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脅されて壁穴にアナルを10回押し付ける事になった俺

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 ある日携帯に一本の通知が届いた。これが全ての始まりだった。
 俺はどうせウィルスメールの類いだろうと思い、けれど件名が「ホモをバラされたくなければ――」とあったので、疚しいところのあった俺は無視出来ずにそのメールを開いた。

「ッ!」
 いきなり本文に埋め込まれた俺がゲイ雑誌を食い入るように見ている画像。
 アイコラなんかじゃない、身に覚えのあるソレ。

(落ちていた雑誌を何気なく拾って、思わず見入ってしまった時だ。じゃああれも罠だったのか!?)
 俺は相手が冗談半分などではなくガチだと気付いてブルブルと身体が震える。
 本文には他にもっとヤバイ画像も持っていると書いてあった。

(もっとヤバイ画像? クソッ、脅迫しているのか!)
 俺は方々で人の恨みを買っているので、脅してくる奴等には事欠かない。
 自分がゲイだと認められない気持ち、バレたらアウトだという恐怖心、この先も隠し続けなきゃいけないという鬱屈、そして性的衝動を簡単には解消できない不満。それらが俺の中でグルグルと渦巻いて、いつだって他人に当たり散らしていた。

(自分がゲイだって事を隠す為に、他の奴をホモだって言い触らしたりもした……)
 そいつはちょっと線が細くて妙な色気もあったから、男女だとか売り専だとかおっさんとヤッてると囃し立てられて散々な目に遭っていた。
 俺は罪悪感に駆られつつも、俺も一歩間違えればああなるのだとより性癖を隠すようになった。

(他にも色々とやらかしてるからな……)
 自業自得だと諦める気持ちと、誰がこんなことをと腹立たしい気持ちを感じながら震える指で文章をスクロールした。
 そこには短く具体的な内容が書かれていた。


「ホモだって言い触らされたくなければケツの中を洗ってローションを仕込み、普段は使われていないプール専用のトイレの個室に入り、壁に空いた穴にアナルを押し付ける事」
「良いと言うまで尻を壁から離さない」
「穴からこちらを覗かない」
「こちらの言い付けを破ったらペナルティ」
「ちゃんと守れたら10回で終わらせてやる」
「ペナルティは回数が増えるだけではない」
「誰かに相談したり見つかったら直ちに画像をネットに上げる」


「クソッ!」
 俺は意図のはっきりとした明け透けで図々しい要求に苛立ちつつも言う通りにするしかない。
 メールに載っていた画像は男同士がガッツリとヤッていて、しかもどう見ても俺はそれを性的興奮を持って見ていた。あんなの言い訳のしようがない。

「10回だけだ」
 それだけ我慢すればいいんだと自分に言い聞かせる。
 相手が嘘を吐いている可能性もあるが、どっちにしても従う意外に無いのだ。
 俺は指示通りに支度を済ませ、コソコソと身を隠しながらプール専用のトイレに出向いた。

(これか……)
 鍵の壊れたフェンスをくぐり、一番奥の個室の壁に空いた穴を見てゴクリと喉を鳴らせる。
 そこには本当に直径十センチ程の穴がぽっかりと空いていた。

(ここに『ぎょう虫検査をする時のような格好で穴を押し付けること』)
 追加で来た指示を思い浮かべて苦い顔をする。
 そこそこガタイの良い俺は目付きの悪さと素行の悪さも相まって、誰かの言いなりになった事などない。
 つまりは他人の言うことを聞くのに慣れていない。

(それに、こんな俺だってハジメテには夢を見ていた)
 想像することすら烏滸がましくて具体的には出来なかったが、年上の男に優しく誘導されて処女を散らす……事をぼんやりと夢見ていた。
 ちょこっと自分の指の先を挿れてみただけのそこは全くの未使用だ。
 まさかこんな風に犯されるなんて夢にも思わなかった。
 俺は滲んできた涙をグッと堪らえ、ズボンを膝まで下ろすと俺の尻穴がよく見えるように穴に押し付けた。

(やるなら早くやれ!)
 そう思ってはいてもカタリ、と物音がした時には全身がビクリと跳ねた。
 壁の向こうに誰かがいる。そう思うとじんわりと汗が滲んでドッドッドッドッ……と心臓が早鐘を打った。

(誰だ……誰かが俺の尻の穴を見ている)
 羞恥に穴からも汗を掻いた気がした。
 実際にはナカに仕込んだローションが垂れてきてそこが湿った感触だった。
 グニ、と指が入ってきて俺の尻が壁から離れそうになる。
 このまま逃げたらペナルティだ、と思って尻をムギュッと壁に押し付けたら指がグビグビと穴に這入ってきた。

(ふ、かい……)
 ゴツゴツとした男の指が俺の尻を穿ち、解れ具合を確認するようにぐるりと回してナカを探った。

「うグッ!」
 洗浄とローションの仕込みである程度は解れていた俺のアナルは男の指に媚びるようにグニグニと形を変えた。
 それで十分だと思ったのか、いきなり生々しい剛直が這入ってきて息が止まった。

「うおっ……」
(まさか生なのか!?)
 肉の感触に俺の全身がビリビリと痺れた。
 押し付けたままの穴を肉棒がズチュズチュと生々しく犯す。

「あっ、あっ!」
 初めてケツを犯されている。ショックだけれど、何処かで悦ぶ自分もいた。
 だって俺にはあり得ないと思っていた。男とセックスをするなんて、学校を燃やすよりもずっと難しい。

 尻を穴に押し付ければ押し付けるほど奥まで突いて貰えるようで、いつの間にか自分からケツ穴を押し開くように腰を突き出していた。

(チクショウ、生のちんぽってこんなにイイのかよ……)
 いきなりイケるほど気持ちがいい訳ではないが、それでも男の剛直で擦られてると思うと興奮してもっともっとと貪欲になった。
 それにどうせ相手にも見えないのだからと開き直って大胆にもなれた。

(ケツハメ、気持ちいい……)
 俺は上半身を起こし、自分で尻肉を左右に拡げて押し出した。
 ジュプジュプ、ジュプジュプとトイレに響く水音がそこがグチャグチャになっていると伝えてきて頭がボーッと痺れた。
 擦れてケツ穴が熱い。ナカがうねる。どうやったら後ろだけでイけるんだろう?
 俺はハァハァと熱い息を吐きながら目の前で揺れるちんこに視線を落とした。

(ちんこも同時に擦ったら気持ちがいいのか?)
 尻肉を鷲掴んでいた手をちんこに回し、擦ったらガンッと壁を叩かれた。
 挿入が浅くなった事が不満だったようだ。
 俺は慌てて前屈みになり、尻穴が開くように後ろに押し付けた。

 じゅぷ。
 奥まで這入ってきたイチモツが太くて思わず締め上げた。
 ちんこが俺のケツ穴に抵抗するように膨らみ、ズムズムと突き立てられて目が霞んでくる。

(うあぁ……イッちゃいそう。頭の中が肌色のちんこでいっぱいで、穴という穴を塞がれてるみてぇ……)
 俺がもうちょっともうちょっと、と湧き上がる性感に喘いでいたらケツのナカが熱くなってズルリと陰茎を抜かれてしまった。
 終わったのか……と気落ちしつつ中出しがショックで嫌で慌てて掻き出そうとした。
 ドロドロになった後ろにこんなになっちゃって大丈夫なのかと焦り、けれど一度されちまえば残り9回も大したことは無いと蓮っ葉な気持ちになる事も出来た。
 俺は熱くて痒くて腫れてしまった粘膜を持て余し、兎に角その場を立ち去ろうとズボンを引き上げて足を動かした。
 壁の向こう側を確認するだとか調べるという頭も働かなかった。
 そして次の日も呼び出され、まだケツがジクジクするから無理だという抗議を黙殺されて穴を犯された。
 二度目は出した後も穴を指で嬲られて、前立腺を刺激されて初めてそこでイッた。
 漏れるような射精を俺は気持ちがいいと思った。


(復讐なら俺を気持ちよくしなくても良いんじゃねぇか?)
 他人を舐め腐っていた俺は三回目にしてわざと指示に逆らってみた。
 途中で自分の快楽を優先してちんぽを扱いたのだ。
 そうしたらボイスチェンジャーのようなもので声を変えた男が穴にちんぽを入れろと言った。
 呑気な俺は擦って貰えるのかと穴に性器を差し込み、根元をギュッと掴まれて悲鳴を上げた。

「おとなしくしてなきゃ捻り切るぞ」
「ッ!」
 本気の脅しに息を呑んで身を竦め、じっとしていたら陰茎の先を針で突かれたようなチクリとした痛みが走ってそのままナカに何かが入って来た。

「うぉっ、やっ、しっこのあな、こするなぁ……ひっ!」
 尿道を細くて冷たいもので犯され、ガタガタと全身を震わせていたら解放され、そのまま抜かずにケツを犯させろと言われた。

「で、でも……」
「早くしろ」
 男の声に俺は泣きながら従う。
 ちんこに深々とぶっ刺さったものは専用の道具のようで、金色の丸い玉だけが先端から見えていた。
 前の穴を堰き止められたまま後孔を犯され、俺は出口のないもどかしさに気が狂いそうになりながらも逆らう事は出来なかった。

(ちんぽもケツもジンジンする……)
 中からも外からも押されて俺の尊厳とか最後の強気みたいなものがパラパラと溶けていく。
 俺は一日アナルプラグを挿れていろなんて指示にすらおとなしく従うようになった。
 他人にケツの穴の自由を明け渡し、ちんこにもリングを嵌められて管理されている。
 乳首も自分で弄って大きくするように要求があり、次のペナルティではピアスを付けさせると言われた。

(ペナルティ……一個じゃ足りねぇかも)
 そんな事を思いながら俺は7回目のケツハメを済ませ、薬を塗り込んでいたらそれは何だと訊かれた。

(終わってから声を掛けられたのは初めてだな)
 ビクつきつつも声だけは淡々と軟膏だと答えた。
 アナルは切れていなくても粘膜だから、擦られると腫れて充血して瘙痒感に苛まれるのだと教えた。

「なら……これは最後がいいな」
「えっ?」
 振り返ったら穴からゴツゴツとした醜悪な物が生えていた。
 ちんこに被せて使うサックという奴だ。
 俺はゴクリと唾を呑み込んでから今でも良いと言った。

「ローションを出されたものと一緒に掻き出して軟膏を塗ったから滑りは良くねぇけど、呑み込めると思う」
「良いのか?」
「そんなもんを見せられた我慢できねぇよ」
 俺はケツを開発されて淫乱な身体になってしまった。
 もう疼く身体を一人では処理できない。

「ケツを出せ」
 俺は躊躇いなく穴に尻を押し付ける。
 尻肉が拉げて剥き出しになったアナルにゴツゴツとしたサックが当たる。

「味わえよ」
 ずぶずぶずぶっといつもよりも一回り大きくボコボコとした巨根が這入ってきて俺は歓喜に喘いだ。

「ふああんっ! おっ、あう゛っ゛!」
「すっかりメスだな」
 男の揶揄も気にならない。
 元々自分はメスになりたかったのだとすら思う。

「あ゛っ゛! ゴリゴリぃ……きもちっ、ボコボコ、擦れぅ……ぅぐっ!」
 ごりんごりんとケツの中を容赦なく抉られてイキッぱなしになる。
 ボリュッ、ゴリュッと凸凹で掻き回されて口から涎が溢れた。
 後で酷い瘙痒感に苛まれる事はわかっている。それでも強烈な快感を止められない。俺は顔も知らない男に抱かれている。

(抱かれているってのはおかしいよな)
 ふと頭の片隅で我に返る。
 穴とちんこ以外は触られてもいない。
 乳首の開発すら自分の手でさせられた。

(顔も知らないし声だって変えられている。なのに俺は自分を支配する男に思慕にも似た想いを抱いている)
 こんなのは復讐だ、あと数回で終わる、この気持すら相手の思う通りかもしれない。
 そう思っても強烈な快感と共に刻み込まれた愛着にも似た何かは消えない。

(俺ばっかり……)
 悔しくて唇を噛み締めたらサックを抜かれ、穴をひくつかせたらずぶんと奥まで入って来た。

「カハッ!」
 空気を吐き出して薄くなった腹を巨大なイチモツで突き上げられる。
 ボコボコと腹が波打っているのを見ると、激しさと愛を錯覚しそうになった。

(こんなに身を挺しているのに……好きになって貰えねぇの?)
 おかしな考えだって事は自分でもわかっていた。
 それでも顔も見えない男に愛されたいという欲求が高まる。

(ずっとお前のオナホになるから、俺を解放しないでくれよ……)
 約束の10回が過ぎてもこうして犯して欲しい。
 穴だけでいいから愛して欲しい。
 できれば孕むまで白濁を注いで欲しいとすら思う。

「中出し……してくれよ」
 ブルブルと膝を震わせながら懇願したら、サックを取った生の陰茎が入って来て俺の肉襞と馴染んだ。
 あんな物の後だからツルンと柔らかく感じたが、粘膜が張り付いて擦れるのが漏らしそうに気持ちいい。
 ってか本当にチョロチョロと漏れてる。
 勃起した性器からは尿を出せないと聞いていたが、腹に付くくらい反り返った俺の分身の先からチョロチョロと水っぽいものが漏れている。

(きっとコイツは俺がハメられながら漏らしてるなんて知らないな)
 そう思ったら笑えてきた。

「権堂? 何を笑ってる?」
「ッ!」
 初めて名前を呼ばれた。
 そりゃあメアドを知ってんだし脅迫している相手の名前を知らない筈はねぇけど、初めて呼ばれたんだよ。

「な、まえ……呼んでくれたら、アナルオナニーだってなんだってしてみせる。だからもう一度呼んでくれよ」
「……権堂。権堂孤一狼こいちろう
「くぅぅっ!」
 俺は喉の奥で呻いて後ろだけで達した。
 孤独な一匹の狼、というふざけたこの名前が大嫌いだった。
 けれど今は泣くほどに嬉しい。

「あんたのっ、なまえ……知りたいっ!」
 突っ込まれたまま、俺だけイッても容赦なく犯され続けてそう叫んだら、まさかの返答があった。

「……いずみ。和泉いずみ開成かいせい
「ッ!」
 頭が良さそうなその名前は、俺がホモだと言い触らした相手だった。

「やっぱり、復讐……」
 それはそうだ。俺はただ顔が綺麗だってだけで、自分とは違って細くて男に抱かれてもおかしくなさそうってだけで勝手に陥れた。
 復讐をされて当然だった。
 痛む胸を掻き毟りながら奥に種付けをされ、終わっても俺は動けないまま穴に身体を押し付けていた。
 恨み言でも言われるかと身構えていたが、和泉は何も言わずにその場から立ち去った。

(そうだよな、謝る機会なんてくれる筈がない)
 俺はその場にズルズルと座り込み、頭を抱えて嗚咽を堪らえた。
 泣く資格なんて無い。それでも悲しくて涙が溢れる。

 正体を明かしたんだから写真でもバラまかれるかな、と思っていたが何事も無かったかのように8回目の呼び出しがあった。
 俺はいつも通りに準備をしてプール専用のトイレに向かった。

「ちゃんと復讐をしなくていいのか? こんな慣れた穴なんか犯したって面白くもないだろう?」
「いいから、絶対に動くなよ」
 肉声でそう言われ、初めて聞いた奴自身の声に胸がざわめく。
 俺と違って声まで綺麗で羨ましい。
 そう思って俺は奴が羨ましかったんだと気付く。

(そうか、俺はこの男になりたかったのか……)
「ひぃっ!」
 ぬるりとした感触に思わず声が出た。

「動くな」
 冷徹な声にブルブルと震えながら尻を固定する。
 ぴちょりという可愛らしい音が立ち、俺の尻穴が和泉の舌で舐られる。

「うあっ、あっ……」
 ぐにゅう……と差し込まれた舌が軟体動物のように動いて腰がひとりでに揺れた。
 グニグニとナカを舐められて襞を刮げるように舌先で抉られ、みっともない声がひっきりなしに上がった。

「アンッ、アンッ、アンンッ!」
 俺の声なんて和泉みたいに綺麗じゃないのに。なのに恥ずかしい声が止まらない。
 尻を舐られるとヒクヒクして堪らない。身悶えてしまう。
 舌でたっぷりと潤されたところに指が入って来て、しつこく掻き回されて気が付いたらイッていた。
 締め付けた指の関節が愛しくて涙が出てきた。

(これも復讐? これってどういう復讐なんだ?)
 訳が分からなくて混乱する。
 少なくとも俺があさましくてみっともないのは確かだけれど、手ぬるくねぇか?

「権堂、今度は前を出せ」
 俺は指示通りにおっ勃ったちんこを穴に差し入れ、温かい口の中に包まれて狼狽しながら先走りをダラダラと零した。

「も、ヤダ……俺がクズなのは認めるから、勘弁してくれ……」
 泣きながら頼んだけれど和泉は俺を射精するまで離さず、その日はケツにハメないで終わった。
 もう奴もきついのかも……と思ったら直ぐそこにある終わりの予感に涙が出てきた。

(俺はあいつだと知ってから泣いてばかりだ。心まで弱くなっちまったのか)
 嫌だ嫌だと思いつつ、俺は今さら男とヤッてみたいと夢想するだけの乱暴者にも戻れなかった。
 卑怯で、弱くて、他人の痛みに無神経だった。だから痛みを知ってこんなに泣けてくる。

(和泉に謝りたい。それが駄目なら殴って俺を蔑んで欲しい)
 そう思いながら、それすらも贅沢だと俺は知っていた。
 謝る事だって、殴られる事だって、俺の気が済むだけで和泉にはなんにもならない。
 だから不安でも悲しくてもあいつの言う通りにするしかない。
 俺は穴に尻を押し付け、みっともなく喘いで見せるんだ。


「権堂。俺の精液を吸い出して」
 そんな事できっこないけど言う通りに必死に穴を締め付けて腹の奥で吸い上げた。

「今度は手を使わずに出して見せて」
 俺は床に手を付いて目を瞑り、必死に穴を緩めてナカに出されたものを尻から垂らした。

「あと、約束のオナニーショーを見せて」
「……」
 床に頭と膝を付いて尻だけ高く掲げて、自分で尻穴を掻き回す。
 和泉よりも太い指は慣れた身体を満足させられる筈だったけれど、どうしてもイケない。

「イケないならペナルティだ」
 その言葉にキュウッと後ろが締まった。
 ペナルティが俺にとってはご褒美だと言ったら、もう与えてくれないだろうか。

「ナカを見せて」
 俺は壁に近付き、指でそこを開いてナカを見せた。
 真っ赤に爛れたナカがひくつき、ちんこを擦り付けられるのに慣れた内壁がトロトロと婬液を分泌した。

「孤一狼、指とちんことどっちがいい?」
「……ちんぽ。お前の生のちんぽがいい」
 俺は下の名前で呼ばれた事に胸を膨らませつつそう答えた。
 なんだか久し振りの気がするイチモツに俺の粘膜が張り付いて、包み込んだら引き剥がされてまた押し込まれ、ぐちゅぐちゅと激しく動かされた。

「アッ、アッ!」
「お前、太いのより生が好きだよな」
 当たり前だ。サックは自分でだって突っ込めるけど、生のちんぽは和泉に挿れて貰うしかない。
 それに中出しだって好きだ。
 相手が和泉だと知ってからはよりいっそう好きになった。

「いずみっ、コリコリが……」
「ここだろう?」
 俺の穴を熟知した和泉が性器を咥え込んだ穴に指を横から捻じ挿れる。
 広がった穴と爪先でカリカリと引っ掻かれる心地好さに俺は一気に駆け上ってメスのようにイッた。

「やらしいな。権堂は男らしいのに」
「イッてるッ、イッてるッ!」
 イッているのにカリカリと掻き続けられ、俺は身体をビクビクと痙攣させながら潮を吹いた。
 また名字呼びに戻ったとか、男らしいと言われて悔しいとか、色んな気持ちが混ざり合って複雑に揺れる。

「権堂、ここにピアスでも付けるか?」
 冗談交じりにナカにピアスを付けたらずっと気持ちいいぞと言われてお前のじゃなきゃ駄目だと返す。

「いずみじゃなきゃ、気持ちよくねぇ……」
「……情でも移ったか? 尻を滅茶苦茶にされて」
「……そんなんじゃねぇ」
 壁越しのよそよそしいやり取りが虚しい。
 尻だけは繋がっているのに。

「あと一回で解放してやるよ」
 恐れていた布告に俺の身体が竦み上がる。

「ちゃんと画像も消す」
 そんな事はもうどうでもいい。
 俺はホモ野郎と呼ばれたって和泉といたい。

(ああ、でも和泉はもう二度とホモなんて騒がれたくないか……)

「お前に付けさせたリングは……お前が処分してくれ」
(ば~か。そんなのずっと大事に取っておくに決まってるだろう。俺の初めての記念だし)

「ピアスは――」
「もう黙れよ。ペラペラペラペラと喋ってなきゃイケねえ? 早漏?」
「……調子に乗るな」
 ズブッと指が深くまで入って来て、ちんこを掴んだ指ごと後穴を犯されてひっきりなしに喘いだ。
 黙ったまま手酷くヤられてこれで良いと思う。

(今さら俺だって謝られたくねぇよ)
 もしもやり過ぎて悪かった、なんて言われたら俺はきっと和泉を詰ってしまう。
 好きだと言ってしまう。

(だから最後まで酷くしてくれ)
 俺は10回目の呼び出しを待ったけれど、いつまで経っても呼び出される事は無かった。
 そして学校の中でも顔を合わせる事無く夏が来て、プール専用のトイレが使われるようになった。
 穴も塞がれ、俺はもうアナルを開いて見せる事が出来ない。

(このまま……無かったことにされるのか)
 和泉の復讐はもう終わったのか、俺の事なんてどうでも良くなったのか。
 何もわからないままちんこの味を覚えた俺の後ろだけがいつまでも切ながった。
 自分の指を挿れても玩具を突っ込んでみてもイク事が出来ない。
 この歳でインポかよ……と思ったらこれが復讐のような気もする。
 乳首開発をしようかな。
 そんな馬鹿な事を考えつつシャツを脱いだらカタリと音がして背後を振り返った。

「和泉……」
「こんなところでなにやってんの?」
 背だけは俺よりも高い、爽やかな男だった。

(そうだ、こいつはこんな顔をしていた)
 ボーッと相手に見惚れていたら、もう一度何をやっているのかと訊かれた。

「プール掃除。夏期講習をサボった罰」
「ペナルティ……」
 和泉の呟きにどきりと心臓が跳ねる。
 まさか今になって蒸し返すのか。

「俺も手伝う」
「い、いいっ! 一人でやった方が楽だから――」
「手伝う」
 和泉は強引に付いてきてプールサイドをデッキブラシで擦り始めた。
 ジリジリと日に焼かれ、汗がポタポタとタイルに落ちる。

「熱中症になるから、休みながらやれって言われた」
「そうだな、一番熱い時間帯だ」
 俺は逃げられないまま、和泉と少し離れて日陰に座った。

「10回目……逃げるなよ」
 いきなりの直球に俺は酷く焦って取り乱した。

「なっ、止めたんじゃなかったのかよ! 穴だってもうない!」
「なら約束を破るのか?」
「だって――」
「ペナルティだぞ」
 そう言ってこちらを向いた和泉の瞳に射抜かれ、俺は耐えきれずに叫んだ。

「あんなのご褒美だった! 俺にはご褒美で――足りないくらいだって、思ってた」
「……知ってた。でも調教されたからだろ」
「別にいい。俺はバカだから名前を呼ばれるだけでお前に惚れた。後ろを犯されるだけで、犯した奴の事を好きになっちまう淫乱で――」
「俺はもっと前からお前に惚れてた。他人をホモだって言い触らすような捻じ曲がった奴でも、男に欲情する事を恥ずかしく思ってる器の小さい男でも、俺に会いに来れない臆病者でもお前が好きだよ」
「……言いたい放題かよ」
「俺から会いに来てやったんだからそのくらい言わせろ」
「うん」
 本当は俺に和泉を詰る権利なんてない。
 奴の言う通り、俺は最低な屑だ。

「10回目は更衣室でもいい?」
「やだ。だって10回したら終わりだって言ったじゃん」
「脅迫は終わりでいいだろ」
「……寝るのは?」
「まだ一回もちゃんと抱いてない」
 ニヤリと笑われて俺は顔が熱くなった。
 そうか、抱いて貰えるのか。

「和泉……悪かった」
「ああ。でも孤一狼も俺を詰っていいんだぞ?」
「詰れねぇよ。あんなの同意みたいなもんだ」
「いきなり突っ込まれて声が出てたもんな?」
「……」
「……ごめん」
 顔を合わせて話をしたら、こいつも悪いって気持ちとか焦ってんのとか上手く出来ないのとか伝わってきて、やっと魔法が解けたような気がした。

「和泉、サボって10回目をヤりに行こうぜ。それで11回めは……ちゃんとしよう」
「ああ」
 俺たちは赤い顔を誤魔化すように、ブラシを放り出してどちらからともなく走り出した。
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