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第四章 緑石の力に潜む意思

緑石は家族の一員③

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 3人の目に、フォリーの手のひらの上の石が淡く光を出し、消えたのが映った。同時に、雫型の石からキンっと小さな音も聞こえ、フォリーはそちらの方に視線を向けた。

 「お前、何をしたんだ?」

 ルーカスが声をかける。

 「心の中で話しかけたの。全く答えてくれなかったけど、最後に出した話題に反応したの。でも、そっちの雫も反応したのね。」

 「話題?」

 再度のルーカスの質問には答えず、フォリーは石をテーブルに置いた。そしてコミヒにお願いをする。

 「コミヒ様。あの雫がファイアルのクリスタルの一部ならば、ファイアルにあったクリスタルの過去はこの雫の過去でもあるのですよね?」

 コミヒは再度雫を手に取り、力を使う。

 「そうね。間違いない。沈黙の森からファイアルの問題児・・・が転移する時に魔塔の石から一部の力がやつを追いかけ、転移先に到着と同時に包み込んだ・・・・・・・・・・ん?ちょっと待って。」

 「貴方達、魔塔の緑石は元々この状態?

  私が依頼を受けた時は光の涙事件のなの。以前沈黙の森でフォリーやセステオがどんな目にあったのか視た時、石の状態まではよくわからなかったの。」

 「「状態???」」

 兄と妹は声を揃えて、仲良く同じ方向に首を傾ける。

 「小さい時の視点と違うから何とも言えませんが、もしかすると・・・」

 フォリーの言葉にルーカスが続く。

 「大きさか!そういえば確かに今のほうが小さい気がする。」

 「と、なると、確かにこの2つは元は同じね。でも、雫は今泣きそうな感じというか、あれ?イライラしてるかも。」

 「「イライラ?何でまた」」

 コミヒとルーカスが突っ込む。

 「ちょっと、待ってて。雫ちゃん、お話・・しましょう。

 あー、そうか。」

 「何独りで自己完結してるの?」

 ルーカスが声をかける。

 「多分、だけど・・・早く連れて行けっていうことみたい。ほら、『残されていた手』のお墓。」

 コミヒが再度魔塔の緑石を持つ。

 「コミヒ様?」

 フォリーが呼ぶ。

 「今なら、視せてくれるのじゃないかしらと思って。反応があった後だもの。」

 僅かな期待を胸に、コミヒは力を使う。

 一瞬だけ映像が視えた。知らない男性が石に声をかけている。再度集中し、石からの視点ではなく、全体が視える視点を念じる。すると、もう一度映像が視えた。場面は同じだが、男性の後ろに同じように覗き込んでる人物が数名。
 視えたのはそこまでだった。

 それを聞き、フォリーが、コミヒの手の上の石に自分の手を添える。

 「フォリー?」

 何をするつもりかコミヒがフォリーを見つめる。

 「3人でファイアルのクリスタルが開放され、いえ、クルー王子の母親を想う気持ちに一番クリスタルが反応したのだとしたら・・・・・私がこのまま、もう一度石に語りかけます。お疲れとは思うのですが、同時にコミヒ様ももう一度力を使ってもらってもよろしいですか?」

 「わかったわ。」

 フォリーは再度手助けしたい気持ちと、そのためには貴方がどこから来たのか、何なのか教えてほしいと語りかける。あの人のところへ行きたいのなら尚更と。

 すると、あの人というワードにやはり反応し、弱々しい温かさが石から発せられた。

 コミヒが集中する。

 「人がみえる。何でしょう?何か車輪のついた乗り物に乗ってる?楽しそうに話しかけてくる。家族?

 待って。場面が変わったわ。数名が泣いてる。

 視点変えられるかしら?え?どういう事?

 あ、視えなくなった。」
 
 コミヒが大きなため息をつく。

 「すみません。何度か連続で力を使ってくださり、だいぶお疲れですよね?」

 ルーカスがコミヒを労る。

 「そうね。今日は一気に使いすぎたかも。ああ、でもね、視えなくなったのは恐らく私の疲れが原因ではなくて、『石がそれ以上視せてくれなかった』が正解。」

 「ありがとうございました。」

 フォリーが頭を下げる。

 「あ、あと1つ。視点変えた時に視えたのは、石じゃなかったわ。植物みたいだった。家族のように大切にされてた感じかな?」

 「「植物」」

 ルーカスとフォリーは大きく眼を開いた。
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