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第24話:帝国の斥候隊と狙われる同盟

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 翌日、フェリシアが慌ただしく戻ってきた。
 どうやら森の外れで帝国の斥候らしき一団が目撃されたという。
 数は十人程度だが、全員馬に乗り、軽装ながら統率が取れているらしい。



「タクミ、帝国が動き始めたかも!」
 

「フェリシア、斥候隊をここまで近づけるわけにはいかない。見つかったら本隊を呼び寄せられるだろう」
 

「どうするの?」
 

「ミレーヌ、ここは罠を仕掛ける。あらかじめ森の小道に倒木トラップを用意し、魔工弩隊で奇襲をかけよう」
 

「クレア、人数は足りる?」
 

「リリー、村の若者を数人呼べば、十人程度の斥候なら十分撃退できるわ」
 

「セシリア、帝国は斥候が消えたらどう反応する?」
 

「おそらく、さらなる精鋭を送るでしょう。けれど、こちらに帝国の馬が残れば、向こうも慎重になるはず」
 

「つまり、斥候を倒して馬と武器を奪えば、帝国に俺たちの力を示せるってことか」
 

「ええ、そう考えられます」
 

 俺は笑みを浮かべる。
 帝国は侮っているだろうが、こちらも成長している。
 罠と魔工弩、そして魔肥で育った健康な村人たちがいる。
 斥候くらいなら十分対処できる。



 夜明け前、俺たちは森へ潜み、トラップを仕掛けた。
 倒木をロープで支え、敵が通った瞬間に落とす。
 その後、閃光弾を投げて混乱させ、魔工弩で狙い撃つ作戦だ。

「タクミ、準備完了!」
 

「リリー、よし。フェリシア、見張り頼む」
 

「了解」
 

「ミレーヌ、クレア、セシリアは少し下がってて。斥候が引っかかったら前進だ」
 

「わかったわ」
 

「セシリア、怖いようなら無理しなくていい」
 

「いえ、私も見届けたいです」
 

「わかった、気をつけろよ」
 

 ジャックや他の村の若者数名もスタンバイしている。
 皆、緊張しているが、前回魔物を倒した経験が自信になっている。



 しばらくすると、馬の足音が近づく。
 帝国兵らしき男たちの声が聞こえる。
 

「ここがあの噂の村への道か? 笑わせる、弱者が豊かになるなんてありえん」
 

「まあ、斥候して戻れば褒美があるだろう」
 

 嫌味な声が響く。
 俺は静かにロープを引く。
 バサッと倒木が落ち、兵士たちが悲鳴を上げる。
 馬が驚いて跳ね回り、隊列が乱れた。



「今だ、閃光弾!」
 

「了解!」
 

 パッと光が爆ぜる。
 帝国兵が目を潰され、混乱する。
 俺と仲間たちは魔工弩を発射。
 矢が正確に敵兵を捉え、数名が即座に倒れる。
 残りは慌てて逃げようとするが、馬がうまく動かない。
 フェリシアが弓で狙い、ミレーヌ、クレア、リリーも武器を持って取り囲む。
 セシリアは震えながらも俺の背後で見つめている。



「降伏しろ! ここから先は通さない!」
 

「くっ、なんだお前たちは!」
 

「弱者だと思ったか? もうそうじゃないんだよ」
 

 兵士が剣を振りかざそうとするが、魔工弩で腕を貫く。
 彼らは驚愕に目を見開く。
 最終的に2名を残して全員倒れ、2名は怯えて武器を捨てる。



「命は取らない。情報をくれれば解放してやる」
 

「わ、わかった。何が知りたい?」
 

「帝国は辺境をどうする気だ?」
 

「えっと、次は魔導士団が来るはずだ! ここを蹂躙し、反乱の芽を摘むと言っていた!」
 

「魔導士団……やはり来るか」
 

「もういい、消えろ。戻って帝国に伝えろ、ここは無力な村じゃないと」
 

「わ、わかった!」
 

 兵士二人は逃げていく。
 馬や武器を回収し、俺たちは勝利を確信する。
 だが、同時に魔導士団の来訪が確定した。
 次はもっと強敵が来るだろう。



「タクミ、やっぱり来るのね、魔導士団」
 

「ミレーヌ、ああ。だが、俺たちも準備はできる」
 

「クレア、魔法対策シールドがあるわ」
 

「リリー、魔工弩もさらに改良できる!」
 

「フェリシア、同盟村にも報告すれば、みんなで迎え撃てる」
 

「セシリア、私も帝国の動きを読み解くお手伝いをします」
 

 俺たちは自信と不安を抱えながら村に戻る。
 帝国との本格的な衝突が近い。
 この勝利は序章に過ぎない。
 嵐の前の静けさはもう終わったのだ。
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