秋桜の咲く日常

猫舌青年はコーヒーが飲めない

カフェはいい

フカフカのイスと落ち着いたBGM
暑いくらいの暖房が効いた店内は、入浴中のうたた寝に似た体験ができる

本を読めば、想像もつかない出来事や考えが目を通じて僕の中に入り込む

しばらく読みふけると、熱々だったココアがやっと飲めるようになる
僕はそうして休日の大半を過ごしている

ふと、甲高い声が響く
別にコーヒーに口をつけた途端に目の前の恋人が倒れてしまった女性の声ではない

泣くことが仕事で、世界で最も幸せな生き物、赤ちゃんだった

気づけば昼時で、親子や夫婦で店内は溢れていた
4名席に座ったのはまずかったかな、と思いつつ
ひたすら仕事を続ける赤子と、必死であやす母親に目を向ける

何を焦っているんだろうか
こんなに愛おしい声などないだろうに

そこか約5分間、耐えかねた母親が早々と会計に向かうまでの間
僕は本に目を落としながらも、ずっと赤子が奏でるメロディを聴いていた


今日はいい時間を過ごすせたなあ