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イケオジに、今夜は浮気王子を泊めること、明日一緒に連れて帰ってほしいことを伝える。

夕飯を一緒に摂ると、

「ナタリーは、食事の仕方が美しいな」

「そうかな。よくわから…よくわかりませんわ、殿下」

「さっきの話し方でいい」

「いえ。不敬罪で処刑されたくないので、まだ」

こんな貧相なカラダのまま死にたくない。自分の理想のカラダにナタリアを作り上げてから死にたい。

「俺はナタリーにそんなことしない」

浮気王子は私をじっと見ると、「今まで、一緒に食事をしたこともなかった」

「ふーん。なんで?一応婚約者だったんでしょ?」

「…俺は、ナタリーが苦手だったんだ」

はぁ?

「じゃあとっとと婚約解消しろよ!なんでわざわざもう一回結び直してんだよ!」

苦手な女と結婚したいって、なんの性癖なんだよ!ハッ、まさかまた罵倒してストレス解消するサンドバッグにするつもり!?いい度胸だ、カラダを鍛えておまえみたいなヒョロイ顔だけ野郎は返り討ちにしてやる!でもドストライクな顔だけはキレイなままで勘弁してやる!

「いや、その…ナタリーは、王妃教育も常に完璧で、ダンスも完璧、学園での勉強も完璧、完璧すぎて気後れしていたんだ」

なんじゃそら。だから避けてたの?小説の中でも?

「そんなの、あんたの勝手な被害妄想だよね。ナタリアはあんたのことが大好きだからあんたにふさわしい妃になりたくて努力したんでしょ」

「ナタリアはあんたのことが大好きだから…?ナタリアは…?」

あ、やべ。

「…私は、あんたのことが好きだったから頑張ったの。あんたは私のことなんて耳クソ以下にしか思っていなかったんだろうけど」

「なんでそんなこと言うんだ」

「本当のことじゃん。ほんとのこと言われたからって逆ギレしないでよ。みっともないよ」

浮気王子は私をじっと見つめた。やめろ!そのカッコいい三白眼で見るな!グラグラしちゃうだろうが!

「ナタリー、これからは一緒に過ごす時間を取りたい」

なんでだよ。ミアちゃんと過ごせよ。私は領地にいるんだからあんたらがイチャイチャしてても見なくて済むし!素敵な三白眼が他の女を口説いてるなんて悲しくなる場面を見たくない!いくら中身がイヤでも!

「だから、気にしなくていいって、」

浮気王子は真剣な瞳で私を見つめた。

「俺が、ナタリーと一緒に過ごしたいんだ。頼む。おまえが領地にいる間は俺がこちらに通う。きちんと護衛も連れてくるし、日程も事前におまえに確認する。今日みたいに勝手に来て、迷惑をかけたりしない」

迷惑かけてる自覚はあるんだ。浮気王子のくせに。

「…勝手にしなよ。私、勉強忙しいから相手できないよ」

「一緒に勉強する」

「どうぞご勝手に」

「ナタリー」

「なに」

「おまえの瞳の色のピアスをしたい。おまえも、俺の瞳の色のピアスをつけてくれ」

ほわっつ?そんなのミアちゃんとやれよ。なに、私に縛られちゃってます、でも心はおまえのものだぞ、みたいな!?くそっ、どれだけ私をピエロにするつもりなんだよ!悪役令嬢の役割を果たせって?なにこれ、よくある補正、強制力ってやつなの?逆らうことできないじゃん。

「…それは命令なの」

「命令ではない。お願いだ。ピアスは、俺が準備する」

「やだよ、あんたの分は私が買うよ。そんな高いの買えないけど我慢してよ。あんたも高いの買わないでよ。パパの日程次第だけど、明日時間あるなら一緒に買いに行こう。勝手に二人分買われたりすんのやだ」

浮気王子は嬉しそうな顔で私を見た。なんなんだ。好みの三白眼にこんな顔で見られたらドキドキするだろうが。





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