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目覚めた後の現実
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「………………うう……。」
「……。目覚めたか。」
誰かの声が聞こえる。…………。ん?まて。
まだ俺は生きてると分かった瞬間飛び起きると、隣には眠ってるヴァイスがいて俺たちは見たことも無い場所にいた。そもそも、俺は本当に生きているのか?そう思い確認したら
「…………。まさか……。」
嘘だろう?間違いなく俺は生命起動中の状態だった。つまり人で言うなら生きている状態だったんだ。だがだとしたら何故。
「何故、俺は……。」
そうだ。俺もヴァイスも間違いなく死ぬしかなかった。俺たちの生存の可能性は0%なのも覆しようが無かった。
「あなた方が生きたいと願ったからですよ。」
「!お前は。」
この波動は。間違いない。救済の女神である水無月緋雨だ。まさか。
「俺たちを、助けたのは……。」
「私です。あなた方はあの時に生きたいと願った。だから私はあなた方を救えたのですよ。」
「なら、何故皆を……!!」
俺たちは救えて、何故皆は救えなかったと訴える。すると
「神はあなたが思うほど万能ではない。今回の星の破壊によって救える方の条件は先ず生きたいと願った者。次に私たち神はいると信じる者。最後の条件は1人でも多く助けようと脱出をしなかった方です。あなた方以外にいましたか?助けようとした方は。命が尽きる時にあなた方は必ず他人を犠牲にさせても生きようとするか。もしくは自分が死んでも他人を生きさせようとするか。前者ならばどのみちこの世界に来たところで長くは生きられません。僅かに延命するだけです。ですがあなた方は違います。あなた方には選択の余地があります。」
「選択……?どういう……。」
確かに皆。自分が生き残ろうと脱出していた。自分以外の誰かを助ける奴はいなかった。ならどのみち皆は長くは生きられなかった?それに選択って、一体なんの。
「…………………………。!ヴァイス!」
「う、うう……。こ、此処は。」
「俺たち、助かったんだ。」
間違いなく、ヴァイスも生きてる。良かった。何を選ぶ余地があると言うが何の事だと考える。
「俺たちは何故生かされた。」
「私は生かした訳ではありません。命が尽きる時に善行を行ったあなた方の願いを聞き入れただけに過ぎません。それだけです。」
「だが、ただこのままでいられる訳でも無い。」
「「っ!!」」
あの波動は。間違いない。
「破壊神……。」
「そう脅えるな。緋雨がお前に言っただろう。選択の余地がある、とな。」
永遠の命を持ってでもヴァンピールとして生きるか、このまま命尽きるまで掃除係として生きるか。
「ヴァン、ピール……?」
「なんだそれは……。」
「半吸血鬼の種族だ。嘗てヴァンパイアたちは戦いの為に生きた人間に己の血を入れてヴァンピールという半吸血鬼の種族を作り出した。お前たちに言うがヴァンピールは1人でも多く欲しいところだ。」
理由を聞けばこうだった。破壊神、救済の女神として目覚めてある種族が絶えたという。それはヴァンパイアを狩り取るハンターという者たちだった。しかしハンターよりも更に強力な種族が現れた。それこそ
俺たち神殺しだった。嘗ての掃除係というハンターを淘汰する者たちでは力は及ばず、多くの戦力は無くなった。そこで考えた末に水無月紫雲と緋雨は襲撃してきた神殺しをヴァンピールにしたらしい。強力な戦力になりはしたがヴァンピール故の欠点もあった。
「確かに神殺しから作られたヴァンピールは1人で神殺し数百人、中には数千人は殲滅できるが。暴走を食い止めるためには体液を吸収させる、もしくは吸収する。己の得たい快楽を貪らなければならない。」
「は……?」
「どういう……。」
「ヴァンピールはヴァンパイアよりも獣に近い種族だ。」
本能、快楽に弱く。快楽を得られなくなれば暴走するという。個体によってどの快楽に弱いのかはヴァンピールにする水無月紫雲たちさえ分からないらしい。ただ平均的に肉欲に弱い者が多いらしい。もちろん吸血欲求、破壊欲求、殺戮によって快楽を得られる者もいるが何時も戦わせる訳にはいかないと説明された。
「それにヴァンピールになる際に必ず生きてなれるかという訳ではない。生きてヴァンピールになるには最後まで生きる事に執着した者だけが生き延びる。そこで緋雨の言った選択をここで言おう。お前たちは死ぬ可能性があっても不死の者になるか。それとも掃除係として命尽きるまでそのまま生きるか。」
ここまで聞いて俺たちは今のままでいたら長くは生きられない。ヴァンピールという不死の者になるにしても生死を別けるのは生への執着だけ。
「時間は与える。それまで考えてみる事だな。」
「1つ、聞きたい。お前の言った不死の者になっても痛みはあるのか?」
「…………。あるな。」
「ヴァンピールは不老不死。老いたとしても精々数年。死なないだけで痛みを感じない身体ではないのです。ただ殺戮などで興奮状態になればその時だけは痛みは感じないようですが。夢想から覚めたら苦痛が襲うのです。もう一度申し上げます。あなた方には選ぶ余地も時間もあります。どちらを選択しても、私たちはこの緋夢城2代目当主として。あなた方を歓迎いたしますよ。お疲れでしょう。あなた方に部屋を用意しておりますので。ご案内なさい。」
「かしこまりました。」
「それでは案内いたします。」
「…………。行くか。」
「ああ。」
あの時何故。何も告げずに星を離れるように言われたのか分かる。もし言葉の通りに星を離れ、別の宇宙の地球に移り住んでいれば。
裏切り者として俺たちは戦う事は無かった。それに。俺たちはあの時死ぬ運命だったのにその運命をねじ曲げて生き残った。だから生きる為には半吸血鬼という種族にならなければならないのだろうな。
「ふう……。」
「色々あったな……。」
「ああ。…………。」
俺たちは、俺はどうしたい。城と言ったな。なら何もしないで過ごす訳にもいかないから掃除係という排除の役目を与えたんだろう。
『とにかく、しばらく考えるか。』
今日は色々ありすぎて疲れた。こんなに疲れたのは、あっただろうか。
部屋にあった寝具の使い方が分からず聞いてから寝た。
寝つきが浅く、休息出来ないでいたら爆発音が聞こえてきた。
「…………。なんだ。」
「起きたか。どうやら襲撃されているようだ。」
「っ。観察するぞ。」
多くの爆発音、そして悲鳴。どちらが優勢なんだとヴァイスと戦況を観察したら。
「な……!」
「嘘だろ……。」
死体だけでどれ程ある。ざっと数千はある。対して戦ってる神殺しのような奴は
たったの二人。まだ戦っている神殺しも呆気なく駆逐されていく。
「あれがヴァンピールか……。」
「そのようだな……。」
かろうじて生きている奴は何が目的なのか分からないが城の中に連れていかれた。
「ふん、つまらないな。」
「もう終わりか。」
つまらなそうな顔で武器を消した奴らに確信した。アイツらは元は神殺しだと。そう思ったら俺たちは部屋を出ると二人に声をかけた。
「おい!」
「ん?見たことないな。新顔か?」
「話させてほしい。」
「なんだ。」
さっきまでの雰囲気はどこにいった。そう思いつつ俺たちは第6宇宙の地球の生き残りと名乗る。すると
「お前たちもなのか。」
「え。」
「お前たちも、って。まさか。」
「ああ、俺たちは第4宇宙の地球の神殺しの生き残りだ。俺たちとあと1人いる。それで話ってなんだ。」
「あ、すまない。お前たちは、ヴァンピールなのか?」
その問いかけをしたらさっきまで成りを潜めた冷たい雰囲気を隠すことなく
「そうだと言ったら?」
「それで?それを聞いてどうする?」
「何故なったんだ。不死の身体になってまでどうして。」
するとまたもあの雰囲気を隠すと二人は。そんな事も分からないのかと言われた。
「生きたいと願ったからだ。死ぬかもしれないけどな。」
「生きようと執着すればいいんだからな。それに折角生き残ったのに死ぬのはイヤだろ。」
生きたいから。至極真っ当で純粋な欲求で理由だった。たとえ死ねなくなっても、それでも生きる事を選んだ。
「まあ時間は与えられてるんだ。悩め悩め。」
「その時になれば案外生きたいと思うものだろうだしな。」
その時になれば。その言葉の意味が分かるのはそうかからなかった。翌日から俺たちは掃除係として戦う事になった。しかし損傷は激しくメンテナンスも治療も劣りすぎていた。神殺しを治す事は出来ても完治ではなく何日か生きられる程度までの技術はあった。
完治が出来ず、数日かけて治される。
「早く決めないと辛いわよ。虫の息でヴァンピールになるのって死にたいって思うくらい苦しいみたいだから。」
「分かってる。」
「それでも俺たちはまだ不死の身体にはなりたくは無い。」
そう答えたら俺たちは研究室を出た。
「あの子たちもだったわね。自分たちが虫の息になってやっと選んだもの。生きたいからって。」
早く選べば良かったのは誰より分かってる。俺たちの答えは決まってた。折角生き残ったなら俺たちは死ななくなっても生きるって。けれど俺たちはまだ人を止めたくは無かった。
その結果。
「…………。」
「ヴァイス!!ぐ、ぅ……っ!ゴホッ、ゲホッ!」
「叫ぶな。内臓が潰れるぞ。こいつはまだ生きてるな。」
「は、は……。よ、良かっ、た……。」
足を潰され避けられなかった俺を庇ったヴァイスは全身を切り裂かれ、あらゆる筋も切断され致命傷に。このままだと確実に死ぬまでにやられてしまった。俺は治療のため運ばれた後にヴァイスの所に。
「生きてるか。」
「…………。げほっ……。」
無理に言おうとしてるのを静止させると紫雲はヴァイスに
「何も言わなくていい。生きたいか。それともこのまま死ぬか。どちらを選ぶ。口を動かすだけでいい。」
「…………。ーーーー。」
「…………。そうか。」
何があっても生きる事を諦めるな。生きる事に執着しろ。それだけ伝えると自分の指先を噛むと血を一滴落とした。
「…………。カルディア……。」
俺は先に不死になるが。俺は後悔はしてない。
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「………………。」
何故お前たち神殺しはみな。死ぬ間際でヴァンピールになることを選ぶ。死ぬ間際での儀式ほど一番苦痛になる。何の苦痛も感じないままでヴァンピールになれる方法は選択の余地があると言われたあの時だけだ。
「…………。目覚めたか。」
「…………。ああ。カルディアは?」
「案じなくとも治療を受けている。」
「そうか。早くカルディアと二人になりたい。どんな声で啼いてくれるんだろな。」
「……ほどほどにしておくように。」
お前とでは体力が保たないからな。と紫雲が言うものの。お前の言うことなど聞かないとばかりに
「考えておく。」
「……やれやれ。」
あのカルディアという男も、またとんでもない奴に気に入られたものだ。ヴァンピールに気に入られたら大変だからな。
「……。目覚めたか。」
誰かの声が聞こえる。…………。ん?まて。
まだ俺は生きてると分かった瞬間飛び起きると、隣には眠ってるヴァイスがいて俺たちは見たことも無い場所にいた。そもそも、俺は本当に生きているのか?そう思い確認したら
「…………。まさか……。」
嘘だろう?間違いなく俺は生命起動中の状態だった。つまり人で言うなら生きている状態だったんだ。だがだとしたら何故。
「何故、俺は……。」
そうだ。俺もヴァイスも間違いなく死ぬしかなかった。俺たちの生存の可能性は0%なのも覆しようが無かった。
「あなた方が生きたいと願ったからですよ。」
「!お前は。」
この波動は。間違いない。救済の女神である水無月緋雨だ。まさか。
「俺たちを、助けたのは……。」
「私です。あなた方はあの時に生きたいと願った。だから私はあなた方を救えたのですよ。」
「なら、何故皆を……!!」
俺たちは救えて、何故皆は救えなかったと訴える。すると
「神はあなたが思うほど万能ではない。今回の星の破壊によって救える方の条件は先ず生きたいと願った者。次に私たち神はいると信じる者。最後の条件は1人でも多く助けようと脱出をしなかった方です。あなた方以外にいましたか?助けようとした方は。命が尽きる時にあなた方は必ず他人を犠牲にさせても生きようとするか。もしくは自分が死んでも他人を生きさせようとするか。前者ならばどのみちこの世界に来たところで長くは生きられません。僅かに延命するだけです。ですがあなた方は違います。あなた方には選択の余地があります。」
「選択……?どういう……。」
確かに皆。自分が生き残ろうと脱出していた。自分以外の誰かを助ける奴はいなかった。ならどのみち皆は長くは生きられなかった?それに選択って、一体なんの。
「…………………………。!ヴァイス!」
「う、うう……。こ、此処は。」
「俺たち、助かったんだ。」
間違いなく、ヴァイスも生きてる。良かった。何を選ぶ余地があると言うが何の事だと考える。
「俺たちは何故生かされた。」
「私は生かした訳ではありません。命が尽きる時に善行を行ったあなた方の願いを聞き入れただけに過ぎません。それだけです。」
「だが、ただこのままでいられる訳でも無い。」
「「っ!!」」
あの波動は。間違いない。
「破壊神……。」
「そう脅えるな。緋雨がお前に言っただろう。選択の余地がある、とな。」
永遠の命を持ってでもヴァンピールとして生きるか、このまま命尽きるまで掃除係として生きるか。
「ヴァン、ピール……?」
「なんだそれは……。」
「半吸血鬼の種族だ。嘗てヴァンパイアたちは戦いの為に生きた人間に己の血を入れてヴァンピールという半吸血鬼の種族を作り出した。お前たちに言うがヴァンピールは1人でも多く欲しいところだ。」
理由を聞けばこうだった。破壊神、救済の女神として目覚めてある種族が絶えたという。それはヴァンパイアを狩り取るハンターという者たちだった。しかしハンターよりも更に強力な種族が現れた。それこそ
俺たち神殺しだった。嘗ての掃除係というハンターを淘汰する者たちでは力は及ばず、多くの戦力は無くなった。そこで考えた末に水無月紫雲と緋雨は襲撃してきた神殺しをヴァンピールにしたらしい。強力な戦力になりはしたがヴァンピール故の欠点もあった。
「確かに神殺しから作られたヴァンピールは1人で神殺し数百人、中には数千人は殲滅できるが。暴走を食い止めるためには体液を吸収させる、もしくは吸収する。己の得たい快楽を貪らなければならない。」
「は……?」
「どういう……。」
「ヴァンピールはヴァンパイアよりも獣に近い種族だ。」
本能、快楽に弱く。快楽を得られなくなれば暴走するという。個体によってどの快楽に弱いのかはヴァンピールにする水無月紫雲たちさえ分からないらしい。ただ平均的に肉欲に弱い者が多いらしい。もちろん吸血欲求、破壊欲求、殺戮によって快楽を得られる者もいるが何時も戦わせる訳にはいかないと説明された。
「それにヴァンピールになる際に必ず生きてなれるかという訳ではない。生きてヴァンピールになるには最後まで生きる事に執着した者だけが生き延びる。そこで緋雨の言った選択をここで言おう。お前たちは死ぬ可能性があっても不死の者になるか。それとも掃除係として命尽きるまでそのまま生きるか。」
ここまで聞いて俺たちは今のままでいたら長くは生きられない。ヴァンピールという不死の者になるにしても生死を別けるのは生への執着だけ。
「時間は与える。それまで考えてみる事だな。」
「1つ、聞きたい。お前の言った不死の者になっても痛みはあるのか?」
「…………。あるな。」
「ヴァンピールは不老不死。老いたとしても精々数年。死なないだけで痛みを感じない身体ではないのです。ただ殺戮などで興奮状態になればその時だけは痛みは感じないようですが。夢想から覚めたら苦痛が襲うのです。もう一度申し上げます。あなた方には選ぶ余地も時間もあります。どちらを選択しても、私たちはこの緋夢城2代目当主として。あなた方を歓迎いたしますよ。お疲れでしょう。あなた方に部屋を用意しておりますので。ご案内なさい。」
「かしこまりました。」
「それでは案内いたします。」
「…………。行くか。」
「ああ。」
あの時何故。何も告げずに星を離れるように言われたのか分かる。もし言葉の通りに星を離れ、別の宇宙の地球に移り住んでいれば。
裏切り者として俺たちは戦う事は無かった。それに。俺たちはあの時死ぬ運命だったのにその運命をねじ曲げて生き残った。だから生きる為には半吸血鬼という種族にならなければならないのだろうな。
「ふう……。」
「色々あったな……。」
「ああ。…………。」
俺たちは、俺はどうしたい。城と言ったな。なら何もしないで過ごす訳にもいかないから掃除係という排除の役目を与えたんだろう。
『とにかく、しばらく考えるか。』
今日は色々ありすぎて疲れた。こんなに疲れたのは、あっただろうか。
部屋にあった寝具の使い方が分からず聞いてから寝た。
寝つきが浅く、休息出来ないでいたら爆発音が聞こえてきた。
「…………。なんだ。」
「起きたか。どうやら襲撃されているようだ。」
「っ。観察するぞ。」
多くの爆発音、そして悲鳴。どちらが優勢なんだとヴァイスと戦況を観察したら。
「な……!」
「嘘だろ……。」
死体だけでどれ程ある。ざっと数千はある。対して戦ってる神殺しのような奴は
たったの二人。まだ戦っている神殺しも呆気なく駆逐されていく。
「あれがヴァンピールか……。」
「そのようだな……。」
かろうじて生きている奴は何が目的なのか分からないが城の中に連れていかれた。
「ふん、つまらないな。」
「もう終わりか。」
つまらなそうな顔で武器を消した奴らに確信した。アイツらは元は神殺しだと。そう思ったら俺たちは部屋を出ると二人に声をかけた。
「おい!」
「ん?見たことないな。新顔か?」
「話させてほしい。」
「なんだ。」
さっきまでの雰囲気はどこにいった。そう思いつつ俺たちは第6宇宙の地球の生き残りと名乗る。すると
「お前たちもなのか。」
「え。」
「お前たちも、って。まさか。」
「ああ、俺たちは第4宇宙の地球の神殺しの生き残りだ。俺たちとあと1人いる。それで話ってなんだ。」
「あ、すまない。お前たちは、ヴァンピールなのか?」
その問いかけをしたらさっきまで成りを潜めた冷たい雰囲気を隠すことなく
「そうだと言ったら?」
「それで?それを聞いてどうする?」
「何故なったんだ。不死の身体になってまでどうして。」
するとまたもあの雰囲気を隠すと二人は。そんな事も分からないのかと言われた。
「生きたいと願ったからだ。死ぬかもしれないけどな。」
「生きようと執着すればいいんだからな。それに折角生き残ったのに死ぬのはイヤだろ。」
生きたいから。至極真っ当で純粋な欲求で理由だった。たとえ死ねなくなっても、それでも生きる事を選んだ。
「まあ時間は与えられてるんだ。悩め悩め。」
「その時になれば案外生きたいと思うものだろうだしな。」
その時になれば。その言葉の意味が分かるのはそうかからなかった。翌日から俺たちは掃除係として戦う事になった。しかし損傷は激しくメンテナンスも治療も劣りすぎていた。神殺しを治す事は出来ても完治ではなく何日か生きられる程度までの技術はあった。
完治が出来ず、数日かけて治される。
「早く決めないと辛いわよ。虫の息でヴァンピールになるのって死にたいって思うくらい苦しいみたいだから。」
「分かってる。」
「それでも俺たちはまだ不死の身体にはなりたくは無い。」
そう答えたら俺たちは研究室を出た。
「あの子たちもだったわね。自分たちが虫の息になってやっと選んだもの。生きたいからって。」
早く選べば良かったのは誰より分かってる。俺たちの答えは決まってた。折角生き残ったなら俺たちは死ななくなっても生きるって。けれど俺たちはまだ人を止めたくは無かった。
その結果。
「…………。」
「ヴァイス!!ぐ、ぅ……っ!ゴホッ、ゲホッ!」
「叫ぶな。内臓が潰れるぞ。こいつはまだ生きてるな。」
「は、は……。よ、良かっ、た……。」
足を潰され避けられなかった俺を庇ったヴァイスは全身を切り裂かれ、あらゆる筋も切断され致命傷に。このままだと確実に死ぬまでにやられてしまった。俺は治療のため運ばれた後にヴァイスの所に。
「生きてるか。」
「…………。げほっ……。」
無理に言おうとしてるのを静止させると紫雲はヴァイスに
「何も言わなくていい。生きたいか。それともこのまま死ぬか。どちらを選ぶ。口を動かすだけでいい。」
「…………。ーーーー。」
「…………。そうか。」
何があっても生きる事を諦めるな。生きる事に執着しろ。それだけ伝えると自分の指先を噛むと血を一滴落とした。
「…………。カルディア……。」
俺は先に不死になるが。俺は後悔はしてない。
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「………………。」
何故お前たち神殺しはみな。死ぬ間際でヴァンピールになることを選ぶ。死ぬ間際での儀式ほど一番苦痛になる。何の苦痛も感じないままでヴァンピールになれる方法は選択の余地があると言われたあの時だけだ。
「…………。目覚めたか。」
「…………。ああ。カルディアは?」
「案じなくとも治療を受けている。」
「そうか。早くカルディアと二人になりたい。どんな声で啼いてくれるんだろな。」
「……ほどほどにしておくように。」
お前とでは体力が保たないからな。と紫雲が言うものの。お前の言うことなど聞かないとばかりに
「考えておく。」
「……やれやれ。」
あのカルディアという男も、またとんでもない奴に気に入られたものだ。ヴァンピールに気に入られたら大変だからな。
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