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第1章 邂逅
三話 少年と少女
しおりを挟む「あっ! 目が覚めたのね? 良かった……」
襖を開け、意識の戻ったその姿を見て、そう部屋内に入って来る人物。
長く艶やかな黒髪が象徴で、穏やかで柔らかい表情の美しい少女だ。
それは誰が見ても、思わず見惚れ癒されてしまうかも知れない。
年の頃は十七、八位だろうか? 白と赤を基調とした民俗風巫女衣装を纏うその姿は、一般的な巫女姿とは少し毛並みが違う。
どちらかというと、身軽さ重視の戦闘向き。
「貴女が助けてくれたのですか?」
傍らにちょこんと座った少女に対し、少女より更に一回り幼く見える黒髪の白い少年は問い掛けた。
その口調は何処か落ち着いていて、ある意味大人びて聞こえるのは杞憂だろうか?
声帯の事では無い。声変わりもしていない中性的な声質だが、年相応には不釣り合いな程、落ち着き過ぎているのだ。
「ええ。あの森の生き物は、外敵に対して牙を剥くの。君が咬まれたのは恐らく毒蛇ね。もう少し遅かったら危なかったのよ」
少女は少し戸惑いながらも、その少年の問いに応える。心なしか、その表情には何処か憂いを感じさせた。
「それはありがとうございます。この借りは必ず返しますゆえ」
少年は礼を述べ、少女へ深々と頭を下げたが、やはり何処かズレている印象だ。危機感といった類いを感じない。
それより此処が何処なのか? お互い何者なのか? 一体どういう状況下で?
「あ……あのね」
まだ肝心な事を口にしないそれは、お互いが警戒を以て牽制し合っている様にも感じられる。
「ところで……」
「えっ!?」
どちらかというと、言いあぐねている感じの少女を遮る様に。
「白い刀を見ませんでしたか?」
そう開口一番、この少年が持っていたあの白い刀の所在を尋ねていた。
切れの長く、何処か熱を感じさせない無機質な爬虫類の如き漆黒の瞳で、しっかりと少女を見据えて。
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