55 / 57
後日
55
しおりを挟む
「オリザを、早く連れて来い!」
「まあ、怖い顔。オリザお姉様は逃げ出してしまうでしょうね」
ソフィアの言葉にグッ、と詰まったベンジャミンは、
「…俺は、オリザと絶対に結婚する。でもそれは公爵になりたいから、という理由じゃない。オリザを、愛してるんだ。ガキで、コンプレックスばかりで、一個も優しくできなかった。自分の想いも素直に伝えられなかった。オリザには嫌われて当然だけど、これから時間をかけて償うし、兄上といういい見本を見せてもらってきたからこれからは毎日オリザに愛を告げる。大事にするし、もちろんすぐに俺のモノにする。悪い虫がつかなくて本当に良かった…。邪魔するならここにずーっとずーっと居座ってやる。俺とソフィア嬢に怪しい噂がたって、スムーズに結婚できなくなるかもしれませんね、兄上」
「…それは脅迫か?宣戦布告か?そもそもソフィアはもう僕のだ!僕の童貞を捧げたんだ、誰にも奪わせない!やるならやろうじゃないか、」
「えー、じゃあ僕もここに来るぅ、伯爵家は僕とチェイサー君の子どもに継がせるから」
「そんな、パワーバランス崩すような真似はやめてくださいよ!そんなことになったら僕は立太子しませんからね!」
ギャンギャン騒いでいる4人を横目に、ソフィアがマーカスに視線を向ける。マーカスはそっと姿を消した。
「…皆様」
ソフィアが言葉を発すると、4人はピタリと止まってソフィアをおずおずと見た。レイノルドだけはニヤニヤしながらだが。
「まず。お義兄様。そうやって煽って周囲を巻き込むのはおやめください。…あ、そうだわ」
わざとらしくポン、と手を叩いたソフィアは、
「お兄様…お姉様、シェリル様は、実家に帰りました」
ニッコリと嗤ったソフィアに、「はあああ!?」とレイノルドが詰め寄る。
「なんで…っ!!僕、聞いてない!!」
「お義兄様が毎週末こちらに来る、それなのに行き先を告げていないそうですね。物珍しかっただけで、もう自分に飽きたのだろうと…傷付いておられましたわよ。おに…お姉様もだいぶ反省なさって両親にも謝罪しましたし、私にも…元々家族ですから、受け入れましたの。しばらく帰らないと思いますわ。あらまあ、まさか、離縁なんてなったらどうしましょうねぇ?」
いつも余裕を崩さないレイノルドの表情が一気になくなる。
「…そんなこと絶対に認めない。僕の大事な人を取り上げたりしたら全面戦争だよソフィア」
そう言って踵を返し、ものすごい速さで駆けて行くレイノルドをソフィアはクスクス笑いながら見送った。
「まあ、怖い顔。オリザお姉様は逃げ出してしまうでしょうね」
ソフィアの言葉にグッ、と詰まったベンジャミンは、
「…俺は、オリザと絶対に結婚する。でもそれは公爵になりたいから、という理由じゃない。オリザを、愛してるんだ。ガキで、コンプレックスばかりで、一個も優しくできなかった。自分の想いも素直に伝えられなかった。オリザには嫌われて当然だけど、これから時間をかけて償うし、兄上といういい見本を見せてもらってきたからこれからは毎日オリザに愛を告げる。大事にするし、もちろんすぐに俺のモノにする。悪い虫がつかなくて本当に良かった…。邪魔するならここにずーっとずーっと居座ってやる。俺とソフィア嬢に怪しい噂がたって、スムーズに結婚できなくなるかもしれませんね、兄上」
「…それは脅迫か?宣戦布告か?そもそもソフィアはもう僕のだ!僕の童貞を捧げたんだ、誰にも奪わせない!やるならやろうじゃないか、」
「えー、じゃあ僕もここに来るぅ、伯爵家は僕とチェイサー君の子どもに継がせるから」
「そんな、パワーバランス崩すような真似はやめてくださいよ!そんなことになったら僕は立太子しませんからね!」
ギャンギャン騒いでいる4人を横目に、ソフィアがマーカスに視線を向ける。マーカスはそっと姿を消した。
「…皆様」
ソフィアが言葉を発すると、4人はピタリと止まってソフィアをおずおずと見た。レイノルドだけはニヤニヤしながらだが。
「まず。お義兄様。そうやって煽って周囲を巻き込むのはおやめください。…あ、そうだわ」
わざとらしくポン、と手を叩いたソフィアは、
「お兄様…お姉様、シェリル様は、実家に帰りました」
ニッコリと嗤ったソフィアに、「はあああ!?」とレイノルドが詰め寄る。
「なんで…っ!!僕、聞いてない!!」
「お義兄様が毎週末こちらに来る、それなのに行き先を告げていないそうですね。物珍しかっただけで、もう自分に飽きたのだろうと…傷付いておられましたわよ。おに…お姉様もだいぶ反省なさって両親にも謝罪しましたし、私にも…元々家族ですから、受け入れましたの。しばらく帰らないと思いますわ。あらまあ、まさか、離縁なんてなったらどうしましょうねぇ?」
いつも余裕を崩さないレイノルドの表情が一気になくなる。
「…そんなこと絶対に認めない。僕の大事な人を取り上げたりしたら全面戦争だよソフィア」
そう言って踵を返し、ものすごい速さで駆けて行くレイノルドをソフィアはクスクス笑いながら見送った。
59
お気に入りに追加
2,891
あなたにおすすめの小説
勝手にしなさいよ
棗
恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
婚約破棄イベントが壊れた!
秋月一花
恋愛
学園の卒業パーティー。たった一人で姿を現した私、カリスタ。会場内はざわつき、私へと一斉に視線が集まる。
――卒業パーティーで、私は婚約破棄を宣言される。長かった。とっても長かった。ヒロイン、頑張って王子様と一緒に国を持ち上げてね!
……って思ったら、これ私の知っている婚約破棄イベントじゃない!
「カリスタ、どうして先に行ってしまったんだい?」
おかしい、おかしい。絶対におかしい!
国外追放されて平民として生きるつもりだったのに! このままだと私が王妃になってしまう! どうしてそうなった、ヒロイン王太子狙いだったじゃん!
2021/07/04 カクヨム様にも投稿しました。
【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜
真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。
しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。
これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。
数年後に彼女が語る真実とは……?
前中後編の三部構成です。
❇︎ざまぁはありません。
❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路
八代奏多
恋愛
公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。
王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……
……そんなこと、絶対にさせませんわよ?
今更ですか?結構です。
みん
恋愛
完結後に、“置き場”に後日談を投稿しています。
エルダイン辺境伯の長女フェリシティは、自国であるコルネリア王国の第一王子メルヴィルの5人居る婚約者候補の1人である。その婚約者候補5人の中でも幼い頃から仲が良かった為、フェリシティが婚約者になると思われていたが──。
え?今更ですか?誰もがそれを望んでいるとは思わないで下さい──と、フェリシティはニッコリ微笑んだ。
相変わらずのゆるふわ設定なので、優しく見てもらえると助かります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる