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32 三人目の客
しおりを挟む蒲団の中で温まって眠くなったか、鉈の目がとろりと溶けた。
「人間って……嫌だ……こんなことが知られたら何をされるか」
「大丈夫だよ。誰も知らないさ。二人だけの間のことだ。……寝たか、鉈。俺も眠ろう」
鉈の鼻の頭に口づけした。
うとうとと微睡んで夢に落ちた。
いきなり蒲団を剥ぎ取られた。
河南は驚いて鉈を抱き締めたがそれが悪かった。大勢の男たちに取り囲まれて力ずくで引き離された。
「鉈……」
「河南……」
「お前ら、何をする。鉈を放せ」
掴み掛かったが数名に取り押さえられた。河南は腹や背中を足蹴にされた。横倒しになっても蹴られ、鉈は泣き叫ぶ。
鉈が目の前で脱がされた。男たちが精液の付いた着物を皆で回して確認し、鉈の尻に手をやって「べちょべちょだ」と大声で言った。
河南は足蹴にされて朦朧とする意識のまま、鉈が男たちに犯されるのを見た。
「止めろ……止めてくれ……鉈を放せ」
笑い声がどっと弾ける。
「殺す……」
河南は強烈な殺意にまみれた。足蹴にされた痛みよりも泣き叫ぶ鉈を助けられないことに猛烈な怒りが沸き上がる。
「お前ら、殺す。全員ぶっ殺す」
起き上がろうとして縄を打たれた。後ろ手に縛られて猿ぐつわを噛まされ転がされる。
鉈は次々と輪姦されて声も出せずにぼろぼろになって、やはり縄を打たれた。河南はずっと叫び続けていたが、猿轡獣の唸り声にしかならない。二人、捨てられた紙屑のように草臥れ果てて筵の上に座らされた。
「お前らは男同士でまぐわったな。河南、お前は死刑だ。鉈は皆で可愛がろう。せいぜい悔しがれ。はははは」
「俺は絶対お前らを許さない」
猿轡の唸り声が通じた。
「笑わせるな。その格好で何をどうすると言うのだ。お前は死刑だ」
軍人の使うサーベルが目の前に光る。
白いものがきた。
「女神だ……」
「河南と鉈は神のものだ。勝手に裁くな」
河南は薄れていく意識の中でメガンサに笑う。
三人目の客はお前だったか。
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