辺境の農村から始まる俺流魔工革命～錬金チートで荒れ地を理想郷に変えてみた～

第26話：実戦テストと魔工防具の完成

　魔法対策シールドの試作品が完成し、俺たちは実戦テストを行うことにした。
　セシリアが教えてくれた魔法の模倣として、魔鉱石を強く加熱して発火させる「簡易火炎弾」を作り、それをシールドで防いでみる。

◇

「タクミ、火炎弾いくよ！」
　

「リリー、気をつけて。魔鉱石粉を詰めた筒を燃やせば炎が飛び出すはずだ」
　

「了解！」
　

「クレア、シールド構えて」
　

「うん！」
　

　クレアがシールドを掲げ、リリーが火炎弾に点火。
　ボッと炎が吹き出すが、シールドに当たった瞬間、炎が拡散して威力が減衰するように見えた。

◇

「わあ、すごいわ！　炎がシールドを貫通しない！」
　

「クレア、熱いけど持ちこたえられるわ！」
　

「ミレーヌ、これなら魔法攻撃にもある程度対応できそうね」
　

「フェリシア、射撃の合間にこのシールドで守れば、魔導士相手でも何とかなるんじゃない？」
　

「セシリア、想像以上の成果ですわ。タクミさん、あなたは本当に天才ね」
　

「はは、みんなが協力してくれたおかげだよ」
　

　これで魔法攻撃に対する防御手段ができた。
　さらに、シールドの素材を防具に応用し、簡易的な魔法耐性を持たせれば、戦闘時の生存率が上がる。

◇

「タクミ、これを鎧や兜にも塗れないかな？」
　

「ミレーヌ、できると思う。金属防具の表面に魔鉱粉コーティングすれば、魔法防具になる」
　

「クレア、でも重くなるんじゃ？」
　

「確かに少し重いが、帝国兵よりは動けるはずだ。調整しよう」
　

「リリー、あたし脚力あるから重くても平気！」
　

「フェリシア、あたしは軽装がいいな。弓使いだし、シールドだけで十分」
　

「セシリア、私は後方から指示しますので、重装備は必要ありませんわ」
　

「わかった、個々に合わせた装備を作ろう」
　

　こうして工房と鍛冶場が大忙しになる。
　ノール村から送られた薬草を使えば、作業中の怪我にも対処できるし、ミヤナ村の金属素材で大量生産も可能だ。

◇

　数日後、魔法対策防具とシールドがある程度量産できた。
　村人たちは試着し、ワクワクした様子だ。
　今やこの農村は、魔力なしで魔法に対抗する不思議な軍備を持つことになった。

◇

「タクミ、まるで小さな王国みたいね」
　

「ミレーヌ、そんな大げさな」
　

「クレア、でも頼もしいわ。もう帝国兵を怖がらずに済む」
　

「リリー、魔導士が来ても、このシールドでバッチリ防げるし、魔工弩で反撃できる！」
　

「フェリシア、あたしも腕が鳴る。帝国の鼻を明かすのが楽しみだ」
　

「セシリア、私も心強いですわ。こうして皆が一丸となれるなんて」
　

　俺は微笑む。
　だが、油断は禁物。
　帝国は数と魔法、訓練された兵を持っている。
　今はまだ序盤戦だ。
　魔導士団がいつ来てもいいよう、さらに準備を続けよう。