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27 島を

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メガンサの目が優しくなった。細かく揺れる眼球振盪がんきゅうしんとうのせいで、ものを見るのに疲れると眉間にシワを寄せたきつい目付きになることがある。その目が、酒が廻ったのか、表情も和らいでいる。

「さあ、飲もう。私には考えがある」

空の湯呑みを差し出す。

「メガンサ、飲み方が早いよ」

「良いのだ。ライラも飲め。ライラは私が嫁入り先に連れて行くと言った時、誰かと夫婦になってから来るつもりだったのか」

「メガンサに、他の女は許さないと言われたっけ」

「言った。昔から言っておけば良かった」

そして毛遊びにも行かせない
女の上に重なってお尻を動かすような真似なんか絶対させなかったのに……
私が無知だった、何も知らなかった
それは仕方ないからなかったことにするけど、これからは許さない
あのお尻ピコピコは、ちょっとだけでもオシッコするところが痒くなる

にっこり笑う。メガンサの明らかな作り笑みには裏がある。

「何を考えている」

ゆっくり含んだ酒は少しの量で気分が軽くなる。

「ライラを世間から奪い返す方法」

「ははは、メガンサ。メガンサは女神様だから、皆が言うことを聞くよ」

狩人の死に関する責任はないとしても、八年前の狩人事件で誰もメガンサに逆らう者はいなくなった。

ライラは、いつか、われた縄がほどかれるように運命があかされて、二人が再び一緒になる時は、全ての不幸を取り去るくらいの力を手にしていたいと夢見ていた。

現実には叶わぬ夢で、ライラは常にメガンサと共に行動する御者だ。御簾みすの垂れた馬車にメガンサを乗せて、潮騒を聞きに出掛けたり、河南の豆屋に出掛けたりする。

「僕は……」

一気に呷った。カメが上手に割った酒が、喉を通り腸に沁みる。

メガンサはじっとライラを見た。目玉が細かく揺れている。ライラはメガンサの髪を撫でた。

「島を出るつもりだったんだ」

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