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㊿これだから上流階級って奴は!-2(R-18)※可哀想な目に遭っています

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(お前こそ俺を喰うつもりじゃねぇかよ!)
 ムカついたけど、それでもまだ俺は本気で焦ってはいなかった。
 だって俺は九尾化して魔力がそこそこ使えるし、身体強化の御守りも身に付けているし、日常的に戦うことが職業の冒険者が相手なら兎も角こんな優男にどうにかされる筈はない。

「さぁ、保護させて下さい!」
「結構です!」
 ルドガーの手を捻って逃げようとしたが逃げられない。
 あれ? 俺は呪詛返しだって付けてるから魔道具が効く訳は――。

「あなたが妖力を使うことは聞いていますよ。半獣化の副作用もね?」
 ニヤリと笑われてゾッとした。
 何らかの手段で妖力を封じる事が出来るなら、その上で無理矢理に半獣化させられたりしたら、俺は否が応でも発情してしまう。自分ではコントロール出来ない程の欲情に見舞われる。

(マズイ、逃げなきゃ!)
 俺は必死に暴れたが、ルドガーはこういう事に慣れているんだろう。手首をリストバンドのような物で繋がれて床に転がされた。

「先ずは尻尾を見せて下さい!」
 グイッとパンツを引き下ろされて下肢を剥き出しにされる。
 足首に絡まった服が邪魔で逃げることが出来ない。

「はぅっ、真っ白いお尻を立ててなんと愛らしい……」
 尻を丸く撫でられて頬擦りをされ、その感触にゾッとする。

「やめろっ!」
 ここで漸く俺は貞操の危機を覚えた。
 男なんて本気で襲われる筈が無いとピンと来ていなかったんだけど、尻朶を掴まれたら流石にヤられそうになっていると理解する。

「ああっ、禁断の果実を……」
 ハァハァと息を荒らげた男が尻の谷間に鼻を突っ込んできたが、カチンと何かに弾かれたように止まった。

「むぅっ?」
 グニッと尻を掻き分けられて思わず叫んだ。

「いやぁああああっ!」
 ヤダヤダあいつ以外に後ろを見られたっ!

「やだぁっ! リッドぉ! 助けて、見られたくないっ! リッド、助けてっ!」
 ボロボロと泣きながら身を捩ってリッドを呼ぶ。
 俺は必死に床を這いずって男から遠ざかろうとした。
 でも男は俺の尻を押し上げて何とかナカを見ようとした。

「やだっ!」
 無理矢理に拡げられた穴がピリピリと引き攣り、スースーと冷たい空気に触れるのを感じる。
 いやだいやだお尻の穴を見られるなんて。
 リッドだけに許した筈のナカを使おうなんて許せない。

「やだぁっ!」
 男の手で上着も剥がされ、敷物に乳首が擦れて赤く色付いてしまう。
 陰茎も掴まれ――無いのか、その周りをもどかしげにグニグニと揉まれて揺れる様子を見られている。

「やだぁ、見ないでぇ……」
 泣いても嫌がっても俺の身体は男の手で勝手にもてあそばれる。
 性器と後孔には触れられないようだが、見られているだけで十分に屈辱だし傷付いた。

「クソッ、どうして……。そうだ、道具なら入るか?」
 一旦俺から離れた男が燭台を手に近付いてくる。

「これが這入ったら、もっと良い物を挿れてあげよう。宝石の付いた立派な錫杖がいいか、それともわたしのを模した物がいいか……ああ、どちらも順番に与えよう」
 男の高揚した顔が欲望に歪むのを見て、もう駄目だと思った。
 こんな男に暴かれるくらいなら、いっそ――。

(舌を噛み千切ってしまおうか)
 そう覚悟したところでカゲボウシが現れて目の前の景色がぐんにゃりと曲がった。
 虹色の膜が出来て、転移石を掴んだリッドが映る。

「見つけた」
 静かな呟きが怖いくらいに響き渡って、その直後にはルドガーが踏み潰されていた。

「リッドッ!」
「お前は、そんな目に遭って……」
 リッドの顔が悲愴に歪む。
 俺は怒られても殴られてもいい。それでもいいからリッドに近付きたかった。

「リッド、リッドッ!」
 抱き起こされて必死に頭を擦り付けて名前を呼ぶ。

「大丈夫だ。もう大丈夫だから落ち着け」
 俺を落ち着かせるようにギュッと抱き締められ、俺は泣きながらあんたじゃなきゃ嫌だと訴える。

「あんたじゃなきゃ嫌っ! リッドがいい、リッドが好き!」
「……記憶が戻ったのか?」
「記憶なんて無くたって、あんたが好きなのは間違いねぇよっ。俺はあんたしか――あんたしか嫌なんだ」
 スンスンと鼻を鳴らしたら俺を抱き締める腕の力がグッと強くなった。

「身体だけだと……自分に言い聞かせた」
「身体だけじゃ足りねぇよ」
「心も全部?」
「心も魂も全部お前の物だ」
 例え悪魔が俺の魂を奪っても、それでも気持ちは無くならなかった。
 俺はこいつが好きなんだ。

「リッド……慰めて」
 俺は男にいろんな格好をさせられてナカを見られた事を思い出して、涙がボロボロと零れた。
 最後まではされていないけど、暴かれて好き勝手にされた事が凄く悔しい。

「優しく出来ないかもしれないぞ」
「いいよ。罰を与えて」
「ユウ……」
 リッドは意識を失っているルドガーをドアの外に蹴り出した。

「こいつの処遇は後だ。どうせ逃げられない」
 そう言うとリッドは俺を抱き上げてベッドに運んだ。
 そして手枷を外し、血の滲んだ手首に舌を這わせた。

「半獣化してないと辛いぞ」
「でもこのままがいい」
「軟膏は?」
「使って。でもそれ以外は全部あんたじゃないとイヤだ」
 そう言ってリッドの股間を撫でたらベッドに押し倒された。
 俺を真っ直ぐに射抜く金色の瞳がギラギラと光って、まるで肉食獣だ。

「ユウト、愛してる」
 物騒な愛してるにジンと俺の身体が痺れた。

(『愛してる』……まるで魔法の言葉みたい)
 俺はうっとりとリッドを見上げた。
 この男が欲しい、と焼けるように強く思った。
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