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オニキス捜索

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 今日は焼印を消す日だ。刻まれたあの日を嫌でも思い出す。
 気を失いそうなほどの激痛に吹きでる脂汗。じくじくとした痛みに眠れぬ夜を過ごした日々。
 消すときは痛みを伴うのだろうかと不安が胸を過ぎる。

 でも、これが済めばオニキスと会える。

 そのあとまたしばらく会えなくなるのだとしても、ひとまず一目でもオニキスの無事を確認したい。
 その思いでアンジェリカの胸はいっぱいだった。


 

 時を同じくして、サンプトゥン城の敷地にウォルターは忍び込んでいた。
 万が一クリスの交渉が失敗したときのために、アンジェリカを救出するために先に潜入することになったのだ。
 

「まったく、どこにいるんだ」
 

 オニキスが捕らえられていた場合、アンジェリカだけを救出しようとしてもアンジェリカは動かないだろう。
 それならば先にオニキスを解放すれば彼女も安心して逃げだすことができる。というわけで、ウォルターは捕らえられていると思われるオニキスを探していた。

 クリスはアンジェリカを妻にするつもりでいる。それをアンジェリカが断らない可能性はゼロではない。
 一体アンジェリカはなにを望むのか。
 悶々と考え込みそうになる思考を振り払い、城内を巡回する騎士たちに見つからないよう捜索に集中する。

 オニキスのような大きな生き物を城内に運び込むのは難しだろうと思い、見つかる可能性が高まってしまうが兵士舎の付近を慎重に探す。


「広いんだよ、ったく……」


 騎士の目を掻い潜り探し回ること数十分、建物の中から話し声が聞こえ、ウォルターは柱の影に身を潜めた。


「え? まだ食わないって、もうひと月近く経つだろ?」

「ああ、あれはもうダメかもな。檻を開く音にも反応しなくなったし。死んだら研究機関のほうに回すらしい」

「戦力になるのかと思って期待してたんだがな」

「ああ、見てみたかったよな、ドラゴンの戦い」


 聞き耳を立てていたウォルターは眉をひそめた。オニキスの話で間違いないと思うが、その内容は信じたくないものだった。
 こっちに来てから1度も食事をしていないということなのだろうか。そうならば餓死してもおかしくはない。
 大きな肉塊を抱えて出てきた騎士のあとをウォルターはこっそりとついて行った。

 兵士の宿舎を通り抜け、遮蔽物のない広場のようなところを歩いていく兵士を遠くの物陰から視線で追いかける。
 兵士は何もないところでしゃがみこむと、鍵を取りだして柵を持ち上げた。そこへ肉の塊を落とし、また鍵をかけてから立ち上がり、その場をあとにした。
 周囲に見張りはいないようだが、見張りの必要がないほど弱っているということなのだろうか。

 その兵士が戻ってきたところに飛びかかり、首を絞めて気絶させて引きずる。
 兵士がしゃがんでいたところまでくると、そこには地面を深く掘って作った檻があった。その中心にいるのはオニキスだ。
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