。
外がうるさいのだ。うるさくて眠れない。
——いや、それはレイズンの八つ当たりであり、眠れない本当の理由は音のせいなどではない。一人で寝ているこの状況のせいだ。
ハクラシスに告白を奇跡的に受け入れて貰い、一日幸せな気分で過ごしたレイズンだったが、残念なことに甘いムードは最初だけで、その後は期待したようなものは何もなかった。
キスも最初にねだったきりの軽いものだけ。部屋でくつろぐハクラシスにまとわりついてはみたが、「よしよし」と頭を撫でられるだけであとは軽く受け流された。
それでも今日は絶対に一緒に寝るんだ! というレイズンのワクワクドキドキ夜のお楽しみは、「おやすみ」という言葉によってあっさりと切り捨てられたのだった。
「小隊長殿~」
レイズンは眠れず頭をゴリゴリと枕に押し当てた。
今夜くらいは一緒に眠りたかった。いや、今夜からずっと、が正解だ。
「なんだよ、恋人になったら一緒に寝るもんだろ~」
何が「もう遅いから早く寝なさい」だ。これじゃいつもと変わらないじゃないか。
レイズンは悪態つきながら寝返りをうち、仰向けになると、大の字になって天井を見上げた。
(そういや、俺、小隊長殿の部屋に入ったことないな)
これまでハクラシスがレイズンの部屋に来ることはあっても、レイズンがハクラシスの部屋に行くことはなかった。まあ行く理由もなく、呼ばれることもなかったのだから仕方がない。
ドアが開いたときにちらっと室内が見えることはあるが、わざわさ覗き見たことはない。
(……部屋にいってみようかな)
ハクラシスの部屋がどんな感じなのか、急に気になってきた。
恋人なんだから部屋くらい見せてくれるだろう。これを口実に部屋を訪ねればいい。
「よし行こう」
レイズンは意を決してベッドから立ち上がった。
「小隊長殿、起きてますか」
ハクラシスの部屋のドアを軽くトントンと叩くと、「ああ起きている」という声が聞こえ、すぐにドアが開いた。隙間からフワッとハクラシスの匂いが漂う。
「どうした」
寝衣にと分厚い獣毛素材の肌着を身に着けたハクラシスが、中から顔を覗かせた。大きな体が邪魔をして、隙間からは室内の様子を覗き見ることはできない。
「眠れないのか」
「いや、小隊長殿の部屋ってどんな感じなのか急に気になって……」
部屋から漂うハクラシスの匂いにドギマギしながらそう言うと、ハクラシスは片眉を上げた。
「一緒に寝たいのならそう言え」
「……はい」
態度があからさまだったのか、レイズンの思惑などあっさりと見透かされ、気恥ずかしさをお得意のへへへ笑いで誤魔化した。
はじめから素直にそう言えば良かったのだ。
「入れ」という言葉に、レイズンは初めてハクラシスの部屋に招き入れられた。
(あれ、増築したばっかりのときと同じだ。というより、まったく変わってない……)
ハクラシスの部屋は、驚くほど何もなかった。
増築したときに買い揃えたベッドと机、そして古い衣装ケースが無造作に置いてあるくらい。
このベッドと机はレイズンと揃いで買ったものだが、レイズンは机に本やらお菓子の入った瓶やら、好きなものを無造作に並べて置いている。
しかし、ハクラシスは買ったそのままの状態で飾り気なし。
衣服もケースにきちんと入り、散らかるでもない。何か足りない、そんな違和感すらある。唯一飾りになるものといえば、机上のインク壺とペンくらいか。
「何だ、珍しいものでもあったか」
ドアの前に突っ立って物珍しそうにキョロキョロするレイズンに、ベッドの端に座ったハクラシスが声をかける。
「いや、何もないなって……」
本当に何もない。必要最適のものしかないのだろう。
この人の趣味って一体なんだろう。趣味とかあるんだろうか。趣味云々以前に、本当にここに定住している人なのかと疑いたくなる。
(まるでいつでもここを出て行けるようにしているみたいだ)
——いつかハクラシスがふいに自分の前から一切合切何も残さず消えてしまうのではないか。そんな不安にかられた。
「寝ないのか? 俺はもう寝るぞ」
ぼけっと突っ立ったままのレイズンにしびれを切らし、ハクラシスはベッドに横になった。そして「来ないのか?」と布団の端を持ち上げた。
「寝ます!」
レイズンは飛び上がるようにして、持ち上げられた布団の隙間に滑り込んだ。一人用にしては広めのベッドも、男二人寝ると流石に窮屈ではある。
「へへ」
「もう遅い。早く寝ろ」
ハクラシスがベッドサイドのランプを消した。
布団からは、さらに濃いハクラシスの匂いが漂う。レイズンはその匂いに痺れ、後ろから聞こえるハクラシスの吐息に、密かに体を震わせた。
落ち着かず体をモゾモゾと動かせていると、「どうした」とハクラシスが声をかけた。
あまりの落ち着きのなさに、ハクラシスもこれでは眠れないと、レイズンを押さえ込むようにして背後から手を回して抱きしめた。
「……あ」
(まずい、もう勃っちゃったよ)
レイズンは硬くなった前を隠すために少し体を丸めると、今度は「なんだ寒いのか」と勘違いしたハクラシスがさらに体を密着させてくる。
(ふ、ぁ、首に息がかかる)
ふーっと呼吸が首筋にかかるたび、レイズンの体はゾクゾクと震え、耐えきれず股間に手が伸びる。
しかしこの様子だと今日は何もするつもりはないのだろう。ハクラシスに昂ぶった様子はみじんもない。
(イチャイチャする雰囲気すらないもんなあ)
本当にレイズンに手を出すつもりなどないから、夜も部屋を別々にしたんだろうと思うと、ちょっと切ない。
これじゃ本当にいつもの親子ごっこと変わりないじゃないか。初日だからとはいえ、コレはない。もうちょっといいムードというか、イチャイチャが始まってもいいんじゃないか。
まさか本当は、全然好きでもなんでもなくて、面倒ごとを避けるために告白を受けたのだとしたら……?
「しょ、小隊長殿……」
レイズンは精一杯切ない声で彼を呼んだ。身をよじり振り向けば、すぐそこにはハクラシスの顔がある。
最初は寝るために目を閉じていたハクラシスも、レイズンの物欲しげな声に目を開けた。
「……小隊長殿」
「……なんだ、甘えん坊だな」
目の前に迫るレイズンの唇の意味をすぐに理解し、少し身を起こし上から覆いかぶさるようにして自身の唇を重ねた。
ややゴワついた髭が、キスのたびに頬や顎に当たり少しくすぐったい。レイズンは夢中で落ちてくるハクラシスの唇を吸った。
だがちゅっちゅっと軽く啄むだけのハクラシスに、だんだんとじれったくなったレイズンは、体を彼のほうに向けて自ら舌を差し出した。
そして首に腕を回し体を密着させ、硬くなった股間を押し付けることで、どれだけ自分がハクラシスに欲情しているかを訴えた。自分は本気なのだと。
——ハクラシスはレイズンに甘い。
今も乗り気ではないのに、こうやって甘えるレイズンに合わせてくれている。
ハクラシスが勃たないのは、たぶん相手が男の自分だから。そう、仕方がないのだ。
いつかそのうち自分を求めてくれる日がくるだろうと、自分で自分を無理矢理納得させる。
そうだ、キスをしてくれるだけでも十分嬉しい。
「……レイズン、なんだ勃起したのか」
「ん……へへ」
腹に当たる硬いモノが何かをすぐに察し、ハクラシスは差し出されたレイズンの舌を甘噛みしつつ、呆れた声を出した。
「若いヤツは元気だな」
なんだかこのままではうまくはぐらかされてしまいそうな雰囲気に、レイズンは勇気を出した。
「……しょ、小隊長殿、今夜、その……俺と、だめですか」
だが何度腰を擦り付けてもハクラシスの股間からは、勃起の兆しは感じない。ペニスらしき柔らかいものを感じる程度だ。
(やっぱり女性じゃないとダメなのかな。俺じゃ勃たないか……)
分かってはいるが、なんとなく悲しくなってレイズンが俯くと、ハクラシスは状況を察して少し腰を引くとレイズンの頬に口づけた。
「すまない、以前からちょっと勃ちが悪いんだ。……俺も歳だな。うまい餌が目の前にあるのに勃たないとは。役立たずですまない」
珍しく茶化すような言い方だった。
レイズンは驚いて顔を上げた。そして目を丸くし、ハクラシスを凝視した。
「……なんだレイズン、その顔は」
(え、本当に? 勃たないのは歳のせい? マジで?)
勃起しないのは歳のせい。
騎士団をとっくに退役した身にもかかわらず、年齢を感じさせないほどに筋骨隆々なあのハクラシスが、まさかの勃起不全。
思わずレイズンはぶふっと吹き出した。
「くくっはははは」
笑ったのは勃起不全をバカにしたわけじゃない。勃たない理由が思わぬところにあったからだ。それじゃあその気にだってならないだろう。
(良かった~俺のせいじゃなくて)
レイズンはハクラシスの下で笑い転げていた。
「おい、レイズン笑いすぎだ」
「すみません、ツボに入ってしまって」
それでもクククと笑うレイズンに、呆れたように「もういい、黙れ」と唇で唇を塞いだ。
「……んっ」
舌をねっとりと絡め、息を吸う隙さえ与えないほど激しいキスに、レイズンの笑いは吸い取られて消えた。
代わりに聞こえるのは、吐息とともに漏れる水音だけ。
「あ……はぁ、……ん、…………んん……」
ハクラシスがキスをしながらレイズンの股間に手を伸ばした。そしてズボンに浮き出た硬く長い膨らみに沿って、その細長い手を上下に動かす。
「あ、くっ……気持ちい…………小隊長殿…………ん…………は……ぁ……」
手の動きに合わせてレイズンの腰もわずかに揺れ動き、ベッドがキシキシと音をたてる。布越して刺激は物足りないが、それでも擦っているのがハクラシスだと思うと、腹の奥がジンと痺れた。
「あっ……もっと、……あっ小隊長ど、のっ」
「……なんだ直に触ってほしいか」
そう耳元で囁かれ、ぞくぞくと首筋に震えが走り、先走りに自分の下着が湿っていくのを感じる。
「どうした? このまま服の上からでいいのか?」
「ひあ……っ」
股間を擦られ、耳たぶを舐られ、思わず悲鳴のような声が出た。
こんなエロい状況になるのはいつぶりか。
すっかりご無沙汰だったせいか、それともハクラシスの責めるような声色のせいか、レイズンの体は敏感になっていた。こんな些細なことで、体が悦びに震える。
(はぁ……ヤバい、小隊長殿の手、すごい気持ちいい)
直に触られたらもっと気持ちいいんだろうな。
レイズンは自分からズボンを下げて、ハクラシスの手に雫を垂らす自身のペニスを押し当てた。早く扱いて欲しいと目で訴えると、
「なんだ、言葉にしないとわからないぞ」
ハクラシスはそう言いながら、濡れてペトペトになった先端を意地悪そうに指先でヌルッと撫であげ、鈴口を割った。
その瞬間「あっ」という声とともにレイズンの腰がのけ反り、浮き上がった。
「は、……あ、もっと……」
「はっきり言いなさい」
「あ……小隊長殿の手で扱いてほしい、です……」
「よしいい子だ」
褒美だとばかりにキスを与えると、ハクラシスはレイズンのペニスに指を這わせた。鈴口から滲み出る先走りを塗り広げ、それを潤滑剤にしてシュッシュと滑らかに上下へと動かす。待ちに待ったその手の感触に、レイズンは恍惚とした表情を浮かべた。
「あっあっあっやっ、はぁ……気持ちいい……んっああっいいっ」
「よしよし、気持ちいいならいい」
「あっ、お、俺、本当に小隊長殿のことが好きで……ほんとに……んん……ああっ」
レイズンはうわ言のように、「気持ちいい」と「好き」を繰り返す。ハクラシスは「分かった分かった」と宥めるように相槌し、首筋に唇を這わせ、さらに扱く手を早めた。
「……そろそろイケそうか」
「ん……あっ、で、出そう…………くぅ」
レイズンが体をぐんっと突っ張らせて白濁を迸らせると、ハクラシスはその大きな手で器用に受け止めた。
ーーーー
翌朝レイズンは、冷えた空気を肌に感じ、目が覚めた。室内なのに顔は冷たく、吐く息が白い。
眠る前までストーブを焚いて温めていた室内も、朝にはすっかり冷えてしまったようだ。そして室内はまだ暗い。
「はふーさむっ」
レイズンは布団を被り、冷たくなってしまった顔を温めた。被った布団からはハクラシスの匂いがする。
(あー、昨日はそのまま一緒に寝たんだ)
へへへと自然と顔がニヤける。変な笑い声を上げながら顔を布団に擦り付けた。だがそういえば肝心のハクラシスが隣にいない。
(あれ、そういえば小隊長殿は……)
とっくに起きたのだろう、レイズンの隣はもぬけの殻で、シーツはすっかり冷たくなっている。
「うえっ、今何時だ」
レイズンは飛び起きた。
あまりに暗いのでまだ夜明け前かと思っていた。どうやら違うらしい。雪の時期は昼と夜が曖昧になるとハクラシスが言っていたのを思い出した。
「まずい寝坊だ」
寝衣の乱れも直さず、慌てて部屋を飛び出た。
ハクラシスはすでに朝食を作るためキッチンに立っていて、部屋はいつからストーブを焚いていたのかもうほんのり暖かく、飛び込んできたレイズンの冷えた体を心地よく包み込んだ。
「起きたのか」
「お、おはようございます! 暗いからまだ早いと勘違いしちゃって……朝ごはん作れなくてすみません」
「今日はいい。だが明日からはちゃんと起きなさい。時間の感覚が麻痺すると、体調を崩しやすくなからな」
「はい!」
「分かったらとっとと着替えてきなさい」
「はい!」
ピュッという音が聞こえてきそうなくらいの早足で、レイズンは自室に駆け込んだ。
一晩無人だった部屋はひどく寒く、まるで雪の中にいるかのようだ。凍えた空気が肌に触れ、レイズンは思わず「さっむ」と声が出た。
「ひゃーさむさむさむさむさむ……」
呪文のように寒い寒いを繰り返しながら、あたふたと冷えた衣装ケースから衣服を取り出した。鳥肌を立てながら着替えつつ、レイズンは(あれ?)と首を傾げた。
(俺、小隊長殿と恋人同士になったんだよな??)
おかしい。昨日恋人同士になったのに、いつもの朝と変わらない。これでは悪夢を見て添い寝してくれた日のハクラシスのほうが優しくて甘かった。
(なんだか、こう、ほら、朝イチャイチャしながら起きたりとか……)
イチャイチャどころか起こしても貰えなかったし。せめておはようのキスくらいは、あってもいいんじゃないのか。
(俺が期待しすぎなのかな~)
あまり思い出したくない記憶だが、恋人だったラックとの生活はとても甘いものだった。同室だったこともあり、二人は朝から晩までイチャイチャし通しで、朝はおはようのキスから始まり、暇さえあればエッチなことをして、夜ともなればいつも二人は裸で同じベッドの上にいた。
たまには一人になりたかったが、それでも彼から求められることは、レイズンにとって悦びであり支えだった。
——あんなことが起こるまでは
(克服したと思ったが、ラックとのことはやっぱり思い出すもんじゃないな)
二人で過ごした記憶を思い出せば、必ずあの記憶まで引っ張られるように蘇り、幸せだった頃の記憶は、男たちの下卑た笑い声で塗り替えられる。
レイズンは身震いした。
ササッと服を着替え終わると、部屋を飛び出した。
「小隊長殿」
パンを切るハクラシスの元へ駆け寄ると、縋るように背後から抱きしめ、甘えた声を出した。
「……どうした? 刃物を使っているんだ。危ないだろう」
「へへ、ちょっと寂しくなって」
「起こさなかったのが悪かったのか? 昨日は少し疲れただろうと気遣ってやったんだが……仕方のない奴だな」
ハクラシスは呆れたような物言いで、振り返りざまレイズンにキスをすると、また何事もなかったようにパンを切る作業に戻った。
「へへ」
「ほら、手伝うんだ」
「はーい」
口元に当たった髭の感触をなぞるように手で触りながら、レイズンは皿を取りに向かった。
ハクラシスとの生活はレイズンが期待するような淫らで爛れたものではなかったが、こんな何気ない触れ合いが、レイズンの心を平穏で満たしていった。
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