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婚約者編
キーマン、ランベール③
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「俺はランが好きだよ」
アレクサンドライトに言われて顔を上げたランベールの顔は涙に濡れている。それを見たアレクサンドライトの胸は激しく痛んだ。もっと早く、助け出してあげられたら。この子の両親が、まともな人間だったら。でも、いくらたらればを論じたところで、父が言ったようにランベールを襲った事実は変わらない。それをなかったことにはできないのだから、これからの未来を変えてやればいい。俺が、必ず変えてみせる。
「…でも、お母様は、僕みたいな出来損ないを好きな人間なんていない、って、だから、王になって、強制的にでも、好きになってもらえる立場になるしかないんだ、って、」
その言葉に反応したのはジークハルト。
「…王になれ、って、そう言われてきたんだね?」
「…はい。王、って、いまの、女王陛下とは違うんですか?僕は、男でも女でもあるから、女王になれる、ってことなんですか?」
「…え?」
困惑気味にランベールを見たアレクサンドライトに、ジークハルトが声をかける。
「アレク、ランベール君は両性具有者なんだ。王宮で診察を受けてきた。膣も、子宮もある」
「…え」
腕の中のランベールをマジマジと見たアレクサンドライトは、真っ赤になると、「ご、ごめん…っ」とランベールを腕から離した。ランベールは傷ついた顔になり、
「…アレクサンドライト様も、僕が気持ち悪いの?」
とまた涙を溢した。
「ち、ちがう、あの、女の子だと知らなくて、抱き締めたりして、ごめんな、」
真っ赤になりながら慌てて涙を拭ってくれるアレクサンドライトに、ランベールは頬を擦り寄せた。
「…ぐぅっ」
息が詰まったようになるアレクサンドライトに、ジークハルトは呆れたように声をかける。
「アレク、ランベール君は、男の子だが、女の子の特徴も持ってるんだ、女の子じゃない。ただ、妊娠もできるんだよ、…良かったな」
ニヤリとされて、アレクサンドライトはまた赤くなりながらジークハルトを睨み付けた。
「…良かった?僕が妊娠できると、アレクサンドライト様は良かったの?」
そう言って見上げてくるランベールが可愛すぎて、アレクサンドライトは呼吸が止まりそうだった。なんとか息を整えて、ゆっくりと自分の胸に抱き込みランベールの頭を優しく撫でる。
「ラン、…さっきから、もう呼んじゃってるけど、ランと、呼んでいいかな」
視線を合わせられて、そのキレイな赤い瞳にドギマギしたランベールは、「はい、」と赤くなって頷いた。
(アレクサンドライト様は、さっき、抱き締めたりしてごめん、って言ったけど、…ぜんぜん、イヤじゃない。もっと、触って欲しいな…)
ポーッとした顔で自分を見つめるランベールに、アレクサンドライトはまた息が止まりそうになり、なんとか呼吸を整える。運命の香りについて聞いていたものの、まさかこんなにも破壊力が強いとは思いもしなかった。
「ええと、それでね、ラン、…ランは、エイベル家の血をひいている。お祖父様が、サヴィオン様が、王家の方だから。ランの髪の毛は黒いだろ?これは、王家の血を引く証なんだ。それでね、」
するとランベールがそっとアレクサンドライトの髪の毛に触れた。不意のことにカラダを固まらせるアレクサンドライトには気付かず、ランベールはアレクサンドライトの髪の毛をおずおずとわしゃわしゃすると、ふにゃ、と微笑んだ。
「…アレクサンドライト様と、お揃いだ。嬉しいなぁ…」
その顔があまりにも可愛すぎて、アレクサンドライトは失神しそうになった。ランベールから香る匂いがまた濃くなる。その甘さにクラクラし、アレクサンドライトは慌てて自分の内腿を思いっきりつねり上げた。さっき父に言われたことを思い出し、我慢がどこまで効くのか不安しかなかった。
「…そ、うだな、お揃いだな、…それで、あの、」
「ランベール君、エイベル家の血を引く者は、自分の運命の相手から香りがするんだよ。その人間にしかわからない、他の人間にはわからない、特別な香りがするんだ」
「…香り?」
ジークハルトの言葉にランベールはまたアレクサンドライトの胸に顔を埋め、スンスンと匂いを嗅いだ。
「…アレクサンドライト様の、この、すごくいい香りは、僕しかわからないの?」
仕草がいちいち可愛すぎて頭が沸騰しそうなアレクサンドライトに代わり、ジークハルトが「そうだね」と答える。
「俺たちはアレクの家族だけど、さっきランベール君が言ったような香りをアレクから感じたことはないんだよ」
隣で微笑みながらルヴィアも頷くのを見て、ランベールは「そうなんですか…」と嬉しそうにまたスンスンとする。
「…ぐ、う、…ラン、ちょっと、可愛すぎるから、やめて、死にそう、」
「え、」
慌てて見上げると、真っ赤になったアレクサンドライトが天井を見上げていて、つられるようにランベールも赤くなった。
「ご、ごめんなさい、すごくいい香りで、嗅いでると、すごく、いい気持ちがするから、」
「い、いいんだ、ごめん、俺の理性の問題だ」
アレクサンドライトはランベールをギュ、とすると、
「…俺は、ランからバニラのような甘い香りがするんだよ。食べたくなる、甘い香りが」
そう言うと、「食べていいですよ」とまたスンスンされ、アレクサンドライトは限界寸前だった。
このまま、できるなら全身に口づけ、すべてにむしゃぶりつきたい。しかしランベールはまだ10歳であり、心身に受けた傷を癒すのが何よりも優先される。
(父上が「これからつらいぞ」と言ったのは、こういうことか…)
これからどうやって理性を保つべきか。アレクサンドライトは真剣に考えなくてはならないと妙に悲しくなった。いままで何にも向き合ってこなかった罰なのだろうか。
「ランベール君はアレクが好きかい」
ジークハルトに問われ、ランベールはモジモジしながら小さな声で答えた。
「僕、今日初めて会ったけど、アレクサンドライト様が好きです。すごく、好きです。…好きでも、いいですか」
頷いたジークハルトはニコリと笑ってみせると、「いいんだよ」と安心させるように優しく答えた。
「ランベール君は、いままでいた場所で酷い目に遭ってきただろう?その、キミに今まで起きたことをなかったことにはできない。残念ながら、キミの辛さ、悲しさ、憎しみ、そういったものを俺たちはわからない。だけど、気持ちを共有することはできるし、これからは俺たちがキミを守っていく。もうすぐ我が家の面々が揃うから紹介するね。キミの祖父のサヴィオン・エイベルがキミを引き取ると言ったんだが、キミさえよければ我が家で暮らさないか?ゆくゆくは、…気持ちが、変わらなければ、だが、アレクと結婚して正式に我が家の息子になって欲しい」
「…え」
ジークハルトの言葉に目をしぱしぱさせたランベールは、自分を大事そうに抱き締めてくれるアレクサンドライトを見上げた。アレクサンドライトは真っ赤な顔で、「…そうして、欲しい」とランベールを見つめる。
「…僕で、いいんですか?アレクサンドライト様は、こんなにカッコよくて、素敵で、強そうなのに、僕なんかで、」
「僕なんか、なんて言うな。俺はランがいい。今日会ったばかりで、信用ならないだろうけど、…ランが、いいんだ。俺を、好きになってくれたら、嬉しい」
ランベールは瞳を潤ませると、アレクサンドライトに抱きつき、
「僕、アレクサンドライト様が好きです」
と泣き出した。
「僕、気持ち悪いカラダだけど、」
「気持ち悪くない。…あとで、全部、見たい、」
「アレク、やめなさい」
ニコニコしながら笑ってない目をしているジークハルトから威圧を感じ、アレクサンドライトは渋々頷いた。
「ランベール君。たしかに、キミのようなカラダの人間は少ないが、まったくゼロではない。確かに存在しているのだし、恥じることなんて何もない。気持ち悪いなんてバカなことを言う親がおかしかったんだと、そう思いなさい。キミには悪いところなんてどこにもないんだから、胸を張りなさい。堂々と生きていくんだ」
ジークハルトに見据えられて、ランベールはコクリと頷いた。こんなにも真剣に自分に向き合ってくれる人がいる、そのことがとても嬉しくて胸がほわりと温かくなった。
「僕、ここにいていいんですか」
「いいんだよ、みんなで楽しく暮らしていこう」
ジークハルトも、ルヴィアも、見上げるとアレクサンドライトも優しく自分を見つめて微笑んでいる。ランベールは、嬉しさでも涙が出るのだということを生まれて初めて知った。
アレクサンドライトに言われて顔を上げたランベールの顔は涙に濡れている。それを見たアレクサンドライトの胸は激しく痛んだ。もっと早く、助け出してあげられたら。この子の両親が、まともな人間だったら。でも、いくらたらればを論じたところで、父が言ったようにランベールを襲った事実は変わらない。それをなかったことにはできないのだから、これからの未来を変えてやればいい。俺が、必ず変えてみせる。
「…でも、お母様は、僕みたいな出来損ないを好きな人間なんていない、って、だから、王になって、強制的にでも、好きになってもらえる立場になるしかないんだ、って、」
その言葉に反応したのはジークハルト。
「…王になれ、って、そう言われてきたんだね?」
「…はい。王、って、いまの、女王陛下とは違うんですか?僕は、男でも女でもあるから、女王になれる、ってことなんですか?」
「…え?」
困惑気味にランベールを見たアレクサンドライトに、ジークハルトが声をかける。
「アレク、ランベール君は両性具有者なんだ。王宮で診察を受けてきた。膣も、子宮もある」
「…え」
腕の中のランベールをマジマジと見たアレクサンドライトは、真っ赤になると、「ご、ごめん…っ」とランベールを腕から離した。ランベールは傷ついた顔になり、
「…アレクサンドライト様も、僕が気持ち悪いの?」
とまた涙を溢した。
「ち、ちがう、あの、女の子だと知らなくて、抱き締めたりして、ごめんな、」
真っ赤になりながら慌てて涙を拭ってくれるアレクサンドライトに、ランベールは頬を擦り寄せた。
「…ぐぅっ」
息が詰まったようになるアレクサンドライトに、ジークハルトは呆れたように声をかける。
「アレク、ランベール君は、男の子だが、女の子の特徴も持ってるんだ、女の子じゃない。ただ、妊娠もできるんだよ、…良かったな」
ニヤリとされて、アレクサンドライトはまた赤くなりながらジークハルトを睨み付けた。
「…良かった?僕が妊娠できると、アレクサンドライト様は良かったの?」
そう言って見上げてくるランベールが可愛すぎて、アレクサンドライトは呼吸が止まりそうだった。なんとか息を整えて、ゆっくりと自分の胸に抱き込みランベールの頭を優しく撫でる。
「ラン、…さっきから、もう呼んじゃってるけど、ランと、呼んでいいかな」
視線を合わせられて、そのキレイな赤い瞳にドギマギしたランベールは、「はい、」と赤くなって頷いた。
(アレクサンドライト様は、さっき、抱き締めたりしてごめん、って言ったけど、…ぜんぜん、イヤじゃない。もっと、触って欲しいな…)
ポーッとした顔で自分を見つめるランベールに、アレクサンドライトはまた息が止まりそうになり、なんとか呼吸を整える。運命の香りについて聞いていたものの、まさかこんなにも破壊力が強いとは思いもしなかった。
「ええと、それでね、ラン、…ランは、エイベル家の血をひいている。お祖父様が、サヴィオン様が、王家の方だから。ランの髪の毛は黒いだろ?これは、王家の血を引く証なんだ。それでね、」
するとランベールがそっとアレクサンドライトの髪の毛に触れた。不意のことにカラダを固まらせるアレクサンドライトには気付かず、ランベールはアレクサンドライトの髪の毛をおずおずとわしゃわしゃすると、ふにゃ、と微笑んだ。
「…アレクサンドライト様と、お揃いだ。嬉しいなぁ…」
その顔があまりにも可愛すぎて、アレクサンドライトは失神しそうになった。ランベールから香る匂いがまた濃くなる。その甘さにクラクラし、アレクサンドライトは慌てて自分の内腿を思いっきりつねり上げた。さっき父に言われたことを思い出し、我慢がどこまで効くのか不安しかなかった。
「…そ、うだな、お揃いだな、…それで、あの、」
「ランベール君、エイベル家の血を引く者は、自分の運命の相手から香りがするんだよ。その人間にしかわからない、他の人間にはわからない、特別な香りがするんだ」
「…香り?」
ジークハルトの言葉にランベールはまたアレクサンドライトの胸に顔を埋め、スンスンと匂いを嗅いだ。
「…アレクサンドライト様の、この、すごくいい香りは、僕しかわからないの?」
仕草がいちいち可愛すぎて頭が沸騰しそうなアレクサンドライトに代わり、ジークハルトが「そうだね」と答える。
「俺たちはアレクの家族だけど、さっきランベール君が言ったような香りをアレクから感じたことはないんだよ」
隣で微笑みながらルヴィアも頷くのを見て、ランベールは「そうなんですか…」と嬉しそうにまたスンスンとする。
「…ぐ、う、…ラン、ちょっと、可愛すぎるから、やめて、死にそう、」
「え、」
慌てて見上げると、真っ赤になったアレクサンドライトが天井を見上げていて、つられるようにランベールも赤くなった。
「ご、ごめんなさい、すごくいい香りで、嗅いでると、すごく、いい気持ちがするから、」
「い、いいんだ、ごめん、俺の理性の問題だ」
アレクサンドライトはランベールをギュ、とすると、
「…俺は、ランからバニラのような甘い香りがするんだよ。食べたくなる、甘い香りが」
そう言うと、「食べていいですよ」とまたスンスンされ、アレクサンドライトは限界寸前だった。
このまま、できるなら全身に口づけ、すべてにむしゃぶりつきたい。しかしランベールはまだ10歳であり、心身に受けた傷を癒すのが何よりも優先される。
(父上が「これからつらいぞ」と言ったのは、こういうことか…)
これからどうやって理性を保つべきか。アレクサンドライトは真剣に考えなくてはならないと妙に悲しくなった。いままで何にも向き合ってこなかった罰なのだろうか。
「ランベール君はアレクが好きかい」
ジークハルトに問われ、ランベールはモジモジしながら小さな声で答えた。
「僕、今日初めて会ったけど、アレクサンドライト様が好きです。すごく、好きです。…好きでも、いいですか」
頷いたジークハルトはニコリと笑ってみせると、「いいんだよ」と安心させるように優しく答えた。
「ランベール君は、いままでいた場所で酷い目に遭ってきただろう?その、キミに今まで起きたことをなかったことにはできない。残念ながら、キミの辛さ、悲しさ、憎しみ、そういったものを俺たちはわからない。だけど、気持ちを共有することはできるし、これからは俺たちがキミを守っていく。もうすぐ我が家の面々が揃うから紹介するね。キミの祖父のサヴィオン・エイベルがキミを引き取ると言ったんだが、キミさえよければ我が家で暮らさないか?ゆくゆくは、…気持ちが、変わらなければ、だが、アレクと結婚して正式に我が家の息子になって欲しい」
「…え」
ジークハルトの言葉に目をしぱしぱさせたランベールは、自分を大事そうに抱き締めてくれるアレクサンドライトを見上げた。アレクサンドライトは真っ赤な顔で、「…そうして、欲しい」とランベールを見つめる。
「…僕で、いいんですか?アレクサンドライト様は、こんなにカッコよくて、素敵で、強そうなのに、僕なんかで、」
「僕なんか、なんて言うな。俺はランがいい。今日会ったばかりで、信用ならないだろうけど、…ランが、いいんだ。俺を、好きになってくれたら、嬉しい」
ランベールは瞳を潤ませると、アレクサンドライトに抱きつき、
「僕、アレクサンドライト様が好きです」
と泣き出した。
「僕、気持ち悪いカラダだけど、」
「気持ち悪くない。…あとで、全部、見たい、」
「アレク、やめなさい」
ニコニコしながら笑ってない目をしているジークハルトから威圧を感じ、アレクサンドライトは渋々頷いた。
「ランベール君。たしかに、キミのようなカラダの人間は少ないが、まったくゼロではない。確かに存在しているのだし、恥じることなんて何もない。気持ち悪いなんてバカなことを言う親がおかしかったんだと、そう思いなさい。キミには悪いところなんてどこにもないんだから、胸を張りなさい。堂々と生きていくんだ」
ジークハルトに見据えられて、ランベールはコクリと頷いた。こんなにも真剣に自分に向き合ってくれる人がいる、そのことがとても嬉しくて胸がほわりと温かくなった。
「僕、ここにいていいんですか」
「いいんだよ、みんなで楽しく暮らしていこう」
ジークハルトも、ルヴィアも、見上げるとアレクサンドライトも優しく自分を見つめて微笑んでいる。ランベールは、嬉しさでも涙が出るのだということを生まれて初めて知った。
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