1 / 13
我が子として育てた子供から溺愛される魔女は惚れさせてみせろと課題を出した 1
しおりを挟む「姫様。今日はどうされますか?あの、できればお庭をお散歩されませんか?」
多分、シーラさんはアイリス付きのメイドさんなんだと思う。
だから、アイリスが移動すれば付いてくるし、部屋にいる時は外で控えているんだろう。
しかし、どうして庭を散歩?
もしかして王妃様とかが一緒しようとか?
「どうして、お庭?」
コテンと首を傾げて尋ねる。
アイリスは笑顔にさえなれば、というか表情筋が働いていれば、美少女だと思う。
薄紫色の髪もピンク色の瞳も、アニメの美少女の容姿そのものだから。
だから、その美少女が可愛く振る舞えば、大体の大人はメロッとなるのは当たり前だ。
しかも、王宮に来てから、笑顔も発言もなかったアイリスなのだから。
案の定、シーラさんは、顔を真っ赤にして「天使」とか呟いている。
いや、まぁ、中身があざとくてゴメンね?
そして、やっぱりお庭散歩は王妃様のお誘いだった。
「わかった。行く」
これは良い機会である。
こっちから接触しなくても、向こうから歩み寄ってくるんだから。
ちょっとあざとさ五割増しで、アイリスのマナー教育のこととか、頼んでみよう。
私は、内面のラッキーと思ってる気持ちを、能面な顔面に隠して・・・なんでこうも表情筋働かないかな、庭に行くことにした。
王宮の庭は、中庭、裏庭とあって、どうやらお散歩に誘われたのは、王族しか入れない裏庭らしかった。
入口でソワソワと、アイリスが来るかどうか不安げだった王妃様は、シーラさんに連れられたアイリスを見て、それはそれは嬉しそうに笑った。
「アイリス。来てくれたのね。ありがとう」
そんなに喜んでくれるんだ。
アイリス、どれだけ家族を避けてたのよ。
気持ちはわからなくもないけどさぁ。
もうちょっとお互いが話し合って歩み寄ったら、もっと違う『現在』だったんじゃないのかな。
「お誘い、ありがとうございます・・・・・・お母様」
「!!」
その、見開かれた瞳から、ポロポロと涙がこぼれる。
私はアイリスじゃないから、家族に対して何の不満もわだかまりもない。
それに、私はアイリスからこの体を託されたんだから、これからアイリスを幸せにする義務がある。
やっぱり、家族との和解ははじめの一歩よね。
感極まった王妃様・・・お母様は、私の体をぎゅっと抱きしめた。
「アイリス。アイリス・・・ごめんなさいね。幼いあなたに辛い思いをたくさんさせたわ。それなのに、お母様と呼んでくれて、ありがとう」
「・・・お散歩」
「ええ!ええそうね。私の育てた薔薇を見て欲しいわ。こっちよ」
まぁ、今まで話さなかったアイリスなわけだし、いきなりバンバン話すのもね。
喉も痛いし。
あとは、この表情筋がもう少し働いたら、可愛いと思うんだけどなぁ。
多分、シーラさんはアイリス付きのメイドさんなんだと思う。
だから、アイリスが移動すれば付いてくるし、部屋にいる時は外で控えているんだろう。
しかし、どうして庭を散歩?
もしかして王妃様とかが一緒しようとか?
「どうして、お庭?」
コテンと首を傾げて尋ねる。
アイリスは笑顔にさえなれば、というか表情筋が働いていれば、美少女だと思う。
薄紫色の髪もピンク色の瞳も、アニメの美少女の容姿そのものだから。
だから、その美少女が可愛く振る舞えば、大体の大人はメロッとなるのは当たり前だ。
しかも、王宮に来てから、笑顔も発言もなかったアイリスなのだから。
案の定、シーラさんは、顔を真っ赤にして「天使」とか呟いている。
いや、まぁ、中身があざとくてゴメンね?
そして、やっぱりお庭散歩は王妃様のお誘いだった。
「わかった。行く」
これは良い機会である。
こっちから接触しなくても、向こうから歩み寄ってくるんだから。
ちょっとあざとさ五割増しで、アイリスのマナー教育のこととか、頼んでみよう。
私は、内面のラッキーと思ってる気持ちを、能面な顔面に隠して・・・なんでこうも表情筋働かないかな、庭に行くことにした。
王宮の庭は、中庭、裏庭とあって、どうやらお散歩に誘われたのは、王族しか入れない裏庭らしかった。
入口でソワソワと、アイリスが来るかどうか不安げだった王妃様は、シーラさんに連れられたアイリスを見て、それはそれは嬉しそうに笑った。
「アイリス。来てくれたのね。ありがとう」
そんなに喜んでくれるんだ。
アイリス、どれだけ家族を避けてたのよ。
気持ちはわからなくもないけどさぁ。
もうちょっとお互いが話し合って歩み寄ったら、もっと違う『現在』だったんじゃないのかな。
「お誘い、ありがとうございます・・・・・・お母様」
「!!」
その、見開かれた瞳から、ポロポロと涙がこぼれる。
私はアイリスじゃないから、家族に対して何の不満もわだかまりもない。
それに、私はアイリスからこの体を託されたんだから、これからアイリスを幸せにする義務がある。
やっぱり、家族との和解ははじめの一歩よね。
感極まった王妃様・・・お母様は、私の体をぎゅっと抱きしめた。
「アイリス。アイリス・・・ごめんなさいね。幼いあなたに辛い思いをたくさんさせたわ。それなのに、お母様と呼んでくれて、ありがとう」
「・・・お散歩」
「ええ!ええそうね。私の育てた薔薇を見て欲しいわ。こっちよ」
まぁ、今まで話さなかったアイリスなわけだし、いきなりバンバン話すのもね。
喉も痛いし。
あとは、この表情筋がもう少し働いたら、可愛いと思うんだけどなぁ。
6
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
子ども扱いしないでください! 幼女化しちゃった完璧淑女は、騎士団長に甘やかされる
佐崎咲
恋愛
旧題:完璧すぎる君は一人でも生きていけると婚約破棄されたけど、騎士団長が即日プロポーズに来た上に甘やかしてきます
「君は完璧だ。一人でも生きていける。でも、彼女には私が必要なんだ」
なんだか聞いたことのある台詞だけれど、まさか現実で、しかも貴族社会に生きる人間からそれを聞くことになるとは思ってもいなかった。
彼の言う通り、私ロゼ=リンゼンハイムは『完璧な淑女』などと称されているけれど、それは努力のたまものであって、本質ではない。
私は幼い時に我儘な姉に追い出され、開き直って自然溢れる領地でそれはもうのびのびと、野を駆け山を駆け回っていたのだから。
それが、今度は跡継ぎ教育に嫌気がさした姉が自称病弱設定を作り出し、代わりに私がこの家を継ぐことになったから、王都に移って血反吐を吐くような努力を重ねたのだ。
そして今度は腐れ縁ともいうべき幼馴染みの友人に婚約者を横取りされたわけだけれど、それはまあ別にどうぞ差し上げますよというところなのだが。
ただ。
婚約破棄を告げられたばかりの私をその日訪ねた人が、もう一人いた。
切れ長の紺色の瞳に、長い金髪を一つに束ね、男女問わず目をひく美しい彼は、『微笑みの貴公子』と呼ばれる第二騎士団長のユアン=クラディス様。
彼はいつもとは違う、改まった口調で言った。
「どうか、私と結婚してください」
「お返事は急ぎません。先程リンゼンハイム伯爵には手紙を出させていただきました。許可が得られましたらまた改めさせていただきますが、まずはロゼ嬢に私の気持ちを知っておいていただきたかったのです」
私の戸惑いたるや、婚約破棄を告げられた時の比ではなかった。
彼のことはよく知っている。
彼もまた、私のことをよく知っている。
でも彼は『それ』が私だとは知らない。
まったくの別人に見えているはずなのだから。
なのに、何故私にプロポーズを?
しかもやたらと甘やかそうとしてくるんですけど。
どういうこと?
============
「番外編 相変わらずな日常」
いつも攻め込まれてばかりのロゼが居眠り中のユアンを見つけ、この機会に……という話です。
※転載・複写はお断りいたします。
大好きだけど、結婚はできません!〜強面彼氏に強引に溺愛されて、困っています〜
楠結衣
恋愛
冷たい川に落ちてしまったリス獣人のミーナは、薄れゆく意識の中、水中を飛ぶような速さで泳いできた一人の青年に助け出される。
ミーナを助けてくれた鍛冶屋のリュークは、鋭く睨むワイルドな人で。思わず身をすくませたけど、見た目と違って優しいリュークに次第に心惹かれていく。
さらに結婚を前提の告白をされてしまうのだけど、リュークの夢は故郷で鍛冶屋をひらくことだと告げられて。
(リュークのことは好きだけど、彼が住むのは北にある氷の国。寒すぎると冬眠してしまう私には無理!)
と断ったのに、なぜか諦めないリュークと期限付きでお試しの恋人に?!
「泊まっていい?」
「今日、泊まってけ」
「俺の故郷で結婚してほしい!」
あまく溺愛してくるリュークに、ミーナの好きの気持ちは加速していく。
やっぱり、氷の国に一緒に行きたい!寒さに慣れると決意したミーナはある行動に出る……。
ミーナの一途な想いの行方は?二人の恋の結末は?!
健気でかわいいリス獣人と、見た目が怖いのに甘々なペンギン獣人の恋物語。
一途で溺愛なハッピーエンドストーリーです。
*小説家になろう様でも掲載しています
ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません
下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。
旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。
ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも?
小説家になろう様でも投稿しています。
無慈悲な悪魔の騎士団長に迫られて困ってます!〜下っ端騎士団員(男爵令嬢)クビの危機!〜
楠ノ木雫
恋愛
朝目が覚めたら、自分の隣に知らない男が寝ていた。
テレシアは、男爵令嬢でありつつも騎士団員の道を選び日々精進していた。ある日先輩方と城下町でお酒を飲みべろんべろんになって帰ってきた次の日、ベッドに一糸まとわぬ姿の自分と知らない男性が横たわっていた。朝の鍛錬の時間が迫っていたため眠っていた男性を放置して鍛錬場に向かったのだが、ちらりと見えた男性の服の一枚。それ、もしかして超エリート騎士団である近衛騎士団の制服……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
洗浄魔法はほどほどに。
歪有 絵緖
恋愛
虎の獣人に転生したヴィーラは、魔法のある世界で狩人をしている。前世の記憶から、臭いに敏感なヴィーラは、常に洗浄魔法で清潔にして臭いも消しながら生活していた。ある日、狩猟者で飲み友達かつ片思い相手のセオと飲みに行くと、セオの友人が番を得たと言う。その話を聞きながら飲み、いつもの洗浄魔法を忘れてトイレから戻ると、セオの態度が一変する。
転生者がめずらしくはない、魔法のある獣人世界に転生した女性が、片思いから両想いになってその勢いのまま結ばれる話。
主人公が狩人なので、残酷描写は念のため。
ムーンライトノベルズからの転載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる