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第一章 死ぬにしたって、これは無いだろ!
第十六話
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少し考えれば分かることだったのかもしれない。
絵描き畑にいたくせして、俺の目は節穴も良いところだ。
今も心にこびりついて仕方のないくらいの美麗さに気を取られ過ぎていた。
目の前にいるジルラッド氏と、ベルラッドの描いた幼少のジルラッド氏を横に並べてようやく、両者どちらも、両者の面影をふんだんに残していることに気付くなんて。
「お気づきかと思いますが……昔、兄上は、僕をモデルにして、よく絵を描いてくださったんです。事情があって、兄上が絵を描かれに外に出てこられるときくらいしか、思うようにお話することも出来なかったものですから、僕はいつも、この機を逃すまいとして、すかさず兄上のもとに、話しかけに行っていました。煩わしかっただろうに、兄上は嫌な顔ひとつせず……僕のことを、こんなにも沢山、描いてくれた」
「いや……絵を見れば分かる。きっと、煩わしいなんて欠片も思っていなかったよ。君と話をして、君を描いて……その時間を、どんなに大事にしていたのか。余程じゃないと、こんな思い入れのある絵は描けない」
「そう、ですか……他でもない、兄上の仰ることですから、きっと、そうなんでしょうね」
いやに寂しげなその声に顔を上げると、ジルラッド氏は、昔を懐かしむような、慕わしげな笑みを浮かべ、こちらを見ていた。
俺はその顔がどうにも見ていられず、微かに息を呑み、自分の影に後悔を吐き出すように俯いた。
「……ごめん。知ったような口をきいてしまった」
「いえ、信じていないわけではありません。ただ、自分を許せないだけ」
ふと、眩しそうに目を細めながら、ジルラッド氏は額縁を撫でる。
その自傷めいたまなざしが、真っ直ぐと、幼いころの自分を射抜いていた。
「兄上はきっと、ご存知でなかったのだろうと思いますが、太古の昔から、絵を描く、芸術を紡ぐ、というのは、特別な意味があることなのです。これほどまでに優れたマスターピースは、たった一枚だけで、死にすら抗い得るほどの祝福を帯びます。例えば、兄上がかつて描かれた王宮の裏手にある丘は、今やどんなに傷ついた戦士もたちどころに回復するほどの力のある聖域になりました。兄上が何の気は無しにデッサンなさった動物が、今やこの国の聖獣として教会に祀られています。暗殺の憂き目にあい、一度は棺桶に入った王宮付きの侍女が、奇跡の生還……いえ、復活を果たしたのも、兄上がかつて、その似姿を描いたことがあったから。兄上は、300年に一度現れるか現れないかの、聖魔法の使い手だったのです」
光魔法の完全上位互換、聖魔法。
神話、伝承でしかその存在は登場せず、教会によって実在を秘匿されてきた魔法だ。
限られた適性者のみが使え、任意の対象の傷病を癒すことのできる光魔法の使い手も、大変に希少で、教会による保護監督を公的に認められるほどだが。
いつの時代も常に一定数存在するそれとは比べ物にならないのが、聖魔法の使い手なのだという。
そして、俺が今、殆ど軟禁状態にある理由。
それも、聖魔法の使い手であるベルラッドの身柄について、ジルラッド氏と教会で凄まじい対立をしているからだ、とジルラッド氏は語った。
何でも、教会にとって、聖魔法の使い手とは、生ける神の代弁者であり、間違ってもその御業が損なわれることのないように、『緊密な保護・監察』を課さねばならない対象であるらしい。
有体に言えば、聖魔法の使い手には、自由が保障されず、その御業を「半永久保存」するために、障害として認められるものは、徹底的に排除するということ。
たとえそれが、対象者の尊厳や人格であっても、例外はない。
「この、40平米の部屋、壁一面埋め尽くすほど、兄上は、その特別な力をもって、僕への祝福を紡いだ。それなのに、僕は、兄上がくださった祝福を、兄上のために生かすことが出来ず、みすみす死なせてしまうところだった。だからこそ、僕は自分を許さないと決めたのです。二度と、兄上に、孤独な死など選ばせないように。兄上がただのひとりの人間として、当たり前に生きられない……そんな状況に、二度と陥らないように」
「……君が、そんなに責任を感じることなのか? 君の兄さんが君の絵を描いたのは君のせいじゃない。君は、勝手に祝福されただけだ。望んで得たものじゃないんだろう? そんなのは……」
祝福ではなく、呪いではないのか。
口をついて出そうになったその言葉を、辛うじて飲み込む。
絵のこととなると、つい平静を失ってしまいそうになるから、困ったものだ。
でも、俺にとっては、どうしても我慢ならなかったのだ。
絵描きは、自分の愛を吐き出すために絵を描く。
ベルラッドだって、きっと、息をするように、ジルラッド氏への愛をキャンバスにぶつけただけ。
そこに、それ以上の意味はないのだ。
「分かっていますよ。でも、これが、僕の愛なんです」
「……それを言われちゃ、何も反論できねぇや」
「ふふ、そうでしょう」
ジルラッド氏が分からないはずがない。
ベルラッドが絵を描いたのもまた、自己満足のためでしかないと。
自分の絵が他人にどう評価されるかだとか、そんなのは二の次だし、鑑賞者がどう思おうと知ったことではない。
ジルラッド氏もまた、自身のこの業を、誰にどう思われようが、知ったことではないということだ。何とも、似たもの兄弟である。
「ところで、兄上。この絵を見て、何か……記憶が戻る手がかりは掴めそうですか?」
「うーん……正直、記憶に関しちゃサッパリ。でも、得たかった答えはあった、かな。俺がおいそれと外に出られない理由も教えてもらえたことだし」
「それは……その、すみません。いつも、窮屈な思いをさせてしまって」
「説明もなく行動を制限されて気持ち悪かっただけで、窮屈だとか、不便だとか、感じたことは無いよ。別に、閉じ込めたくて閉じ込めてるわけじゃないんだろ? 何も、君が要らない恨みを敢えて買うようなことは無いのに、なんで最初から教えてくれなかったのかなぁ」
「恨まれても仕方のないことには変わりありませんから。むしろ、兄上の聞き分けが良すぎて心配です。僕の言うことが何もかも嘘である可能性だってあるのに」
「まあ、別にそれでもいいんだよ、俺は。俺が勝手に、君のことを信じてるだけだし」
たとい全部嘘でも、信じた俺が悪いよ。
何せ、君になら殺されたっていいかもなって思ったこともあるくらいだ。
それと比べちゃ、騙されてたとしても今更ってやつだよな。
絵描き畑にいたくせして、俺の目は節穴も良いところだ。
今も心にこびりついて仕方のないくらいの美麗さに気を取られ過ぎていた。
目の前にいるジルラッド氏と、ベルラッドの描いた幼少のジルラッド氏を横に並べてようやく、両者どちらも、両者の面影をふんだんに残していることに気付くなんて。
「お気づきかと思いますが……昔、兄上は、僕をモデルにして、よく絵を描いてくださったんです。事情があって、兄上が絵を描かれに外に出てこられるときくらいしか、思うようにお話することも出来なかったものですから、僕はいつも、この機を逃すまいとして、すかさず兄上のもとに、話しかけに行っていました。煩わしかっただろうに、兄上は嫌な顔ひとつせず……僕のことを、こんなにも沢山、描いてくれた」
「いや……絵を見れば分かる。きっと、煩わしいなんて欠片も思っていなかったよ。君と話をして、君を描いて……その時間を、どんなに大事にしていたのか。余程じゃないと、こんな思い入れのある絵は描けない」
「そう、ですか……他でもない、兄上の仰ることですから、きっと、そうなんでしょうね」
いやに寂しげなその声に顔を上げると、ジルラッド氏は、昔を懐かしむような、慕わしげな笑みを浮かべ、こちらを見ていた。
俺はその顔がどうにも見ていられず、微かに息を呑み、自分の影に後悔を吐き出すように俯いた。
「……ごめん。知ったような口をきいてしまった」
「いえ、信じていないわけではありません。ただ、自分を許せないだけ」
ふと、眩しそうに目を細めながら、ジルラッド氏は額縁を撫でる。
その自傷めいたまなざしが、真っ直ぐと、幼いころの自分を射抜いていた。
「兄上はきっと、ご存知でなかったのだろうと思いますが、太古の昔から、絵を描く、芸術を紡ぐ、というのは、特別な意味があることなのです。これほどまでに優れたマスターピースは、たった一枚だけで、死にすら抗い得るほどの祝福を帯びます。例えば、兄上がかつて描かれた王宮の裏手にある丘は、今やどんなに傷ついた戦士もたちどころに回復するほどの力のある聖域になりました。兄上が何の気は無しにデッサンなさった動物が、今やこの国の聖獣として教会に祀られています。暗殺の憂き目にあい、一度は棺桶に入った王宮付きの侍女が、奇跡の生還……いえ、復活を果たしたのも、兄上がかつて、その似姿を描いたことがあったから。兄上は、300年に一度現れるか現れないかの、聖魔法の使い手だったのです」
光魔法の完全上位互換、聖魔法。
神話、伝承でしかその存在は登場せず、教会によって実在を秘匿されてきた魔法だ。
限られた適性者のみが使え、任意の対象の傷病を癒すことのできる光魔法の使い手も、大変に希少で、教会による保護監督を公的に認められるほどだが。
いつの時代も常に一定数存在するそれとは比べ物にならないのが、聖魔法の使い手なのだという。
そして、俺が今、殆ど軟禁状態にある理由。
それも、聖魔法の使い手であるベルラッドの身柄について、ジルラッド氏と教会で凄まじい対立をしているからだ、とジルラッド氏は語った。
何でも、教会にとって、聖魔法の使い手とは、生ける神の代弁者であり、間違ってもその御業が損なわれることのないように、『緊密な保護・監察』を課さねばならない対象であるらしい。
有体に言えば、聖魔法の使い手には、自由が保障されず、その御業を「半永久保存」するために、障害として認められるものは、徹底的に排除するということ。
たとえそれが、対象者の尊厳や人格であっても、例外はない。
「この、40平米の部屋、壁一面埋め尽くすほど、兄上は、その特別な力をもって、僕への祝福を紡いだ。それなのに、僕は、兄上がくださった祝福を、兄上のために生かすことが出来ず、みすみす死なせてしまうところだった。だからこそ、僕は自分を許さないと決めたのです。二度と、兄上に、孤独な死など選ばせないように。兄上がただのひとりの人間として、当たり前に生きられない……そんな状況に、二度と陥らないように」
「……君が、そんなに責任を感じることなのか? 君の兄さんが君の絵を描いたのは君のせいじゃない。君は、勝手に祝福されただけだ。望んで得たものじゃないんだろう? そんなのは……」
祝福ではなく、呪いではないのか。
口をついて出そうになったその言葉を、辛うじて飲み込む。
絵のこととなると、つい平静を失ってしまいそうになるから、困ったものだ。
でも、俺にとっては、どうしても我慢ならなかったのだ。
絵描きは、自分の愛を吐き出すために絵を描く。
ベルラッドだって、きっと、息をするように、ジルラッド氏への愛をキャンバスにぶつけただけ。
そこに、それ以上の意味はないのだ。
「分かっていますよ。でも、これが、僕の愛なんです」
「……それを言われちゃ、何も反論できねぇや」
「ふふ、そうでしょう」
ジルラッド氏が分からないはずがない。
ベルラッドが絵を描いたのもまた、自己満足のためでしかないと。
自分の絵が他人にどう評価されるかだとか、そんなのは二の次だし、鑑賞者がどう思おうと知ったことではない。
ジルラッド氏もまた、自身のこの業を、誰にどう思われようが、知ったことではないということだ。何とも、似たもの兄弟である。
「ところで、兄上。この絵を見て、何か……記憶が戻る手がかりは掴めそうですか?」
「うーん……正直、記憶に関しちゃサッパリ。でも、得たかった答えはあった、かな。俺がおいそれと外に出られない理由も教えてもらえたことだし」
「それは……その、すみません。いつも、窮屈な思いをさせてしまって」
「説明もなく行動を制限されて気持ち悪かっただけで、窮屈だとか、不便だとか、感じたことは無いよ。別に、閉じ込めたくて閉じ込めてるわけじゃないんだろ? 何も、君が要らない恨みを敢えて買うようなことは無いのに、なんで最初から教えてくれなかったのかなぁ」
「恨まれても仕方のないことには変わりありませんから。むしろ、兄上の聞き分けが良すぎて心配です。僕の言うことが何もかも嘘である可能性だってあるのに」
「まあ、別にそれでもいいんだよ、俺は。俺が勝手に、君のことを信じてるだけだし」
たとい全部嘘でも、信じた俺が悪いよ。
何せ、君になら殺されたっていいかもなって思ったこともあるくらいだ。
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