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イーサン様と私は初夜を迎えていない。イーサン様が拒絶したから。
婚姻を結んで一週間ほどしたある晩、部屋にノックもなく入ってきたイーサン様は、
「セシリアに良く似た女性を見つけた。可愛らしく、俺を癒してくれる素晴らしい存在だ。俺は今夜から彼女の元で過ごす。両親に告げ口したりしたら承知しないぞ」
と冷たい瞳で睨み付け出て行った。
いつまでも自分だけが被害者だと云わんばかりの態度に、申し訳なく思っていた心がどんどん荒んできた。私はイーサン様のことをほとんど知らなかったが、知りたいという気持ちもなくなった。
毎晩宣言通りに家を出ていくイーサン様を見て、このまま一生こんな状態でいなくてはならないのかと虚無感に襲われた。ここから、出ていきたい。こんなふうに憎まれながら生きて行くなんて、何の罰なのだろう。他の女に婚約者を奪われ、惨めな想いをしたのにまだ足りないの?
婚姻を結んで一週間ほどしたある晩、部屋にノックもなく入ってきたイーサン様は、
「セシリアに良く似た女性を見つけた。可愛らしく、俺を癒してくれる素晴らしい存在だ。俺は今夜から彼女の元で過ごす。両親に告げ口したりしたら承知しないぞ」
と冷たい瞳で睨み付け出て行った。
いつまでも自分だけが被害者だと云わんばかりの態度に、申し訳なく思っていた心がどんどん荒んできた。私はイーサン様のことをほとんど知らなかったが、知りたいという気持ちもなくなった。
毎晩宣言通りに家を出ていくイーサン様を見て、このまま一生こんな状態でいなくてはならないのかと虚無感に襲われた。ここから、出ていきたい。こんなふうに憎まれながら生きて行くなんて、何の罰なのだろう。他の女に婚約者を奪われ、惨めな想いをしたのにまだ足りないの?
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