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⑫ちょっとだけがちょっとで済んだ試しはない-3

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(いま、射精しないでイッた……?)
 散々に吐き出させられて、精根尽き果ててぐったりとベッドに沈み込んだ俺をリッドが満足そうに撫でる。

「可愛かった」
「この、変態が……」
「何とでも言え」
 ご機嫌になった変態は俺が責めてもちっとも堪えない。
 少しでもこいつを心配した俺が馬鹿だった。
 もうこのままふて寝をしてしまおうか、でも身体中がべとべとで気持ち悪い。
 そんな事を思いながらウトウトしていたら、片足を持ち上げられて大きく開かれた。

「……なに?」
 もう付き合えない、と荒んだ目付きでリッドのする事を眺めたら、リッドは無言のまま開かせた脚の間、今はだらりと垂れた性器の奥に指を伸ばした。
 スリ、と皮の厚い指の腹で柔らかな窄まりを撫でられて俺はカーッと全身が燃え立つように熱くなった。

「バカッ、何処に触ってるっ!」
「ユウの可愛いところ」
(こいつは本当に馬鹿じゃないか?)
 俺は酷く慌てふためいて、力の入らない身体を無理矢理に捩って激しく抵抗した。

「ダメか?」
「当たり前だっ! そんなところを触られた事はないし、触られんのもヤダッ!」
「嫌か……」
 ガックリと首を折って項垂れているのを見ると、可哀想な気もする。
 けれど後ろはダメだ。そんなとこ、人に触らせる場所じゃねえ。

「ユウの身体は隅々まで俺が気持ちよくしてやりたいんだが、どうしてもダメか?」
「当たり前だろっ! 俺にそんな性癖はねえんだよっ!」
 前立腺マッサージとか、そういうプレイがある事は俺も知っている。
 けれど普通の行為しか知らずに生きてきたし、これからも新しい扉を開くつもりはない。

「俺は動けそうもないから、布を濡らして持って来てくれ。絶対に変な所は触るなよ!」
 俺はリッドをどやし付けて身体を拭かせ、シーツを替えさせたら今度こそ力尽きて気を失うように眠った。
 そして夜になっても目が覚めず、夕飯も食べずに朝までぶっ通しで眠り続けた。
 翌朝になって目が覚めたらまだ腰が怠かったので、俺はもう二度と甘く見積もるのは止めようと思った。
 ちょっとだけなら、途中で止めれば平気。
 その油断がどれだけ俺の寿命を縮めるのか、身を以て理解した。

(もう二度と『一口なら食べてもいいよ』なんて言わない)
 獣は一度牙を食い込ませたら決して放さないのだと、俺はしっかりと学習したのだった。
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