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第7章 終幕。そして……

二話 新たなる脅威

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「きゃあぁぁぁ!!」


突然のミオの悲鳴に、二人は何事かと振り向く。


その視線の先にあるもの。村の奥から無数に転がる躯を、掻き別ける様に歩み寄る人物。


『誰だ? こいつは……』


少なくとも、この集落に所縁のある存在では無い。それは誰の反応からも明らかである。


歩み寄る巫女装束を身に纏う、すらりとした長身の女性。


美しい迄に靡き煌めく、漆黒で直線的な長髪。整い過ぎる顔立ちに合う、切れの長い紅き瞳が冷徹さを醸し出している。


それは誰が見ても“恐ろしい迄に美しい”という表現の如く、その姿に暫し魅入られる。


アミを光の巫女と例えるなら、その者はまるで闇の巫女とでも例えるかの様に。


ミオが悲鳴を上げたのは、何も見知らぬ人物を見たからだけでは無い。


その人物が手に持つもの。


右手に光り輝く水晶の様な球体。そして左手には、まだ生新しい鮮血が断面から滴り落ちる、人間の頭部だった。


「ああぁ、そんな……ちょ、長老!!」


アミはその変わり果てた姿を見て、驚愕の声を上げる。


左手で鷲掴みする様に持たれたその頭部は、此処の集落の長、夜摩一族当代長老のものであった。


その人物はユキ達の間合い外で歩みを止め、光り輝く球体を恍惚の表情で掲げる。


「これで我等の悲願が叶う……。一時はどうなる事かと思ったが、お前達化け物二人が潰し合ってくれたおかげで、楽に光界玉奪取に成功出来た」


そう言い放ち、左手に掴んでいる頭部を無造作に放り投げる。


『こ、こんな……』


ゴロゴロと毬の様に転がる、血糊がこびりついた生気の無い頭部。驚愕に目を見開いたままのその表情が、死に至る恐怖の瞬間を物語っていた。


続け様に起きる信じ難い惨劇に誰もが凍りつき、声も出ない。


「くっ!」


その人物から発せられるその邪気に、ユキの脳内思考に最大警報が鳴らされた。


“――狂座の者か!? 全く気付かなかった……。化け物だと? こいつこそ相当にやばい! それに、この雰囲気……何処かで?”


「さて、もう此処に用は無いが……」


ユキはその人物に、ある既視感を感じたが今はそれ処では無い。狂座の手に、冥王復活の鍵となる光界玉が渡ってしまったのだから。


「折角だから名乗り出ておこう」


戸惑い立ち竦む者達を見回し、その者は高らかに告げる。恐ろしくも美しい迄のその存在感。美麗に揺蕩う漆黒の長髪を、風に靡かせながら。


「私は狂座、当主直属部隊筆頭……ルヅキ」
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