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蜜柑マル

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君は元第一王子殿下、ユリウス…今はどこぞの男爵領で、口の聞けない妻を殴りながら酒浸りになっている惨めな男の婚約者だった。

ユリウスという男はね、何を勘違いしていたのか…自分が将来、国王になると信じて疑わなかったんだよ。自分だけが帝王学を受けて、自分の婚約者である君だけが王妃教育を受けていると思っていたんだ。記憶を失う前の君も、たぶんそう思っていたのだろう。ユリウスがそう言ったから。

でも、少し考えればわかるよね。「王太子」ではない。「第一王子殿下」なのに。

第二王子殿下…ユリウスの弟君だね。この方はユリウスと違い聡明で野心家だった。自分が国王の座を射止めるには何が必要か、何が不必要か、常に考えている男だった。

この男が目を付けたのが、俺。第一王子殿下の婚約者に切ない報われない恋心を抱いていた、哀れな男、イーサン・エストリアだ。
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