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23)何故か心音が
しおりを挟む瞬きする間もなく璃人の右手はアディウィズに向けられ、対するアディウィズは璃人の手を切り払う。サーベルは空を裂いて、霊域のスクリーンに映し出されただけの璃人の手は揺るがない。
「おのれ、この魔剣を受けても動じぬか」
青い光が津波のようにドドッと押し寄せ、硬質な光がアディウィズを襲う。
「怯むでないぞ、アディウィズ殿っ」
緋芙美の赤い髪の毛が璃人目掛けて舞うも、呪詛文言の紐に阻まれて、赤と青の二対の蛇が空中で絡み合う格好になる。
アディウィズは真正面から璃人を叩き斬った。その刹那、璃人の影がふいに消え青い光に浸されていた部屋が紫色を経て赤い色彩を取り戻す。
「何だったのだ、今のは……」
消えた影を追って辺りを見渡す。何事もなかったように忽然と消えた若者。溜め息を#吐__つ本気__#くアディウィズの身体に、熱い痛みが残った。光とは思えない重量を持つ硬質な物質が身体に当たり、打撲傷と火傷に似た痛みをもたらした。その青黒い証拠が捲り上げてみた腕に残っている。
胸にも受けたのだ
胸が痛むのは……
アディウィズの傍らで緋芙美は鼻血をだらだらと垂らし、その鼻血は真っ赤な着物に黒味を帯びて吸い込まれる。部屋を赤く染めていた光もシュウシュウと音をたてながら緋芙美の身体に収まっていく。呪詛文言が緋芙美のすらりと伸びたナマ足から身体に絡まった。
「ええい、ウプンマガの呪詛めがっ。今頃になって我を好いても遅いのじゃ。無駄じゃと言うに瑠璃子め、粘着気質かっ」
アディウィズはサーベルを振り下ろして、緋芙美に傷をつけること無く呪詛文言を細切れにした。ポトポトと白化した言葉が骨のように落ちる。切っ先からは霊気が立ち上っていた。
アディウィズは緋芙美を一瞥すると、サーベルを鞘に納めて背中を向けた。まだ身体に張り付いている呪詛文言の短い紐を剥がす緋芙美を余所に、壇上に上がる。心なしか頬が赤い。金メッキと色硝子を嵌め込んだ赤い天鵞絨の王者の椅子にどっかと座って脚を組むも、身体が斜めに崩れ、切なげに口許に手をやる。
「璃人……」
青白く浮かんだ影がくっきりとした面差しを映し出した時、一瞬だったがアディウィズの目は璃人の容貌に見惚れた。名前を口にした途端に心音が高まる。
「おや、アディウィズ殿、如何なされた。よもや我にその霊刀が渡るのを拒むのではなかろうの」
アディウィズは心ここにあらずといった調子だ。呆けているようにも見えて、緋芙美は不満たらたらと追及する。
「アディウィズ総帥……」
「緋芙美。お主、璃人とやらと顔見知りか」
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