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第6章 溶ける氷

四話 過去見

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最後に狂座のガイラが襲来してから五日が過ぎた日の事。


特に集落に異常は無い。平穏そのものと言っていいだろう。


“もしかして諦めた?”


そんな事は有り得ないが、自然は邪悪なる者の襲来を伝えなかった。


“出来るだけ、この平穏な日々が続いて欲しい……”


争いは憎しみしか生まない。


アミは争う事の無い世になる事を、心から願った。


そして、もう一つ気になる事。


“ユキは少しずつだけど、変わってきてる。きっと変われる”


血の繋がりは無くとも、いつか本当の家族になれる日が来るとーー


そう、思っていた。


※※※※※※※※※※※※※


“何かがおかしい……”


ユキは日中に、村を見回りながら疑問に思う。


狂座が諦めるとは思えないが、あまりに平穏過ぎるのだ。


攻めてくる気配すら感じない。


“しかし、ここ何日か感じるこの違和感は一体?”


今日も何事も無く日が暮れる。


ただ警戒だけは怠らない様にしなければならない。


ユキはアミの家に戻ると、彼女は夕食の支度をしていた。


良い匂いが鼻腔を擽る。


最近、彼は此処が居心地が良いと思い始めていた。


部屋は暖炉が効いて暖かい。
食事はいつも温かい。


何より彼女は、何時でも自分に笑顔で接してくる。


その為ユキは、今まで感じた事の無い感情を抱き始めていた。


それが何かは分からない。


だからだろうか?


夕食後、張り詰めていた緊張が溶けたかの様に、ユキは深い眠りについたのだった。


“あっ、ユキ寝ちゃってる……”


アミは夕食後の片付けをした後、居間に戻るとユキは既に眠っていた。


相変わらず布団で寝る事は無く、座ったまま器用に眠っている。


何時も刀を抱き抱える様に眠るユキだが、今日は刀は傍らに置いていた。


アミはそっと毛布をユキに羽織わせる。


“可愛い”


こうして見ると、ユキは本当にあどけない少年にしか見えない。


“四死刀ユキヤの後継者とは思えなくなる位に……”


アミは思わずユキの頬に手を添える。


“ユキの過去、四死刀と出会うもっと前のーー”


そう思った刹那、無意識の内にアミの意識と視界は、白く覆われていく。


アミの行使する精霊の一つーー


“過去見の精霊”


その精霊の力が無意識の内に働いたのだった。


ユキの過去を知りたいと思っていたアミの、心の願望
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