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マリアンヌが切れる

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 イーサンがシルヴィアを見つけた連絡をうけ、周囲の者たちは安堵した。

 でもシルヴィアは公爵家に戻っていない。祖母の家に数日滞在することになった。

 イーサンは特にそれを止めず、城で公務をこなしている。

 休憩時間にたまに何かを思い出したかのように小さく微笑んているのを妹姫のマリアンヌは気付いていた。

 「シルヴィア姉様を見つけた時、何か嬉しいことでもあったのですか?兄様だけだなく、私達にも嬉しい進展でもありました?」

 無事に森でみつけたという報告はあっても、詳細を語らない兄に、マリアンヌはそわそわしていた。そわそわはやがて何で教えてくれないのかというイライラに変わり、ついに質問したい欲求が抑えられなくなった。

 「いや別に?
 まぁ、強いて言うならシルヴィアが敬語を使うことを完全に忘れて普通に喋った瞬間があった事が嬉しいかな?だって小さい頃は当たり前だったから。」

 「何それ。つまんない。」

 「失礼な。十分大事なことだぞ。」

 「まぁ、成長すればお互いの立場、という情報が壁を作ることがどんな仲良しさんでもありますからね。」

 「わかってるじゃない。マリアンヌ。そう、壁を一瞬でもぶち壊せたよ。
 ついでに僕がただ単に仲良しさんだからシルヴィアに固執してるのではないということにも、本当の意味で気付いてもらいたかったけどね。」

 「お兄様に確認したいのですが・・・なぜシルヴィア姉様だけを女性としてみつめているのかきちんと伝えてますか?」

 「何言ってるの、マリアンヌ。僕はシルヴィアがいいんだよ。あれだけ刺激すれば当然伝わってるでしょう。」

 「いや。そうではなくてですね・・・」



 もしかして、好きとか愛してるとか言葉にして伝えてないのか。お兄様こいつは。




 意外と、自分の恋愛事に敏感かと思えばそっちの方はある意味ポンコツの兄だと妹姫は気付く。




 頭の良いポンコツ王太子VS頭の良いポンコツ公爵令嬢・・・

 救われないな、おい。

 はっ。ダメダメ。これじゃあ私に優しいお姉様ができました計画が。

 女のきょうだい、欲しかったんだから!

 シルヴィアお姉様なら本望よ!


 「お兄様。貴方が世界一好きな女性の名前は?」

 「シルヴィア。」

 「お兄様。世界一愛してる女性は?」

 「シルヴィア。何かお前、僕に喧嘩売ってるの?好きとか愛とかでは表現しきれないくらいシルヴィアが大事。」

 「いや、だから、表現しきれないくらい以前の問題だと言ってるの!そもそも言葉に出してないんでしょう、ソレ!!!」

 「・・・・・・・・・・あれ?」

 イーサンが一瞬固まる。

それを言うのも今更な気もするけど、態度やそういった内容は話していても、その言葉は言ってないかもとイーサンは振り返る。



 そういえばシルヴィアは何で自分なのかというような疑問を口にしていた・・・・・。


 「そもそも、本当に、そこ?!」

 マリアンヌが突っ込む。


 ソウデスネ・・・・・・。
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