隣国で大活躍中につき、婚約破棄してきた王子様にはもう会いません!

【祖国から要らないと言われた私、隣国では超引っ張りだこなんです」】

 子爵令嬢フィオナは、王子アレクセイに「才能なし」と決めつけられ、婚約破棄。嫌気が差して隣国ラウフェンへ行き、のんびり過ごすつもりが、たまたま魔法オペラ劇団の楽屋トラブルに遭遇。彼女は舞台裏の整理や演出スケジュールをササッと把握し、混乱を収めてしまう。
 実は王宮で礼法や舞踏を学んでいた彼女の経験が、劇場運営にぴったりハマったのだ。劇団から「ぜひ演出助手をやってほしい」とオファーされ、フィオナは試しにやってみると、次々と劇を成功に導き、観客も劇団員も感謝しきり。
 いつしかラウフェン中に「魔法オペラを成功させる立役者がいる」と話題が広がり、貴族社会からも「劇場改革を手伝って」と大勢の依頼が舞い込む。フィオナは連日舞台裏で大忙しだが、感謝される喜びに満たされ、毎日が輝いていた。
 祖国はアレクセイ王子が失敗続きで苦境に陥り、「あのフィオナがいれば…」と呼び戻しを試みる。だが劇団やラウフェン貴族らが口をそろえて「彼女は我が国に欠かせない」と拒否。フィオナも「申し訳ありませんが、もうそちらで働く気はありません」と一蹴する。
 王子が必死に“お詫び”の書簡を送っても、フィオナは「舞台の本番が迫っているので忙しくて」と相手にしない。祖国の苦しみなど、今の彼女には関係ない話だ。
 こうして、祖国で「無能」と言われた彼女は、隣国で新しい道を切り開き、人々の拍手と喝采を受ける立場になった。婚約破棄も悪くない――そんな開き直りさえ感じるほど、フィオナの充実した日々は続いていく。
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