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第一章 復讐とカリギュラの恋

(9)世界は変わった

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  熱い身体が後ろから被さる。ヴェトワネットの中に挿入したまま、ジグヴァンゼラは金髪のルネに犯された。アナルが裂けたかと思うほどの衝撃だったが、ザーメンでヌルヌルに滑った一物のスムーズな動きはジグヴァンゼラを別の快感へと導く。Gスポットと呼ばれる部分が開発された。

  ヴェトワネットはジグヴァンゼラに濃厚なキスをして、ルネは激しく腰を突き上げる。ジグヴァンゼラは叫びながら勃起して果て、勃起しては果て、息も絶え絶えになって、麻薬の嵐のような時間が少年の人間性までも犯していく。

  いつの間にか日は真上に上り、部屋は薄暗くなっている。

  快感の波に何度も気を失いかけたジグヴァンゼラは、全てが終わった時、人形のように声も出せずぐったりと白目を剥いていた。

  ルネはベッドに倒れてジグヴァンゼラを抱き寄せ、ジグヴァンゼラの唇に舌を入れてきた。ジグヴァンゼラは衝撃を受けたが、そのまま瞼を閉じた。十四才のジグヴァンゼラはほんの小一時間で壊され作り変えられた。

そこに、いつ入ってきたのかリトワールが話しかける。

「お荷物は此方で開きますか」

ルネは指先で指示を出し、リトワールと御者たちが既に運び込まれている荷物を開く。

薄目を開けたジグヴァンゼラは、自分が弄ばれていた時に、リトワールと御者たちが荷物を運び込んだことを知った。

ルネとヴェトワネットの間で瞼を開けた。リトワールがジグヴァンゼラを見ている。目が合った途端に、リトワールはつと顔を背けた。

(やはりやられてしまったか、ジグヴァンゼラ様。ルネは化け物だ。ご子息にまで手を出すとは。不安を感じて恐れていたのに助けることができなかった。あの岩場で会った時、ルネに気を付けるようにと忠告するべきだった。ルネは野獣だと。しかし忠告したとして果たして理解できただろうか。いや、言い訳だ。信じてもらえそうにないことを言えば自分の首を締めることになる。だからできなかったのだ。遅かれ早かれどうせいずれはこうなっただろう。そしてジグヴァンゼラ様は人形のように操られて私と敵対する。ルネを殺さなければならないのだ。しかも私自身を安全圏に置いて)

リトワールの目はベッドには向かずに、開いた荷物の置場所に注がれた。優し気な顔と温かな手を持ちながら心は氷のように冷たい。

ジグヴァンゼラの心からリトワールに伸びた手は、行方を失って闇に沈む。

(リトワール。あなたとの語らいを楽しみにしていたのに)

未だ陽の出ている間に、ジグヴァンゼラの世界は変わった。







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