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寝ている時と起きている時と

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起きている時と
寝ている時の
寝ぼけた答えは
どちらが許される




女ギョーザが二人と
男ギョーザが二人か
どちらも
誘ったギョーザと誘われたギョーザ

どちらも邪悪なギョーザの方を
一人づつマツ

心の声を聞けるギョーザで
他人にも聞かせる邪悪なギョーザを祀り

誘われて聞いている
邪悪なギョーザを祀り


誰の声を聞いているのだ
心の声が漏れているのは誰だ


白いローブはとあるアパートの一室に、にょ~っと入った。ドアから半身をにょ~っと中に入れて、それから下半身をにょ~っと踏み出す。



寝ている餃子がいた。


声を聞かせるギョーザの声がする。

「肝臓を頂戴」と。

あの二人組の女ギョーザの声だ。

白いローブは寝ている餃子を見つめた。

お前の声ではないな
お前の肝臓が狙われているのか……



白いローブは、寝ている餃子の思考を盗聴している者たちの部屋に行向かう。女ギョーザが二人と男ギョーザが二人、二手に別れて隣同士の部屋にいる。


ギョーザの暮らしを覗き見て
悪意を抱くなら片眼を抉り出せ

自らの目を抉り出したギョーザの将来は
今よりも良くなるという

神の教えにそうあるから
二度と悪さをしなくなるのか

では元々が片眼のギョーザなら
見える方の目をえぐり出すのか
そんなギョーザは知らない

ギョーザはなぜ
学ばないのだろう


白いローブは四人の肝臓に触れた。


お前たちはこれから
ゆっくり半分の機能を失い
気づいたときには
あと半分が失われていく


四人の目に白いローブは見えない。


「あの女の部屋には秘密の出入り口があるから、あの女が寝ている時とか留守の時には自由に入れる」


白いローブはもう一度四人の肝臓に触れた。


本来ならこの場で殺しても
構わないのだが
二人を生き残らせるのであれば
この方法が良いだろう


白いローブは誘ったギョーザに数回触れた。


「それなら、角膜とか他にも各部品を取り分けられるな」と誘われて参加したギョーザが言った。


白いローブは躊躇いもなくそのギョーザの身体に触れた。


お前は邪悪な企みに
アイデアを重ねる名人だ
意識が明確な時に
邪悪さを隠さないギョーザ
目覚めているのに
良心が寝ぼけているギョーザ


「じゃあ、寝ぼけている今答えさせよう」
と、誘ったギョーザが言った。


白いローブは笑った。

お前らが自ら答えたのだ
邪悪なお肉の心をもって
行いに変換しようとして
誰も尋ねてはいないのに
お前らが自ら答えたのだ

起きている時と寝ている時の
寝ぼけた答えはどちらが許される

ちゃんと睡眠をとり
仲間と一緒にいながら
邪悪な本能を隠さず
かえって手柄のようにひけらかし合う

早くその場から離れて一人になれ
これ以上の証しは必要ない
誰から祀るかもう決めた


「寝ているなら何でもし放題か」
誘われて参加したギョーザが言った。


起きている時と寝ている時の
寝ぼけた答えはどちらが許される


白いローブの指先がにょ~っと突き出された。くるくると円を描くように指先を回しながら近づいていく。


私には堪忍袋はないからね
寝ているギョーザとお前らに
なんの関係もないのと同じ様に
私もお前らとはなんの関係もない
だからやれるんだよね
酷いことをやれるんだよね
そして誰もお前らを止めないよね
だから、誰も私を止められないんだよ

起きている時と寝ている時の
寝ぼけた答えはどちらが許される



にょ~っとにょ~っと……






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