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三の罪状
水装師団射手陣
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ジュウベエは片眼である己が目を疑った。
“臨界突破レベル『200%』超え……だと?”
だが何度眼を凝らしても、液晶に表示された数値に間違いは無い。
ジュウベエは蒼く靡く時雨の後ろ姿に眼を向ける。
その200超という数値が、どういう事を意味したのか――
“アイツ……幸人と同等、いやそれ以上か?”
ただ一つだけ分かるのは、彼は紛れもなくSS級――人の姿をした怪物なのだと。
「さあ“キリング タイム”のお時間がやってまいりました」
完全に一人だけ浮いてる感のある時雨は、胸ポケットからメンソールの煙草を一本取り出し――
「閲覧御代は出演者の命となっておりま~す」
ふざけながら煙草に火を付け、余裕の一服だ。その振る舞いは心臓に毛が生えてるとしか思えない。
“一体どれ程の力が……”
ジュウベエがそう思った瞬間――
「えっ!?」
それは異変。先程まで余裕だったはずの時雨が、身体を痙攣させながらくわえた煙草を落としていくのを。
その口からは吐血の跡。
そして黒服の一人が持つ銃口からは硝煙の跡が。
何時の間にか撃たれていたのだ。恐らくはお喋りの最中。
発砲音が聞こえなかったのは、サイレンサー付き拳銃だったからか。
「そ……んな……馬鹿な!」
まさかいきなり撃たれるとは思っていなかったのか、驚愕と疑問、そして苦痛の表情で、時雨は撃たれたと思わしき血の溢れる腹部を押さえながら、ぐらつき崩れ落ちようとする。
「なっ!!」
だがそれは許されなかった。
一人の行動を皮切りに、次々と時雨へ向けて一斉掃射。
“プシュプシュ”と乾いた音と共に、まるで虚無のダンスを踊る時雨。
その度に血飛沫が夜空へと舞う。
四方から撃ち込まれる弾丸によって、倒れる事が出来ないのだ。
やがて――原型も残らない程、時雨だった五体は血溜まりの海へと沈む事となった。
「ちょっ! アイツいきなり殺られちまいやがったぜ!!」
突然の事態にジュウベエが声を上げるのも無理は無い。
確かに多勢に無勢。だがSS級ともあろう者が、こうまであっさり殺られる等と――
「おっと……原型は残すんだったな」
「もう一匹を生け捕りにすれば問題は無かろう」
大勢の黒服達は躊躇する事も無く、幸人へとその矛先を向ける。
正に全員が殺しのプロなのだ。
「やべぇぞ幸人! アイツが殺られちまった以上……」
ジュウベエからすれば、此処は撤退したい処だが、幸人が介添え役である以上、引き継ぎ完遂せねばならない。
「相変わらず……」
「おっ……オイ幸人!?」
迫り来るdivaの尖兵達を前に、ジュウベエの焦りに対し幸人は腕組みしたまま、それでも動く気配すら見せない。
「性悪な奴……」
そう意味深に呟いた瞬間――
“ブラッディ・アバター”
何処から途もなく聞こえた声。
『何だ!?』
誰もがその声の発生源と思わしき、血溜まりの遺骸へ視線を向ける。
そして見た――
「ひぃあぁぁぁ!!」
「ばっ……化け物!!」
余りの事態に叫ぶ者も多数。
「嘘だろオイ!?」
その血溜まりからは死んだはずの、しかも幾多もの時雨と思わしきモノが形成されていくのを――
“レギオナリスト・サジタリアス ~水装師団射手陣”
数十人もの時雨その者が、何事も無かったかの様に佇む。
「そんな馬鹿なぁぁぁ……なんちゃって」
唖然としている者達を前に、その全てが同じ様に――笑っていた。
“臨界突破レベル『200%』超え……だと?”
だが何度眼を凝らしても、液晶に表示された数値に間違いは無い。
ジュウベエは蒼く靡く時雨の後ろ姿に眼を向ける。
その200超という数値が、どういう事を意味したのか――
“アイツ……幸人と同等、いやそれ以上か?”
ただ一つだけ分かるのは、彼は紛れもなくSS級――人の姿をした怪物なのだと。
「さあ“キリング タイム”のお時間がやってまいりました」
完全に一人だけ浮いてる感のある時雨は、胸ポケットからメンソールの煙草を一本取り出し――
「閲覧御代は出演者の命となっておりま~す」
ふざけながら煙草に火を付け、余裕の一服だ。その振る舞いは心臓に毛が生えてるとしか思えない。
“一体どれ程の力が……”
ジュウベエがそう思った瞬間――
「えっ!?」
それは異変。先程まで余裕だったはずの時雨が、身体を痙攣させながらくわえた煙草を落としていくのを。
その口からは吐血の跡。
そして黒服の一人が持つ銃口からは硝煙の跡が。
何時の間にか撃たれていたのだ。恐らくはお喋りの最中。
発砲音が聞こえなかったのは、サイレンサー付き拳銃だったからか。
「そ……んな……馬鹿な!」
まさかいきなり撃たれるとは思っていなかったのか、驚愕と疑問、そして苦痛の表情で、時雨は撃たれたと思わしき血の溢れる腹部を押さえながら、ぐらつき崩れ落ちようとする。
「なっ!!」
だがそれは許されなかった。
一人の行動を皮切りに、次々と時雨へ向けて一斉掃射。
“プシュプシュ”と乾いた音と共に、まるで虚無のダンスを踊る時雨。
その度に血飛沫が夜空へと舞う。
四方から撃ち込まれる弾丸によって、倒れる事が出来ないのだ。
やがて――原型も残らない程、時雨だった五体は血溜まりの海へと沈む事となった。
「ちょっ! アイツいきなり殺られちまいやがったぜ!!」
突然の事態にジュウベエが声を上げるのも無理は無い。
確かに多勢に無勢。だがSS級ともあろう者が、こうまであっさり殺られる等と――
「おっと……原型は残すんだったな」
「もう一匹を生け捕りにすれば問題は無かろう」
大勢の黒服達は躊躇する事も無く、幸人へとその矛先を向ける。
正に全員が殺しのプロなのだ。
「やべぇぞ幸人! アイツが殺られちまった以上……」
ジュウベエからすれば、此処は撤退したい処だが、幸人が介添え役である以上、引き継ぎ完遂せねばならない。
「相変わらず……」
「おっ……オイ幸人!?」
迫り来るdivaの尖兵達を前に、ジュウベエの焦りに対し幸人は腕組みしたまま、それでも動く気配すら見せない。
「性悪な奴……」
そう意味深に呟いた瞬間――
“ブラッディ・アバター”
何処から途もなく聞こえた声。
『何だ!?』
誰もがその声の発生源と思わしき、血溜まりの遺骸へ視線を向ける。
そして見た――
「ひぃあぁぁぁ!!」
「ばっ……化け物!!」
余りの事態に叫ぶ者も多数。
「嘘だろオイ!?」
その血溜まりからは死んだはずの、しかも幾多もの時雨と思わしきモノが形成されていくのを――
“レギオナリスト・サジタリアス ~水装師団射手陣”
数十人もの時雨その者が、何事も無かったかの様に佇む。
「そんな馬鹿なぁぁぁ……なんちゃって」
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