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「話が、まったくわからないの、まず、話をしたい」
震える声をなんとか平静に聞こえるように伝える私をじっと見下ろす上杉は、「…わかった」
私の服を整えると腕を縛りつけていたネクタイを外し、「おいで、薫」と私を自分に抱き寄せた。そのままベッドに座り、自分の前に横抱きにする。
「薫、俺のこと見て」
怖々見上げると、今までよりも穏やかな顔になっていた。
「薫、俺の名前呼んで。さっきから一度も呼んでくれてない。呼んで」
「…啓一」
途端にくしゃりと笑った上杉は、「薫。嬉しい。好き」と私の頬に口づけた。
「もう一回呼んで、薫、好きって言って、ね、薫」
「あ、あの、」
途端にまたキュッと眉をしかめると、「言って。話し、しないよ。好きって言って。名前呼んで」
…さっきまでの鬼気迫る感じからうって変わって駄々っ子のようになった上杉に、気が抜けた私はボロボロ涙が零れ出した。
「薫、なんで泣くの、俺、いま、痛いこと何もしてない。ねぇ、薫、泣かないで、お願い、ねぇ、泣かないで、薫、なんにもしてないよ、いま、なんにもしてない」
私を見る上杉も目が潤んできた。
「…何があったの?」
「名前呼んでよ、好きって言ってよ」
「あのね、」
「じゃあ、名前だけでいいから、お願いだよ、薫…っ」
とうとう涙が零れ出した上杉は、声をあげて泣き出した。
「薫、いなくならないで、薫、薫、俺のとこにいて」
ワンワン泣く上杉。泣いてるところなんて見たこともなかったのでびっくりしたが、とりあえず頭を撫でることにした。
「上杉、」
「名前、お願い、薫…」
「啓一」
真っ赤な顔で泣きながら私を見ると、上杉はまたくしゃりと笑った。
震える声をなんとか平静に聞こえるように伝える私をじっと見下ろす上杉は、「…わかった」
私の服を整えると腕を縛りつけていたネクタイを外し、「おいで、薫」と私を自分に抱き寄せた。そのままベッドに座り、自分の前に横抱きにする。
「薫、俺のこと見て」
怖々見上げると、今までよりも穏やかな顔になっていた。
「薫、俺の名前呼んで。さっきから一度も呼んでくれてない。呼んで」
「…啓一」
途端にくしゃりと笑った上杉は、「薫。嬉しい。好き」と私の頬に口づけた。
「もう一回呼んで、薫、好きって言って、ね、薫」
「あ、あの、」
途端にまたキュッと眉をしかめると、「言って。話し、しないよ。好きって言って。名前呼んで」
…さっきまでの鬼気迫る感じからうって変わって駄々っ子のようになった上杉に、気が抜けた私はボロボロ涙が零れ出した。
「薫、なんで泣くの、俺、いま、痛いこと何もしてない。ねぇ、薫、泣かないで、お願い、ねぇ、泣かないで、薫、なんにもしてないよ、いま、なんにもしてない」
私を見る上杉も目が潤んできた。
「…何があったの?」
「名前呼んでよ、好きって言ってよ」
「あのね、」
「じゃあ、名前だけでいいから、お願いだよ、薫…っ」
とうとう涙が零れ出した上杉は、声をあげて泣き出した。
「薫、いなくならないで、薫、薫、俺のとこにいて」
ワンワン泣く上杉。泣いてるところなんて見たこともなかったのでびっくりしたが、とりあえず頭を撫でることにした。
「上杉、」
「名前、お願い、薫…」
「啓一」
真っ赤な顔で泣きながら私を見ると、上杉はまたくしゃりと笑った。
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