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18)お前の責任

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冬菜の理解では、緑灰色の生物がいるとしたらそれは爬虫類系の地球外生命体。


い、異星人……

緋芙美のグループ
トライアングルの
あの、アディウィズ総帥とか言う
青い髪の美形の率いる軍師団と

地球上の全ての国に
兵器を輸出している武器商人

そして緑灰色の宇宙人

これが緋芙美の属する
帝国復興トライアングル……

日本だけじゃなく各国に
帝国復興させるという
後ろ向きな団体よね

何で帝国復興なのか
その理由なら分かるわよ


緑灰色の腕がスクリーンを見つめる冬菜の目の前を過り、アディウィズ総帥の剣に触れた。雷光のフラッシュが辺りを閃滅する。


「うぁ……うぅ……」


アディウィズの身体からシュウシュウと霊気が立ち上ぼり、青いロングヘアーがメドゥーサのように空中に蠢く。


セクシーっ
美形が苦しむ図はセクシーそのものっ

あ、私は璃人さんのファンだった

うぅん……
こっちも美しいよね

どっちかっていったら……
迷っちゃうよ
あぁ、違うっ
何を口走ってるの私

アディウィズ総帥とか
緋芙美とか

いくら綺麗でも悪は無理っ


ウプンマガ
どうにかならないの
相手は霊力を注入してる

止めさせて


冬菜はウプンマガの両腕に力を込める。


「ふんむっ。負けて堪るかあぁぁ」


緋芙美を縛る呪詛文言に黒く綾なす文字が混じり、その文字列が分かたれてアディウィズに向かい、サーベルに吸い込まれた。


「ヒュッ。誰だ、邪魔立てするのは」


緑灰色の指から雷光が消え、黒煙の中の目玉がギロリと縦割りに光る。


冬菜は最大限に力を込めて叫んだ。


「冬菜だっ、お前を倒す」


ウプンマガが跳た。身体に漲る闘志が声にも出る。


「宇憤魔我の奉る天界の御言葉に、集い賜え源からの精霊よ」


ウプンマガの大きなしゃがれ声を消すように、ガラガラガラと破れ鍋の回転するような大爆音が緑灰色の指から出た。


「なによっ。邪魔立てしているのはあんたの方じゃないの、爬虫類系異星人め」

「ヒュッ。冬菜……お前か……使えんやつ。お前は小説でこの世の滅びを描くのではなかったのか」

「こら、爬虫類。今から書こうとしていることを何で知っているのよ。ストーカーか」

「ヒュッ。我らがお前に指示を与えて書かせていたからだ」

「はぁ、何を妄言吐いてるの、この爬虫類は。誰の指示だとぉ。お前は私に指示して書かすことが出きるのか。お前、思考通信ストーカーか。何で自分で書かないんだ。若しくは仲間に書かすべきだろ。あれはね、引きこもりの私が朝も昼も夜も寝食忘れて推敲に推敲を重ねて練り直して自分の考えで書いた完全なオリジナルよっ。著作権侵害で訴えるぞ、こら」


アディウィズは瞠目した。目の前に透明なスクリーンがあるらしく、真っ赤な顔で怒りに震える少女が睨んでいる。


「ヒュッ。成る程、それならお前自身に責任があると言うのだな、冬菜」


冬菜の身体から黒い文字が次々と流れ出てきた。その文字が緑灰色の腕に絡み付く。


「ヒュッ。何をするっ」

「待たれい」


アディウィズが叫んだ。アディウィズのサーベルは、ウプンマガと修行者の祈祷で生まれた極彩色の文字列の吸い込まれて重さを増している。そのサーベルを水平に薙ぎ払い、冬菜の黒い文字に斬りかかり、緋芙美を縛る文字列も叩き斬った。シュウシュウと立ち上る霊気は異様なまでにアディウィズを光らせている。


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