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蜜柑マル

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殿下の冷たい蔑むような目、その腕に絡み付きイヤらしい顔で嗤う男爵令嬢、そして周囲の嘲笑に何も出来ず立ち尽くしていた時、突然会場のドアが開き厳かな声が響いた。

「ユリウス、おまえはいつから私より偉くなったのだ」

「…父上?」

国王陛下と共に入ってきた騎士たちに、殿下と男爵令嬢は拘束された。

「父上、なにを…っ!」

「学園の間は目をつぶるつもりだった。卒業した今、何も変わらず自分の立場を忘れた愚か者は報いを受けねばならない。おまえは自身の望み通りそこな淫売と結婚するがよい。男爵家に婿入りせよ。さぞかしその淫売の親も喜ぶであろう」

目を見開いた殿下よりも先に、男爵令嬢が叫んだ。

「な、なんで!?私はヒロインなのよ、王子と結ばれて王妃になるの!なんで男爵家のままでいなくちゃいけないのよ!ふざけるな!…キャアッ!」

男爵令嬢は、騎士の手により床に叩きつけられた。
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