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第三章 植物という名の命 石という名の子供

届けられた石

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 屋敷で朝食を終え、まったりしていた西のお屋敷に届け物が『やって来た』

 「魔郵人でーす。西の王様宛てにお届けに来ましたっキュ。ファイアル国王からっキュ。」

 まん丸な姿で朝からプカプカと王の前に浮いている。

 「今回は時限付きではありませーん。」

 魔郵人は王に手渡しで封筒を渡す。

 「ではまたのご利用お待ちしてまーす。」

ふわっと魔郵人は姿を消した。

 王は開封し、中身を確認する。その様子を家族や仕える者達がみつめる。

 王の手には手紙と布に包まれた小さな物体。
 手紙を読み、王は娘の方をみる。

 「フォルガイア。この小さな荷物はお前に任せる。どうしようと咎めはしない。だが、布を広げてコレを見た時に、心が苦しくなるようであればコレは任せない。」

 フォリーは頷き、父からそれを受け取る。
 そっと布を広げて中身を確認する。
 
 それは緑の石。まるで涙の雫の形のような小さな石。そしてその形を裏切らないかのように微かに悲しんでいる感覚を手に受ける。

 「この石、ファイアルの城の地下の消えたクリスタルと繋がってる気がします。」

 フォリーがそう言うと、父が頷き、返事をする。

 「手紙によるとその地下からみつかったそうだよ。地下のトラブルの後で掃除に来た者が、隅に転がってるのを見つけたそうだ。関係はあるだろうな。さて、どうする?」

 「はい。私は苦しく感じません。むしろこの石を『弔って』あげたいと思っております。」

 「弔う・・・か。何故そう考えたのか後できちんと説明しろよ?フォリー?」

 「はい。」

 フォリーは微笑みを浮かべ、大事そうに石を布で包んだ。

 「それから父上、お願いがあります。この間発見された別世界の、あの時計。あれも私にお願いできますか?あの腕時計もこの石と関係があると思います。」

 「あの時計か。まぁ、同じような物がいくつか博物館にもあるから・・・・・研究員には話しておくよ。」

 「ありがとうございます。」

 突然、何かの気配を感じる。

 「すみません~。もう一つ忘れてたっキュ~!!!」

 慌てふためいた様子で魔郵人が姿を見せた。
王妃に近寄り、ファイアル王妃からの封筒を渡した。

 「失礼しましたッキュ。今度こそ。

 またのご利用お待ちしてまーす!」

 再び魔郵人は消えた。

 ファイアル王妃からの手紙。ルーカスは顔が引きつる。両親に、何があったかはほとんど報告はしたが、ファイアル王妃に言われたあの事は報告してない。フォリーも恐らく報告してない。フォリーをちらっと見るとフォリーもルーカスの方をちらっと見ていた。

 多分、2人とも同じ表情。
 暗黙の了解かのように、こそこそ2人してその場を退室した。


           *



 「どこに行くつもり?フォリー。」

 「魔塔の研究室に。1度魔塔のアレとコレを見比べたいの・・・なぁに?外出は極力控えることと言われてるから、外出禁止という訳でないでしょう?徒歩も乗り物もだめならば転移していくわ。」

 はーっとルーカスは息を吐く。
 
 「転移は他の術より少し力を多く使うだろが。今回はお前は力を使わなくていい。一応病み上がりなのだから。俺が一緒に転移するよ。」



           *



 魔塔。かつての魔塔は光の涙事件で崩れた。新たに建築された魔塔は旧魔塔の敷地の横にある。

 旧魔塔。セス爺が命を落とした場所でもある。
 光の涙事件では一時パニックにはなったが、誰も失明はせずに済んだ。一時的に失っただけだった。時間とともに目は元に戻り、パニックが収まった頃、セス爺の訃報が国中を駆け巡った。

 セス爺がありったけの力で魔塔に結界をはり、爆破の衝撃を抑え込もうとしたと考えられている。

 発見されたセス爺の顔は穏やかだった。
 フォリーが覚醒し、アレックスが傷を追い、そして彼らは力に関する師匠を失ってしまった。
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