この世では『ネコ』という言葉が禁じられている

第１話～絵里の日常～

学校。
大勢の人々が詰められている籠のなかで、一人の少女が漏らした一言。

「『ネコ』が可愛い?馬鹿じゃないの。ネコ
は、ヒトが犯した罪よ。」
独り言は、誰の記憶にも残ることはなく、周りの騒音にまみれていった。


何故ならネコは




______________Neo Kooky『近代の狂人』。







肉を食いちぎり、骨をもしゃぶろうとする、
___人体兵器。
それを作ったのは紛れもない、ヒトだった。

これは、ヒトの道を誤った愚かな怪物たちの物語。





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今年、政府が行ったこと。

1.他国との関係性を親密にする

2.消費税増税

3.他国への訪問



その行動全てが私の『ことば』を聞いて行われた。私が日本を動かしていると言っても過言ではない程に。もし20歳にも満たない少女が日本を担っていると世の中の人々が知れば、今の政府はすぐさま崩れるだろう。
ならば知られる前に私の家と縁を切れば良いのだが、私の『ことば』無しではもう政治が成り立たない程に政府は私を依存しているため実現は不可能。
私は、自分を神のようには思っていない。家に縛られた操り人形だと思っている。
だから、祖先の用に私利私欲の為にチカラを悪用し、人々に戦争を起こさせたりはしない。私の母はいつも言っていた。
「絵里は良い子。ちゃんと正直に見た事を話せて。」
それは、私達『朝霧家』が政府お抱えの『未来予知』の能力を持った巫女だから。
その中でも生まれつき能力の高い人物がこの家の当主となり、政府とのやりとりをする。そして選ばれたのが私。私が十（とお）になった頃に当主引き継ぎの儀式が行われた。
政府とのやりとりで絶対に嘘をついたりしてはいけない。どれだけ些細な事でも嘘をつけば大罪人とみなされ、家ぐるみでその人を殺そうとするから。だから母は私が嘘をついていないか、行動と仕草で判断出来るようにする。そして、わずかな変化があれば調査を始めるのだ。

この家に「家族だから」何て言う言葉はない。大罪人は即刻処分される。
良いことに私が生まれてから、大罪人が出たことは無かったらしい。

もし、私が大罪人として処分されても、政府は何食わぬ顔で黙認する。それはしょうがない事だから、と。これまでもそうだったように。