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我が子として育てた子供から溺愛される魔女は惚れさせてみせろと課題を出した 1

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「姫様。今日はどうされますか?あの、できればお庭をお散歩されませんか?」

 多分、シーラさんはアイリス付きのメイドさんなんだと思う。
 だから、アイリスが移動すれば付いてくるし、部屋にいる時は外で控えているんだろう。

 しかし、どうして庭を散歩?
もしかして王妃様とかが一緒しようとか?

「どうして、お庭?」

 コテンと首を傾げて尋ねる。
アイリスは笑顔にさえなれば、というか表情筋が働いていれば、美少女だと思う。
 薄紫色の髪もピンク色の瞳も、アニメの美少女の容姿そのものだから。

 だから、その美少女が可愛く振る舞えば、大体の大人はメロッとなるのは当たり前だ。

 しかも、王宮に来てから、笑顔も発言もなかったアイリスなのだから。

 案の定、シーラさんは、顔を真っ赤にして「天使」とか呟いている。
 いや、まぁ、中身があざとくてゴメンね?

 そして、やっぱりお庭散歩は王妃様のお誘いだった。

「わかった。行く」

 これは良い機会である。
こっちから接触しなくても、向こうから歩み寄ってくるんだから。

 ちょっとあざとさ五割増しで、アイリスのマナー教育のこととか、頼んでみよう。

 私は、内面のラッキーと思ってる気持ちを、能面な顔面に隠して・・・なんでこうも表情筋働かないかな、庭に行くことにした。

 王宮の庭は、中庭、裏庭とあって、どうやらお散歩に誘われたのは、王族しか入れない裏庭らしかった。

 入口でソワソワと、アイリスが来るかどうか不安げだった王妃様は、シーラさんに連れられたアイリスを見て、それはそれは嬉しそうに笑った。

「アイリス。来てくれたのね。ありがとう」

 そんなに喜んでくれるんだ。
アイリス、どれだけ家族を避けてたのよ。

 気持ちはわからなくもないけどさぁ。
もうちょっとお互いが話し合って歩み寄ったら、もっと違う『現在』だったんじゃないのかな。

「お誘い、ありがとうございます・・・・・・お母様」

「!!」

 その、見開かれた瞳から、ポロポロと涙がこぼれる。

 私はアイリスじゃないから、家族に対して何の不満もわだかまりもない。

 それに、私はアイリスからこの体を託されたんだから、これからアイリスを幸せにする義務がある。

 やっぱり、家族との和解ははじめの一歩よね。

 感極まった王妃様・・・お母様は、私の体をぎゅっと抱きしめた。

「アイリス。アイリス・・・ごめんなさいね。幼いあなたに辛い思いをたくさんさせたわ。それなのに、お母様と呼んでくれて、ありがとう」

「・・・お散歩」

「ええ!ええそうね。私の育てた薔薇を見て欲しいわ。こっちよ」

 まぁ、今まで話さなかったアイリスなわけだし、いきなりバンバン話すのもね。
 喉も痛いし。
あとは、この表情筋がもう少し働いたら、可愛いと思うんだけどなぁ。
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