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69.5(幕間)ヨカナーンの官能(R-18)

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 夜着の下でぬらりとしたものが肌を這い、敏感になった乳輪が擦られる。

(蛇の鱗が……刺激になるなんてっ!)
 ヨカナーンは獣人に暴行を受けたこともあり、暴力には屈しない。
 けれどやわやわとした刺激は、神経の震えるような怖じ気はこれまで感じたことがなくて困った。

(なんだ? どうすればいい?)
 戸惑うヨカナーンの頭の中に、子供のような無邪気な声が聴こえる。

 “可愛い……。身体、もて余してるの……可愛い”
(可愛いだと?)
 そんなことは言われたことがなくて益々戸惑う。
 そして戸惑っているうちに蛇の動きがより活発になり、細い舌が乳首に巻き付いて勃起した先端をチロチロと舐めた。

「ひあっ!?」
「ヨカナーン? 大丈夫?」
 イチヤが様子の変わったヨカナーンを心配してきたが、彼には知られたくなくて強引に遠ざけた。
 助けて貰えないとか、そんなことは頭になかった。

「やめ――ん゛ん゛っ!」
 バタンと閉まったドアの向こう、まだイチヤの気配があるのに乳首に小さな牙を立てられて前が反応した。
 使うことも、可愛がられることもなかった分身が今力強くそそり勃っている。

「ど、して……?」
 ヨカナーンは軽くパニックに陥った。
 官能などヨカナーンには縁遠いものだった。
 誰もヨカナーンに興味などなく、関心もないものと思っていた。
 それがどうして?

 “可愛い……”
 小さな白い蛇から伝わってくる好意。
 そんなものにも縋らずにはいられないほど、ヨカナーンは孤独だった。

「ど、して……」
 混乱している内に蛇は後ろの穴にまで入ってきた。
 固く閉じた場所を押し開くように開通され、奥までずるりと体内を這っていく感触に息が詰まる。

「た、すけて……」
 嫌だ助けて許して。懇願する言葉が口から出たけれど、ナカをずるりずるりと擦られるのは止まらない。
 蛇に後孔を出入りされ、身体のナカから止めどなく妖しい感覚が湧き起こってくる。

「や、だぁ……」
 ヨカナーンは身の内から湧き上がる官能に怯える。

(尻のナカを擦られて気持ちがいいなんて)
 そう思うのに、ゆっくりとナカを擦られると良くて堪らない。
 ヨカナーンは身をくねらせ、膝を曲げて爪先を立てて腰を天に突き上げた。

「あんんっ、もっと奥っ!」
 ぬるりとした細長いものはどこまでも入り込んでくるけれど、決定打を与えられなくて辛い。
 蛇の身体は後ろだけでイクには細過ぎる。
 ヨカナーンは自らの手で前を擦ったけれど、身体のナカでぞろりと動く感触が気になって中々前に集中出来ない。

「白妙っ! やめろ……後ろだけじゃ、イけな――」
 “こうしようか?”
 白妙の頭からゴリュッと角が生えたようなイメージが脳裏に浮かび、それがゴツゴツと前立腺と精巣の辺りを押してくる。

「ひうんっ!」
 “可愛い……。ゴリゴリ好き、ナーン、可愛い”
 勝手に名前を略されて、なんだそれはと文句を言うことも出来ない。
 ヨカナーンはナカからのピンポイントの刺激に緩んだ口元から甘い声と涎を溢した。

「あっ、あっ、ダメッ、出るっ!」
 ぷしっとヨカナーンの陰茎から先走りが溢れ、後ろからはネチャネチャと湿った音が洩れる。

 “ナーンの身体、エッチ……”
「な――」
 “エッチで、可愛い”
 白妙のご機嫌な声が頭に響く。
 ヨカナーンは白妙の正体を正確には知らない。
 ただ気に入られていることはわかる。

(人ならぬものに可愛がられる、贔屓にされる感覚とはこういうものか――)
 ヨカナーンは美人なのに幸薄い人生を送ってきた。
 一番幸せだったロクの下で働いていた時期でさえ、ヨカナーンの一方的な思慕であり特に親しくして貰ったというのではない。
 他者に気に掛けられ、好意を示される。
 ただそれだけのことがヨカナーンには与えられなかった。

「イ、き、そ……」
 “いいよ”
 コリッとナカから押されてヨカナーンは小さな蕾をキリキリと引き絞ってイッた。
 イッたあとも責め苦は終わらなくて、自ら膝を胸に引き寄せたり後ろに指を伸ばして引っ掻いたり、恥ずかしい真似を沢山したけれども誰も見ていないからいい。
 浅ましいと後ろ指をさされることも、みっともないと詰られることもないから構わない。

(私はどんな痴態を曝してもいいのだ)
 そう思うことは何故だかとても気持ちを楽にした。

「白妙、他には何をしてくれるのだ?」
 “にょろって、出てあげる”
 そう頭の中で答えると、白妙はヨカナーンの後孔からずるりと抜け落ちた。
 その産み出すような感覚が気持ち良くて、ヨカナーンは何度も同じことを頼んでしまった。

(どうしよう。後ろを擦られるのがこんなに気持ちいいなんて……)
 ヨカナーンは白妙に遊ばれていることはわかっていたが、もっとこれを味わいたかった。
 それで毎夜忍んできて欲しいと頼んだ。

 “毎夜? 可愛がってもい?”
「ええ。あなたの好きなように、私を作り変えて下さい」
 気紛れでも暇潰しでも構わない。
 誰かが好意的に触れてくれるなら、気持ちよくしてくれるなら一時それに溺れるまでだ。

 “誰かじゃない。白妙……”
「はい。白妙に可愛がって欲しいです」
 ヨカナーンは微笑みながらそう答え、白妙が大嫌いなイチヤの使い魔だということはすっかり忘れていた。 
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