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67.煌びやかな世界-2(R-15)
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「どれ、思ったよりも愛いではないか」
「私の番にございますれば」
「ふむ、ロクサーン侯爵がそのようなことを言うとはな」
「これは特別ですから」
ロクに愛しげな目で見られて、国王に見せ付ける演技だとわかっていても胸がトキメク。
うん、持ち物扱いでもロクのモノって言われるのは悪くない。
「その人間が特別な訳は、異世界から召喚されたからか?」
「……いえ、戻れなくなったのはこちらの責任ですが、それは関係ありません」
「運命の出会いという訳か」
「僭越ながら、私はそう思っております」
見つめ合うロクと国王の間でパチッと火花が散ったような気がした。
よくわからなかったけど、俺の正体は当然ながらバレているらしい。
「異世界人は甘い匂いがするそうだが、食べても甘いのか?」
チラリ、と国王の眸の中に過ったものは好色ではなく、多分好奇心とか興味とかそういう類いのものだ。
絶対的な強者が、気にも留めていなかった虫けらに初めて関心を抱いたといったところか。
「た、食べられたことはないからわかりませんが……ロクサーン侯爵は、甘いものがお嫌いです」
だから俺は甘くないと言いたかったんだけど、何故かそれを聞いて国王が高らかに笑った。
「なるほど。それ以上の価値があるという訳だな」
「それはっ!」
甘味以外の価値、と言われて俺は焦る。
甘いのが嫌いなロクが、俺を番にしてまで手元に置く価値があると受け取られてしまった。それは芳しくない。
その時、ロクの手が俺の肩に乗り、一気に心強くなる。
「陛下、一部の獣人が人間を愛でる癖があるのは御存知でしょう? 私もこれに会って良さに目覚めたのです」
チュッと頭の天辺に口付けられ、俺は恥ずかしさに身体がカーッと熱くなった。
人前で、ロクの慰みものになっていると発言されて目に涙が滲む。
(別に相手がロクなら閨の相手をさせられていると思われても屈辱だとは感じない。でも俺がどれほど激しく濃く抱かれているのかと、言われたみたいで恥ずかしい)
多分、こんな関係になる前なら何とも思わなかった。
でも何をされて、俺がどんな風に反応するのかわかっている今は羞恥に身悶えたくなる。
ロクの大きくてペタペタしたものでぐっちょんぐちょんにゴリゴリに奥まで突き上げられて、ピンと爪先立って尻穴をキリキリと引き締めてロクから搾り取ろうとする浅ましい俺。
後ろが痺れて、壊れた蛇口みたいに馬鹿になった前からはトロトロと白濁を洩らし、大きくM字型に脚を開いたしどけない格好を曝す俺。
ロクのを抜かれて、切なさに身を焦がしながら口を開けてここにくれと誘う俺。
幾つもの痴態が頭を過り、その全てをここにいる人たちに知られてしまったような気がする。
勿論、妄想だけど。
「チヤ、そんな顔をするな」
熱に上擦った顔をする俺を、ロクが低い声で窘めながら袖で顔を隠させる。
俺をアッチの具合だけで番に取り立てられた無力な人間だと思わせようとしながらも、それが成功しすぎても不味い。
貴族の興味を引いて襲われたりしたら堪らない。貴族には色欲しか頭にないようなどうしようもないのもいるからな。
まるでハヌマーンだな。
「ふむ、よくわかった。堅物で知られたロクサーン侯爵がと意外だが、そういう獣人の方が深みに填まるらしいからな。その人間を番と認めよう」
「有り難き幸せにございます」
国王に認められて、俺は晴れてロクサーン侯爵の公式な番となった。
番は離婚のように解消できるものではないので、これでロクは俺と一生涯を共にすることが決まった。
本当に良いのかな、とブワッと毛穴が開いて恐怖に晒される。
「ロク、俺……」
恐る恐る目を上げたら、ロクが幸せそうな顔で俺を見つめていたので何も言う気がなくなった。
(そうか。ロクが嬉しいなら、俺がこいつを幸せに出来んなら、目一杯頑張るだけだな)
そう思って、今夜は初夜にございますと言ってみた。
「番となったからには、毎晩可愛がって下さいませ」
そう言ってにこりと笑った俺を、ロクが酷い仏頂面でやり過ぎだと詰った。
けれども勿論、お披露目を終えた後の俺はロクに爪先まで濡らされて死に体を曝すまでぐっちょんぐちょんに可愛がられたのだった。
「私の番にございますれば」
「ふむ、ロクサーン侯爵がそのようなことを言うとはな」
「これは特別ですから」
ロクに愛しげな目で見られて、国王に見せ付ける演技だとわかっていても胸がトキメク。
うん、持ち物扱いでもロクのモノって言われるのは悪くない。
「その人間が特別な訳は、異世界から召喚されたからか?」
「……いえ、戻れなくなったのはこちらの責任ですが、それは関係ありません」
「運命の出会いという訳か」
「僭越ながら、私はそう思っております」
見つめ合うロクと国王の間でパチッと火花が散ったような気がした。
よくわからなかったけど、俺の正体は当然ながらバレているらしい。
「異世界人は甘い匂いがするそうだが、食べても甘いのか?」
チラリ、と国王の眸の中に過ったものは好色ではなく、多分好奇心とか興味とかそういう類いのものだ。
絶対的な強者が、気にも留めていなかった虫けらに初めて関心を抱いたといったところか。
「た、食べられたことはないからわかりませんが……ロクサーン侯爵は、甘いものがお嫌いです」
だから俺は甘くないと言いたかったんだけど、何故かそれを聞いて国王が高らかに笑った。
「なるほど。それ以上の価値があるという訳だな」
「それはっ!」
甘味以外の価値、と言われて俺は焦る。
甘いのが嫌いなロクが、俺を番にしてまで手元に置く価値があると受け取られてしまった。それは芳しくない。
その時、ロクの手が俺の肩に乗り、一気に心強くなる。
「陛下、一部の獣人が人間を愛でる癖があるのは御存知でしょう? 私もこれに会って良さに目覚めたのです」
チュッと頭の天辺に口付けられ、俺は恥ずかしさに身体がカーッと熱くなった。
人前で、ロクの慰みものになっていると発言されて目に涙が滲む。
(別に相手がロクなら閨の相手をさせられていると思われても屈辱だとは感じない。でも俺がどれほど激しく濃く抱かれているのかと、言われたみたいで恥ずかしい)
多分、こんな関係になる前なら何とも思わなかった。
でも何をされて、俺がどんな風に反応するのかわかっている今は羞恥に身悶えたくなる。
ロクの大きくてペタペタしたものでぐっちょんぐちょんにゴリゴリに奥まで突き上げられて、ピンと爪先立って尻穴をキリキリと引き締めてロクから搾り取ろうとする浅ましい俺。
後ろが痺れて、壊れた蛇口みたいに馬鹿になった前からはトロトロと白濁を洩らし、大きくM字型に脚を開いたしどけない格好を曝す俺。
ロクのを抜かれて、切なさに身を焦がしながら口を開けてここにくれと誘う俺。
幾つもの痴態が頭を過り、その全てをここにいる人たちに知られてしまったような気がする。
勿論、妄想だけど。
「チヤ、そんな顔をするな」
熱に上擦った顔をする俺を、ロクが低い声で窘めながら袖で顔を隠させる。
俺をアッチの具合だけで番に取り立てられた無力な人間だと思わせようとしながらも、それが成功しすぎても不味い。
貴族の興味を引いて襲われたりしたら堪らない。貴族には色欲しか頭にないようなどうしようもないのもいるからな。
まるでハヌマーンだな。
「ふむ、よくわかった。堅物で知られたロクサーン侯爵がと意外だが、そういう獣人の方が深みに填まるらしいからな。その人間を番と認めよう」
「有り難き幸せにございます」
国王に認められて、俺は晴れてロクサーン侯爵の公式な番となった。
番は離婚のように解消できるものではないので、これでロクは俺と一生涯を共にすることが決まった。
本当に良いのかな、とブワッと毛穴が開いて恐怖に晒される。
「ロク、俺……」
恐る恐る目を上げたら、ロクが幸せそうな顔で俺を見つめていたので何も言う気がなくなった。
(そうか。ロクが嬉しいなら、俺がこいつを幸せに出来んなら、目一杯頑張るだけだな)
そう思って、今夜は初夜にございますと言ってみた。
「番となったからには、毎晩可愛がって下さいませ」
そう言ってにこりと笑った俺を、ロクが酷い仏頂面でやり過ぎだと詰った。
けれども勿論、お披露目を終えた後の俺はロクに爪先まで濡らされて死に体を曝すまでぐっちょんぐちょんに可愛がられたのだった。
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