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プロローグ

始まる前に終わったわたしの人生④

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ものすごい衝撃が身体を貫く。

「…ゲホッ」

口から何かが溢れる。苦い…これは、血…?

遅れて猛烈な痛みが襲う。痛い…痛い…痛い…!!

(わたし、死んじゃうんだ…)

死んだように生きてきたんだから、今さらだろう?そう、確かに、そう…

「ルヴィ!!しっかり…しっかりしろ、死ぬな!」

さっきも聞こえた声…聞き間違いじゃなかったんだ…

「…で、ん…」

「喋るな!いま、どうにか…カイルを、カイルを呼んでくれ!クソ…っ!血が…!」

「…さわ、ら、」

「ルヴィ?」

「さ、わらな、…いで」

「ルヴィ、喋るな、ごめん、すまなかった!俺の…」

聞きたくない。もう、なんにも聞きたくない。

わたし、こんなふうに死ななきゃいけないほど、何かした?目立たないように、何もしないで、誰の邪魔もしないように生きてきたのに…!!

…何も…

(…何も、しなかったんだ…)

殿下のことが怖くても、どうにかすることもできたかもしれなかったのに、私は、早々に諦めてしまったんだ…。

(生きたい…もう一度…生きなおしたい…!!)

もう一度、生きなおせるなら…もう、逃げない。殿下から、周りの悪意から、嘲笑から、逃げない。

「…い、」

「ルヴィ!」

涙が溢れる。おかげで、殿下の顔を見なくて済む。そう思うと、自然と笑えてきた。

「…ルヴィ?」

「いき、たかっ、…」

私を蔑み続けた相手に抱かれながら死ぬなんて…これは、人生を早々に捨てた、私への最後の罰なんだ…

(神様…チャンスをいただけたら…この罪を、人生を大切にしてこなかったこの罪を…償います…)

「逝くな!ルヴィ!俺を、俺を…置いて逝くな!」

ルヴィア・オルスタイン、18歳。

皇太子からやっと解放され、望んだことではなくとも修道女として始まる前に人生の幕を閉じた。
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